前へ目次 次へ PR 60/125 20世紀シーン3 吉永帰還 「ふうん・・あんた、素人ちゅうきんど板前の修業をしていたんかいな?」 突然現れた吉永だったが、丁度花板を戦地で亡くして、芯になる料理人を欲しがっていたこの店の主人が、試しに調理をさせて見た。鯒の造りが余りに見事だったので、そう聞いた。この当時、板前の出身などは、現在のように寝堀葉堀り聞かれる事は無かった。何より戦時復興の最中で、身元も分らない料理人は沢山いたから、吉永の経歴を尋ねるより、まず、その腕前を試したのであった。