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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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苦い勝利の報告

レオンハルトは砂州を確保してから初めて、前線の将校たちを帝都へ集めた。クラウスは戦果を示すため、獲得した土地を赤く塗った地図を用意した。皇帝は地図を見たあと、戦死者と病人の記録を同じ卓上へ置かせた。


砂州の獲得で王国軍の一部が移動したことは確かだった。しかしその間に帝国軍も病で倒れる者を出し、舟の修理費が増えた。サビーネは赤い部分の面積と兵の疲労が見合うか分からないと答えた。クラウスは弱気だと責めたが、皇帝は二人に発言を続けさせた。


新しい地点を得たことで、王国軍の街道へ射程が近づいた。一方で帝国は砂州を守るため、兵を薄く広げなければならない。レオンハルトは前線の地図へ補給所と救護所を書き込み、赤い色の広さだけでは判断できない形にした。


若い士官の持参した軍靴は、底が半分剥がれていた。大きな戦果の話を求める将校たちの間で、その靴を見た者はいなかった。レオンハルトは後で軍需官を呼び、同じ型の靴に破損が多いか調べさせた。小さな不具合も放置すれば、次の河岸で兵の命を決めかねない。


会議の最後に、一人の若い士官が「陛下の期待に応えられませんでした」と謝った。皇帝は彼が舟の漕ぎ手を無事に戻したことを確認し、「期待とは死者の数を増やすことではない」と告げた。勝利を否定するのではなく、その費用を知る必要がある。


夕暮れ、将校たちは帝都の宿へ散った。赤い地図は巻かれ、傷病者の書類は軍医へ戻された。レオンハルトは一人になってから地図を広げ、砂州の細い輪郭を指でなぞった。土地は確かに増えた。だが答えはまだ増えていなかった。

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