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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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閉じた門の内側

砂州の争いが始まると、王国側の城門が昼間にも閉じられた。避難民は買い物へ出られず、ギルドの荷馬車は長い列を作った。セイルが門へ行くと、門番はダリオの命令だから開けられないと繰り返した。


命令には、敵の斥候が紛れ込む恐れのある時間帯は門を閉じるとあった。終日閉鎖とは書かれていない。セイルは門の守備長へ原本を見せ、混雑する時間を避けて検査を再開するよう提案した。彼に門を開ける権限はないため、ダリオに確認を取ってもらった。


列に並んでいた荷車には、鍛冶屋へ届ける炭と、避難学校の机が積まれていた。炭が届かなければ軍の蹄鉄を直す鍛冶屋が困る。机が届かなければ子供が冷たい床で字を書くことになる。門を閉じれば敵を止められるかもしれないが、味方の仕事も止まる。


門が開くのを待つ間、避難民の老人は荷車の上で眠り込んでいた。係の兵が大声で呼んでも起きず、周囲が騒いだ。セイルは医師を呼んだが、老人は深く眠っていただけだった。長い移動と寒さに疲れていたのだ。検査所には座って待てる長椅子が用意され、翌朝から老人の列だけ少し短くなった。


午後、検査所は少人数ずつ通す方式で再開した。役人たちは荷主の住所を書き留めたが、村を追われた人には今の住まいしかない。セイルは元の住所を空欄のまま受け取り、避難先の管理人に照合してもらうよう頼んだ。


日暮れまでに列は短くなった。最後の荷車の御者は、遅れたことを謝りながら机を運んでいった。セイルは門が閉じる音を聞き、明朝の開門時刻をもう一度確かめた。守るための門は、開ける時間を忘れてはならない。

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