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平穏①

「ここだと巻き込まれそうだな……」

 レストレードはそう言うと、首をコキッと鳴らした。

平穏(シャンティ)・フォーマット・『影龍』・『混獣化(エクリプス)』」

 その言葉と共に、レストレードの背中に龍の翼が生えた。

「……あぁ、やっぱり完全再現は無理か。まあ翼を出せただけでもオッケーかな……」

(やっぱ奪った術を使えるんだな……深層スラムの男もサイボーグ化で術のコピーがどうのこうのって言ってたし……この女の技術力は底が知れないな)

 俺がそう思っていると、レストレードは軽くジャンプした後に翼を大きく動かしてホバリングした。そして、俺に向かって急加速で突進してくる。寸での所で刀を間に挟んだが、腕を掴まれて拠点の屋上近くまで持ち上げられた。そして、奴は俺を屋上にぶん投げる。

 なんとか受け身を取って着地するが、物理ダメージはMDSじゃ防げないので腕が痛む……奴はホバリングした状態で高みの見物をしてやがるが…………どうやって叩き落とそうか。

「ここなら邪魔は入らない……アンタの服従する人間の術でアンタを殺してやるよ」

「……ハッ、服従だぁ? お前は俺達の事を何も分かっちゃいないな。俺達の繋がりは主従関係なんてチンケなもんじゃあないぜ」

「だったら何だっていうの? 組織を支配するには相手を服従させる事以外に無い。下の人間がつけ上がれば組織は崩壊するでしょう。あぁ、アンタ達の組織って『契約』だったっけ? どちらにしろアンタ達の理想をは程遠いと思うけど」

「だから言ってんだ。”分かってない”ってな」

「……何が言いたい?」

「俺は……沢山の仲間達の遺志を継いでいる。目に見えなくても確かにそこにある。俺に力をくれるんだよ」

「クッサいセリフ吐かないでくれる? 寒気がするわ……」

「じゃあ逆に聞くが、お前は何のためにここまでやってるんだ? 殺した人数なんて一桁じゃ収まらないだろ? その原動力は何なんだよ」

「…………関係無いだろ」

「その間は……やっぱりお前もそういう節があるんだろ?」

「無駄話はここまで」

 するとレストレードは再び急加速して突進して来た。威力は明らかにオリジナルの影龍には劣っているが、七割程度しか回復していない俺にとっては痛手だ。だが俺もやられてばかりではない。突進を回転するように受け流すと、すぐに奴の方へ向き直った。

「二度も同じ手は喰らわねえよ。アホが」

 着地したレストレードに向かってダッシュして斬りかかる。だが、これは翼の先端にある爪で防がれてしまった。そこにもう片方の爪の刺突が差し込まれる。しかし俺は同じように身を捻ってギリギリ回避すると、無防備となった片翼をガッシリと掴んで柔道のように投げた。

(ヨシッ! しっかりと間合いは取った! 四尺刀の適正距離だ!)

 地面を転がって倒れているレストレードに向かって振り下ろす様に斬撃を加える。するとしっかりと効いたようで、MDSを削り取る感覚があった。すぐにバックステップで距離を取ると、先程まで俺が立っていた位置に尻尾が思いっきり叩きつけられた。

(……!? さっきまで尻尾は生成されてなかったはず……もしかしてコイツ、徐々に影龍に適応していってるのか!? マズイな、早く倒さないと……)

 レストレードは立ち上がると、俺の方を睨んだ。状況は少しマズイが、だだっ広い陸上での戦いとなった。これでやっとマトモに戦える。

久しぶりにナチュラルな戦闘描写を書いてみました。

文字だけでアツさを伝えるのって難しい

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