↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/216

覚えられない型

王国の訓練場で、若い槍兵たちがセイルに教えを請うた。SSS級の冒険者なら、何か特別な槍術を持っているはずだという。セイルは断ったが、兵たちは一度だけ手合わせを願った。訓練長も興味を隠さなかった。


木槍を渡されたセイルは、深く構えず、相手の踏み込む足を見ていた。若い槍兵が突くと、彼は半歩だけ位置を変え、柄を軽く押した。相手は自分の勢いで砂に膝をついた。次の兵には別の動きで応じた。どれも同じ型に見えず、真似しようとすると上手くいかなかった。


「何流の槍ですか」と訓練長が尋ねた。


「分かりません。槍を持てば、こうしたほうがいいと思うだけです」


兵たちは首を捻った。彼のスキルを聞かれると、セイルは「適正です」と答えた。十歳の授与の儀で告げられた二文字だ。剣術スキルを得た者は剣の上達が早く、槍術なら槍の理が身体へ刻まれる。それは誰もが知っている。しかし「適正」が何に向くのかは、本人にも分からない。


訓練長は同じ動きを教えてほしいと頼んだ。セイルは困った。今の一歩は目の前の相手に合ったもので、次の相手には違う一歩になる。そこで彼は足元の砂を均し、槍兵に互いの踏み出す癖を見せ合う練習を提案した。


訓練長は翌日、セイルの動きを一人で再現しようとしたが、何度も失敗した。セイルは正解の型を押しつけず、相手の背丈に合わせた間合いを探すよう勧めた。槍の長さは同じでも、持つ人の腕の長さが違う。その当たり前を、兵たちは体で確かめた。


夕方、若い兵たちは特別な奥義を覚えなかった。それでも相手の膝を見るようになり、無理に前へ出る回数が減った。セイルは木槍を返し、掌に残ったささくれを指で取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。