冬の数を数える
帝都の朝は冷え込み、屋根に薄い霜が降りた。皇帝レオンハルトは冬の備蓄表を見ていた。前線へ運ぶ燃料を増やせば、帝都の工房が止まる。工房を守れば、兵の野営が寒くなる。軍と民のどちらかを紙の上で優先するのは簡単だが、翌日の損失は別の欄に現れる。
リディアは遠方の森から木炭を運ぶ案を示した。輸送に時間がかかるため、皇帝は冬の最初の一月だけ燃料を節約する計画を選んだ。前線の大鍋を共同で使い、散らばった焚き火を減らす。宿場では空き家を借り、兵を屋内で休ませる。
軍医から、寒さで足を傷める兵が増え始めたと報告が来た。皇帝は革靴の裏へ入れる乾いた草の交換を義務付けた。現場では草が余るほどあると思われていたが、濡れた草をそのまま使えば足が冷える。乾かす場所まで必要だ。
午後、クラウスが攻勢を急ぐべきだと言った。「雪が積もる前に決着をつけねば、こちらも苦しくなります」
「急いで勝てる地形なら、もう進んでいる」
皇帝は地図に積雪時の通行可能な道を記し、兵糧車を小さく分けて送ることを決めた。進軍の速度はさらに落ちる。しかし補給が止まるよりはよい。
火薬師は検査の結果、湿った樽の一部は再加工できると告げた。セイルは廃棄数を勝手に減らさず、検査済みの札を別に付けるよう求めた。使えるかどうかは経験ある職人が決める。軍の数字を合わせるために、危険な樽を混ぜる理由はない。
窓辺に置かれた木彫りの鳥に霜が光っていた。父の時代なら冬の軍議は必要なかっただろう。皇帝はそのことを忘れず、暖炉の火を一段小さくした。帝都と国境では、同じ冬が始まろうとしていた。




