ボスVSボス
目を開けると、俺達は貯水槽に居た。ジェイキーの姿は見えないし、俺達は無傷のままだ。
「チッ、位置まで戻っちまったか。だが、とりあえずは成功……かな」
「ヒロ、ここからどう出るよ?」
「あまり能力を見せびらかしたくはないが……致し方ないだろう。影龍で一気に飛んで帰るぞ」
「おう!」
俺達は歩いてきた配管を通って廃墟のような居酒屋に出ると、表通りに出た。すると、目の前の男たちが声を掛けてくる。
「お前達……見ねえ顔だなぁ。何者だ?」
「ちょっと小遣いくれねぇか?? 頼むぜ〜」
お手本のようなカツアゲを仕掛けてきた。威圧のためか、ヒロの肩に腕を引っ掛けて距離を詰める。
(あーあ、辞めときゃ良いのに……運が悪かったなコイツら)
するとヒロは男の腹に強烈な膝蹴りを入れ、足を引っ掛けた。他の奴らがヒロに近づこうとすると、ヒロは倒した男の腕を掴んで振り回した。無事に全員を倒すと、ヒロは男の胸ポケットからタバコをパクって火を付けた。そして、煙で影龍を生み出す。
「さあ、行こうか」
「おう!」
俺は影龍に乗るヒロから差し伸べられた手をガッシリと掴むと、勢いよく乗り込んだ。それを確認すると、ヒロは影龍を力強く飛び上がらせた。そして、大きな翼で空を泳ぐように飛んだ。どんどん加速していく影龍に必死にしがみついていると、どこか不思議な快感を覚えた。
「……到着まで五分って所かな。間に合うと良いが…………」
(ヒロ、途端に真剣な顔になったな。俺も気を引き締めないと……ジェイキーに勝って少し安心してたが、ここからが本番なのかな。一体どんな戦いになるのか……術者は基本的に多対多が苦手だ。術同士が干渉しちまうからな。でも見る限り、あの拠点の壊れ具合は一人の犯行じゃない……レスパリと製作所が一気に来たのか……??)
「リク! もう着くぞ! 気合入れろ!!」
「おう!!!!」
少し上昇して拠点が目に入る位置に来ると、既にレスパリの奴らが正門の前に集まっているのが見えた。既に数人は拠点の敷地内に入っている。
「遅かったか!? いや、ギリ間に合った!?」
「いいや! まだ大丈夫だ! 術が盛んに打たれている様子が無い! 今から飛び込むぞ! リクは闘技場上で飛び降りてくれ! そこで影龍を一旦解除する! 俺はこの勢いに乗ってそのまま一撃叩き込むぜ!」
「了解!!」
影龍が敷地内の上空に入る。そして、闘技場……つまりは体育館跡まで来ると俺は飛び降りた。低空飛行だったので、大した衝撃は無い。俺は刀が引っ掛からないように気をつけながら着地した。そして、すぐに下を見る。ほんの少しだけ遅れたようで、もう下では術者同士の壮絶な争いが始まっていた。
(……ッ!! アイツは!)
下にはレスパリのボス、紅蜘蛛華が目に入った。目の前に対峙するユイさんと睨み合っている。そして、痺れを切らした華が仕掛ける。だが、そこに割ってい入るのは……
「よう、久しぶりだなぁ。華ァ!!」
「……ッ!? お前は……!? 何でここに!」
ヒロは影龍から飛び降りてそのままの勢いで、斧を生成した。そして、切り上げるような華の斬撃を斜め上から止めた。そのまま、強烈な空中での回し蹴りを華の頭に叩き込んだ。
「ユイは自分の隊の奴らを守ってやってくれ……! コイツは俺がやる!!」
ヒロの纏う気配がまた一段と変わった。もはや鬼神の如しオーラを放っている。
「●●……ついにこの手でアンタ殺れるんだね」
「黙れ。死ぬのはテメェだボケが」
華が、ヒロの本名らしき名前を言ったが……ドンパチうるさいせいで上手く聞こえなかった。
「……さて、俺も働かないとな」
俺は見下ろす姿勢から立ち上がると、刀に手をかけた。
ついにここまで来ました……最初は途中で失踪するかな〜とか思ってましたが、少なくとも第一部はしっかり書き終われそうですね。この調子でこの後もガンガン書いていきます!




