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情動再生⑦

「リセット完了……」

 そう言って軽く肩を回すジェイキーは、確かに傷が全回復していた。さらに、床に飛び散っていた血痕も全て消失している。激しい戦いで損傷したコンクリの床も全て綺麗になっているが……

「残念だったなぁ」

 ヒロはそう言うと、背後からジェイキーを尻尾で突き刺した。

「あ゛ぇ……何でテメェらが……」

「お前とずっと戦ってるとよぉ……まだ覚醒したばかりなのか知らんが、術の認識範囲が甘い事に気付いてな。リセットされたとしても、少しでもお前に触れていればお前の体の一部と認識されてリセットされる……そう踏んで、バレねえようにお前の足首あたりを影龍の翼を薄く伸ばしてお前の足に巻き付けた。リクも連れてくる為に同じように巻き付けたが……上手く行ったみたいだな」

 ジェイキーは脇腹を貫通しているヒロの尻尾を掴むと、汎用属性を全力で流した。そして、満身創痍ながらも再びヒロと戦い始める。全快したが故に時間を先行させる術が無いとはいえ、普通は行動を戻される体験などしないのでヒロも少し苦戦している。だが、再びリセット前を似たような状況になる。お互い全快しているので、まだまだ勢いは落ちない。

「次は遅れを取ったりしねえぜ! 零眼!!」

「そうだな、()()()対抗できてる」

「……は??」

 そこで俺は背後からジェイキーを思いっきり斬りつける。かなりの威力が乗っているので、MDSをガッツリ削った感覚がある。

「野郎ッ!! しゃしゃってんじゃあねぇぞ!」

 俺はジェイキーが振り返るよりも前に、溜まった分の斬撃を放った。そして、見事に着弾する。

「う゛お゛ぉ……畜生、テメェ…………」

 ジェイキーはかなり消耗しているが、止まらず俺に一撃を入れようとしてくる。予想外の反撃に、俺は刀をジェイキーとの間に差し込む事しかできなかった。

(やべぇ、殺られる!)

 しかし、今度はジェイキー背後に立つヒロが一撃を放つ。混獣化(エクリプス)を解除しながら龍型の頭部を伸ばして影龍を生み出し、ジェイキーに深々を噛み付く。

「残念、やらせねえよ」

 影龍はそのままジェイキーを一気に噛み砕いて、ゴクリと飲み込む。飲み込んだ音が響いた瞬間に、薄暗い貯水槽に静寂が広がる。それを破るように、ヒロはドサッと座り込んだ。

「あ〜〜、やっと終わったぜ……すまねえな、リク。勝手にコイツの術を吸収しちまった」

「え? あぁ、別に構わんぞ。そんな事より、勝った安心感がヤバい……」

「そうだな」

 ヒロはポケットからヤニを取り出して、オイルライターで火を付ける。火を付ける前にオイルライターを指先でクルクル回して遊んでいる所を見ると勝ちを実感するのと共に、こんな化物みたいな強さの奴も遊び心のある人間なんだというのを感じた。

「ん、そうだリク」

「どうした?」

「ちょっとアッチ側に向かって歩いてみてくれないか? 顔はコッチに向けて後ろ歩きで」

「え? 良いが……」

 俺は言われるがままに後ろ歩きすると、急に少し前の位置に戻された。

「コレって……!?」

「そう、さっき取り込んだジェイキーの固有術だ。思った通り、こりゃあ強力だぜ」

(コレ……もうヒロに対抗できる奴なんて誰も居ないんじゃねえのか!? 火力も速度も、時間さえも操るなんて……無敵じゃねえか)

 俺は、最強の誕生に心を踊らせた。ヒロに勝てる奴なんてもう存在しないだろう。

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