↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
150/216

船腹の泥

レオンハルトが受け取った戦報には、下流へ向かった帝国の舟が予定どおり戻ったとあった。ただし舟底には想定より濃い泥が付き、漕ぎ手の腕が腫れていた。工兵長は浅瀬を通るたび川底へ船腹が擦れ、舟の速度が大きく落ちたと報告した。


「王国軍に見られたか」と皇帝が尋ねると、「間違いなく」と答えが返った。隠すことを目的とした行動ではない。敵に複数の渡河点を警戒させるための示威だった。しかし示威のための舟が壊れては本末転倒である。


クラウスは舟の数を増やすよう求めたが、皇帝はそれを退けた。王国が兵を分散したかどうかは、まだ確認できない。舟を追加すれば工兵と木材がさらに要る。示威が敵を動かすまで待つのも一手だが、待ちすぎれば王国側の観測が進む。


舟の漕ぎ手の一人は、帰還してから手の皮がむけ、綱を握れなくなった。皇帝は医務官へ治療を任せ、舟の配置を調整した。疲れた者を同じ仕事へ戻しても、川の調査が進むとは限らない。漕ぎ手が回復するまで、経験のある者が若い兵に川の流れを教える時間を作らせた。 修理用の板にはそれぞれ削った日付が記され、舟ごとの損耗を比べられるようになった。別の川では必要な補修も違うはずだった。


レオンハルトは別の方法を選んだ。峠へ向かう輸送隊に新しい旗を持たせ、川とは無関係の軍の動きを目立たせた。旗に偽の命令を書くのではない。本当に峠の修理へ向かう部隊が、敵に見える位置を通るだけだ。


作戦を聞いたリディアは、敵の目を欺くために村の道を封鎖しないでほしいと念を押した。皇帝は承知し、商人の通行を妨げぬ時間に軍を移した。兵に見せるための旗が、暮らす人々の往来を奪うなら、帝国は自分の足を切っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。