↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
78/204

進まない戦車

帝国軍の重装馬車が浅瀬の向こうで立ち往生した。石弾を運ぶため車体を補強したが、その重さで地盤へ車輪が沈んでいた。皇帝レオンハルトのもとに、工兵が上流の樹木を伐って枕木にする計画を出した。数十本を切れば車を動かせる。しかし樹木は丘の集落が冬に風除けにしている林だった。


レオンハルトは車の用途を確かめた。次の丘を攻めるための石弾はまだ必要ない。攻勢の日取りさえ決まっていないのに、輸送計画が先に重くなっていた。皇帝は荷の半分を下ろさせ、車両を二回に分けて運ぶよう命じた。


クラウスは兵の疲労を心配した。皇帝も知っている。だが砲弾を全て一度に運ぼうとして道を壊せば、食料も薬も同じ場所で止まる。「重いものを捨てるのではない。重さを分ける」彼の返答に将軍は渋々頷いた。


伐採を命じられていた工兵たちは、斧を研ぎ終えていた。中止の報せに落胆する者もいた。仕事を失ったように感じたのだろう。彼らには車輪を引き上げる滑車を作る仕事が与えられた。木を切らなくても、木を扱う技能は使える。


橋材の運搬を担当した兵は、二往復の行程に不満を漏らした。皇帝は作業の休憩を増やすよう命じ、輸送中の事故数も比べさせた。二度通れば危険も二度になる。荷を減らす利点が、移動回数の不利益を上回るかを確認したかった。 車輪を引き上げた兵は、泥の中に落とした金具を翌朝拾いに来た。小さな金具でも、次の車には必要になる。


日暮れ、車体は泥から抜けた。車輪の跡は深く残り、翌朝の雨で水溜まりになった。レオンハルトはそこに小さな杭を立てるよう命じた。自分たちが作った危険を、次に通る隊へ隠さないためだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。