三枚の許可証
ギルドから王国軍本営へ、三種類の許可証を携えた一団が来た。薬草採り、魔物駆除、地質調査。依頼はそれぞれ別の村から出ていたが、どの道も封鎖された丘の向こうへ続く。セイルは受付長ミレーネと一緒に証書を調べた。冒険者ギルドの札があっても、軍の警戒地を勝手に通れるわけではない。
剣士たちは「敵がいるなら倒して進む」と言った。セイルは彼らが連れてきた荷運びの少年を見る。少年は袋に薬瓶を詰め、剣も持っていない。全員が戦う想定で道を決めれば、戦えない者の帰り道が失われる。
三つの依頼を一隊でこなす案は、効率がよいように見えた。しかし地質調査は岩山で日を越し、薬草は谷間で夕方にしか採れず、魔物の巣は夜に近づくべきでない。セイルは行程を分け、薬草だけを先に届けることを提案した。戦時の軍路を通らずに済むため、軍の許可も一つ減った。
「あなたが一緒なら全部できるでしょう」と剣士が言った。「私が一人増えても、夜は三つありません」とセイルは答えた。ミレーネは横で笑ったが、すぐに少年の靴紐を結び直した。
少年は薬瓶の袋を持ち替えるたびに数を声に出していた。落としたことに気づくためだ。セイルは彼の小さな工夫を評価し、荷を測る秤も使わせた。剣士たちが帰ったあと、少年は自分の記録をミレーネへ差し出した。初仕事の報告だった。
許可証の一枚には、山裾の村が以前から使っていた通行印が押されていた。軍が作った封鎖線より古い印だ。セイルはその印を消さず、封鎖期間だけ裏面に記すことにした。戦が終わったあと、誰がどの道を使っていたのかを忘れないためだった。




