↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/216

和平ではない使節

帝都へ王国の使節が来た。目的は和平ではなく、国境の難民が使う渡し場の安全を取り決めるためだった。レオンハルトは使節を迎え、会議の席へリディアを同席させた。王国の提案は、週に一度だけ民間の荷を通す時間を設け、双方の兵が武器を向けないというものだった。


クラウスは敵がその時間を利用して偵察する危険を述べた。使節は否定しなかった。人が通る限り、誰が何を見るか完全には制限できない。しかし渡し場を閉じ続ければ、病人も食料も川を越えられない。皇帝は条件を探った。


双方が渡す荷を事前に記録する。武器と軍用地図は持ち込まない。立会人には以前の捕虜交換を取り仕切った塩商人を選ぶ。合意は期限を設け、違反があれば停止できるようにする。使節は少しずつ譲り、レオンハルトも軍の面子を理由に拒まなかった。


会議が終わると、使節は「王国は降伏しません」と念を押した。皇帝は頷いた。「帝国も兵を退かせぬ」双方とも、戦争を終える権限をこの席へ持ってきていなかった。


塩商人は立会人の依頼を受け、報酬より先に自分の船が沈んだ場合の責任を尋ねた。レオンハルトは軍が借りる船の補償範囲を明記させた。善意を求めるとき、損害のすべてを相手へ背負わせてはならない。商人は条文を読んでから、ようやく首を縦に振った。 その紙にも、双方の封蝋が置かれた。


合意書には細い文字で、冬季の民間荷輸送についてと記された。書面を持ち帰る使節を見送りながら、レオンハルトは和平でない約束にも重さがあると知った。川を渡る一人の暮らしを守ることは、戦を止めることより小さくても、無意味ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。