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大混戦

 俺は闘技場の屋根から剥き出しの渡り廊下へと降りると、すぐ近くの階段から一階まで降りた。すると、もう至る所で十契とレスパリが戦っている。

 一番近くでは、サユさんがレスパリの構成員六名に囲まれている。しかしサユさんは特に動揺していない。余裕の表情でクルクルとカーソルの様な矛を回していた。そして、レスパリの連中の攻撃を華麗に捌きつつ突きの攻撃を加えている。加勢しようとするが、入る隙が無い程にハイスピードで追いつけない。

 すると、サユさんは右手に矛を持ち替えて突き出した。誰にも当たっていない。だが矛の先端は十数個に分かれて伸び、取り囲んでいたレスパリの奴らに突き刺さった。四人程はそれで死んだようで、起き上がらない。そしてサユさんは、残った奴らを最速で斬り伏せた。

「リク君、気をつけてね。乱戦だから背後にも注意して!」

「はい……ところで、今拠点に居る幹部って誰ですか??」

「今居るのは、一眼、二眼、五眼、六眼の計四人よ。その直営隊も揃ってる」

「分かりました! では、自分はアッチで戦います!」

「気をつけてね! 今は回復に長けた九眼が、マイカさんの治療の為に不在だから……怪我しても簡単には治せない!」

「了解です! ではサユさんもお気をつけて!」

 俺はそう言うと、中庭の方へと走った。すると、そこには明らかに雰囲気の違う奴がコウさんと戦っていた。

「お前は……ッ!!」

「……その顔、確か雨の日の」

 中庭に居たのは、幹部に成り上がった構成員。遅延路線(ラグトレイン)のレノだった。

(まずい……ここはアイツと戦うには狭すぎるッ! 中庭の大きさは四方二十メートル程度……アイツも術の性能を上げているはずだ。つまり、中庭全体が奴のレールの射程圏内と考えた方が良いな)

「リク君ッ……!! コイツは強い! 逃げるんだ!」

 俺はコウさんのそんな声を無視して刀を抜く。

「コウさん……コイツと俺には因縁がある! そう簡単に引き下がれませんよ!」

 レノは、中庭の中心にある小さな池。そのさらに中央の噴水のような物の上に陣取っていた。レノの術は直接攻撃には繋がらないはずなのだが……なぜか、中庭には数人分の死体が転がっていた。レスパリらしい奴が二人、十契が四人。立っているのは俺とコウさんだけだ……

「もう一人、卑怯な手で私とジェイキーから逃げ出した方は……あぁ、失礼。もう死んでましたね」

 明らかな挑発。だが、俺は怒りを抑えきれなかった。つい直線的に斬り掛かってしまう。すると、レノはそれを待っていたかのようにレールの攻撃を仕掛ける。

(ヤバい! 減速させられる!?)

 しかしレールは俺を囲むのではなく、俺の足元を始点として伸びていった。

「……ッ!?」

 するとレノの方へ真っ直ぐ飛んだはずの俺の体は、レールに沿って物理法則を無視した曲がり方をした。

(何だッ!? コレは……幹部になったレノの新しい能力か!?)

 俺は思考が追いつく前にレールの終点を通過して空中に投げ出される。なんとか受け身を取れたが……かなり厄介だ。

「リク君……これで分かっただろう。アイツは危険だ。だから、ここは俺に任せてくれ。相性は最悪だがな」

「でも……」

「コウとか言ったな……貴様の固有術、内容は見当がつくぞ。だからこそ、私の術とはとことん相性が悪いのも理解している……五百年以上生きたアンタが、百年ちょっとしか生きていない私に遅れを取っているのもそれが原因かな??」

(やべぇ……一体何なんだコイツッ!! コウさんの術の中身を予測しているだと? 本当ならかなり厄介だな……というか、それ抜きにしてもかなり強いぞ)

昨日は、戦闘シーンのネタが思いつかなかったのでお休みさせていただきました

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