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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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急ぎすぎる将軍

関所を確保した帝国軍では、次の丘へ進む案が現地から提出された。クラウスは賛成し、部隊を増やすよう進言した。レオンハルトはサビーネから届いた別の報告を読んだ。関所の下の道が落石で塞がれ、食料を積んだ荷馬車が一台通れなくなっている。


「進める兵と運べる食料を分けて考えるな」と皇帝は告げた。クラウスは自軍の勇気を疑われたように顔を強ばらせた。レオンハルトは彼の功績を否定しなかった。ただ、山を越えた勢いだけで翌日も勝てるとは思わなかった。


皇帝は進撃を保留し、工兵に落石の除去を命じた。同時に王国の後退路を観測させる。敵が引き返して反撃するなら、細い道で受け止める方が利があるかもしれない。新しい丘を得るより、奪った関所を保つことに部隊を使った。


クラウスは会議を終えても、進撃の望みを捨てていなかった。皇帝はそれを咎めず、次に進める条件を整理して提出するよう命じた。反対意見を沈黙させれば、将軍はただ頷く人間になる。レオンハルトが求めたのは従順さだけではなかった。条件が揃った日に、誰より先に動ける軍であってほしかった。


夜、サビーネから私信が届いた。王国軍の小隊が撤退するとき、負傷者を残さず連れ去ったという。彼女はそれを、相手が怯えて逃げた証拠ではないと記していた。レオンハルトは短く「理解した」と返した。


翌朝、峠の荷車が通れるようになった。将軍たちは前進を求めたが、皇帝はまず関所へ薬と靴を届けさせた。勝った直後の兵は、自分の疲れを正しく言えないことがある。王国の兵もまた、同じ山の寒さを受けているはずだった。

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