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情動再生⑤

「テメェら……特に幹部連中は、あの女に何か幻想を持ってるみたいだけどよ。アレはお前らの思ってるような人間じゃないぜ?」

「黙れ。お前に何が分かるって言うんだ? ゴラ」

「あれ……お前知らないのか? 俺とアイツは百五十年くらい一緒に過ごしてたぜ? そこら辺を幹部にすら隠してるあたり、やっぱり大概碌でもないな」

 ヒロは冷然と言い放つと、斧を引き寄せてジェイキーの肩から抜いた。そして手元に戻すと、再び回転滞空をさせた。

「碌でもないのは━━」

 ジェイキーがそうつぶやいた瞬間に、姿が消える。

(まただ! どこに行った!?)

「━━部下を信じないテメェも同じだろうがよ」

 今度は俺の真後ろから聞こえた。レノのラグを利用した瞬間移動に近しい、理解し難い感覚だ。俺もヒロも反応できず、俺は背中に強烈な一撃を食らった。

(ぐぁ……マジで何なんだコイツ……)

「ここらで俺の術を開示しとくか。そっちの方がお前らは混乱するだろうし━━」

 そう言うと、今度はヒロに急接近して汎用属性を纏わせた拳で思いっきり殴ろうとした。だが、ヒロは驚異的な反応とスピードでしゃがんで回避すると、丸まった背中を伝わせるように回転する斧を飛ばしてジェイキーの額に浅い切込みを入れた。

「━━零眼には反応されたか。お前は薄々気づいていたか? そう、たった今解放された新たな力は『時間を先行させる能力』だ。最大三秒以内で、俺の身体能力で可能な範囲の行動を起こす。術を発動させてから三秒経つまでの間は消去されるから、お前らには瞬間移動したみてえに見えるってのがカラクリだぜ。残念な事に、その三秒でお前らを攻撃したりはできねえんだけどな……」

(そんな……無茶苦茶じゃあねえか……どうやって対処しろってんだよ)

 俺はとりあえず足音をなるべく消して背後まで近づくと、刺突を放った。しかし、真横に瞬間移動されて蹴りを食らう。ヒロは斧を放つが、それも同じく横に瞬間移動されて回避される。

「良いぜ良いぜぇ!! ようやく体が術に追いついてきた! こっからどんどん調子上げて行くぜぇ!」

 ジェイキーは俺とヒロの前に交互に現れて一撃ずつ入れて来たり、一撃入れた後に背後に回り込んで追い打ちを仕掛けて来たりと対応不可能な行動を見せる。俺は、咄嗟にヒロの近くへ向かった。

 ヒロもこのままではマズイと判断したようで、咄嗟にベイプの蒸気で影龍をワイバーン型で召喚して俺を乗せて飛び上がった。

「ヒロ……どうする!? アイツ、急にバカみてえに強くなったが……このまま戦えるのか??」

「……正直言うと、このままだと厳しいかもしれんな。アイツの能力は時間を戻してリプレイするだけだと思ってお前だけを連れて来たが……コウやユイも連れてくれば良かったかもしれん」

「今からでも戻らねえか?」

「いや、もう能力も素顔も見られたからな……生かしてはおけん。それに……」

 ヒロは、ふと下にいるジェイキーを見る。

「アイツ……恐らく能力が進化して間もないんだろう、茜力の使い方が下手くそだ。あのまま術を乱用すればすぐに潰れるぞ」

 ヒロがそう言うと、影龍はブレスを溜めて真下に向けて放った。着弾すると、薄暗い貯水槽全体を明るく照らす程に強力な空色の炎が広がった。さらに、暴れ狂うように立ち昇った炎は次第に形を変えて自然と水になり、大渦を作り出した。そして、急にガチッと硬直して凍る。ジェイキーはさすがに反応できず、渦の中心で氷に閉ざされていた。そこへ、影龍が尾で氷を軽く突付く。すると、氷に一気に亀裂が入り割れた。崩壊していく氷が地面に落ちるよりも前に氷の一片一片が静電気のようにバチバチッとした光を放つ。次の瞬間、辺り一帯が空色の電撃で閃光が走る。ジェイキーは何が起きたか分からない様子で混乱している。

「俺も久々に真面目にやらんとなぁ。ジェイキーよぉ」

このシリーズと同時進行で、怪異に対処する系のストーリー書こうか迷い中

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