↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/192

盾の裏側

王国の歩兵隊が訓練に使っていた盾は、表面ばかり磨かれていた。セイルが一枚持ち上げると、裏側の革紐がひび割れていた。見た目は立派でも、強い衝撃を受ければ腕から外れる。訓練長は「次の支給まで持つ」と言ったが、セイルは小さな刃で紐の端を押した。そこから裂け目が広がった。


倉庫には予備の盾がなかった。セイルは革細工師を集め、既存の盾から使える紐を取って組み替えることを提案した。全てを一度に直そうとせず、一隊ずつ訓練と修繕を交互に行う。隊長たちは兵を抜かれることを嫌ったが、壊れる盾を持って戦うよりよい。


修繕の待ち時間に、セイルは盾を持つ兵と槍を持つ兵を向かい合わせた。二人の距離を少し変えると、槍の穂先が盾の縁に引っかからなくなった。特別な技術ではない。互いの肩幅と足の長さを考えただけだった。


若い歩兵が尋ねた。「セイルさんの適正があれば、どんな攻撃でも防げますか」


「いいえ。盾が割れたら防げないこともあります。相手が三人なら、一人で全てを見るのは難しい」


自分の力を試したことは何度もある。最もよい動きを感じても、身体が届かない相手はいる。島で負った古傷は、その証拠だった。


革細工師のひとりは、王都で普段は祭りの太鼓を直していた。盾の革紐も太鼓の皮も、張りすぎれば裂ける。セイルはその職人から指先の力の使い方を聞き、兵へ渡す前に全ての紐を確かめた。専門の違う技が、静かに一つの盾を支えた。


夕方、直した盾が一隊へ渡された。兵たちは裏側の革を引き、腕に合うか確かめた。表の紋章は古いまま。だが支えるものは新しくなった。セイルは修繕師に礼を言い、次の倉庫へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。