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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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旗を降ろす理由

丘の訓練場で、若い騎士団がセイルに決闘を申し込んだ。彼らは王国の名誉を掲げ、退かない戦術を教えてほしいと言う。先日の渡河路で撤退を勧めた臨時参与を、臆病だと噂する者もいた。セイルは剣を抜かず、訓練場の端にある赤旗を指した。


「その旗を守ってください。私は取りに行きます」条件は単純だった。騎士たちは盾を組み、最も強い剣士を旗の前に置いた。セイルは正面から進まず、馬具置き場へ回った。足場の板が一枚浮いていて、守る側が旗を見ようと向きを変えると踏み外す位置にあった。


彼は旗を奪わなかった。板の上へ細い棒を置き、これを敵が使えばどうなるかを示した。騎士は腹を立て、卑怯だと言った。セイルは頷いた。「戦場で相手に、正面から来てくださいとは言えません」


盾を持つ若者は、訓練の終わりに自分の靴底がすり減っていることに気づいた。剣ばかり磨き、足元を見ていなかったのだ。セイルは靴職人へ相談するよう勧め、軍の倉に補修材が残っているか確かめた。腕の技術を競う場で、靴一足が守りを支える。その発見を若者は恥じず、仲間の靴も見て回った。


その後、騎士たちに赤旗を三歩下げさせた。今度は板を踏まず、全員が互いの位置を見られた。防御は強まったが、訓練場の端にいた見張りが背後を見失った。セイルは別の欠点を示し、騎士たちと配置を変え続けた。旗を守るのに唯一の陣形はない。


最後に団長が言った。「では、旗を降ろすのはいつです」セイルは仲間の顔を見渡した。「旗を守るために、その下の人をすべて失うと分かったときです」団長は何も答えず、翌日の訓練から負傷者の搬送役を一人増やした。

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