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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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橋脚の内側

帝国の橋梁官が、王国との境に残る古橋の橋脚を調べたいと申し出た。レオンハルトは地図の線を見ただけでは許可せず、橋が今どちらの軍にも使われていない理由を尋ねた。答えは単純だった。去年の氷で橋脚の内側が割れ、重い馬車を渡せないのだ。


クラウスは修理して兵を渡そうと進言した。しかし工兵長は、支えの下を流れる渦が変わっており、足場を置くことさえ危険だと報告した。皇帝は修理の期限を命じなかった。代わりに、壊れた石を採取して材質を確かめる許可を出した。急いで崩せば、下流の渡し場まで流木と石が届く。


橋の管理人は帝国領の老人だった。若い頃、王国の花嫁を迎えた商人を渡したことがあるという。老人は橋が軍用になるのを嫌がったが、破損を放置すれば人が落ちる。皇帝は軍が通る以前に歩行者の通行を止める板を設けるよう指示した。


午後、工兵は古い銘板を発見した。両国の石工が半分ずつ橋を造った証しだった。銘板を削れば境界の印が消える。レオンハルトは残すよう命じた。自分が奪おうとする土地には、父の時代より古い人の仕事が積まれている。征服を望む意思と、その事実を認めることは別ではなかった。


技師は橋の下流に棲む魚の群れも気にしていた。補修で川底を掘れば産卵場が濁ると漁師が訴えていたからだ。


橋脚の断面図が上がってきたとき、皇帝は裂け目の深さではなく、点検した者の名を先に見た。危険を知らせた責任が誰にあるか、修理後も追えるようにしたかったからだ。橋が使えるまで軍は迂回する。クラウスには不満が残ったが、レオンハルトは渡れると信じたい気持ちを、渡れるという証拠と取り違えなかった。

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