情動再生④
氷と炎……相容れない複属性の攻撃。さらに、認識外からの斬撃でジェイキーは明らかに消耗していた。
(コレ……俺が来る必要はあんま無かったんじゃねえのか??)
「はぁ……こりゃあ、本気で挑まないといかんなぁ。零眼……テメェの実力は侮っていたつもりは無かったが、横のお前の事は正直ナメてたぜ。五十年前とは比にならないレベルで成長してやがるッ!」
俺はジェイキーが言葉を終える前に走り出して、斬撃を叩き込む。だが今度はジェイキーの手前数メートル程で巻き戻されてしまい、混乱で足がもつれてしまった所にジェイキーの前蹴りが飛んで来た。が、ヒロが寸前の所で斧を挟んでガードしつつ蹴りを逸らしてくれたおかげで、俺はそのまま体勢の崩れたジェイキーの背中を思いっきり切れた。着実に斬撃が溜まっていっている。
さらに燕返しで切ろうとしたが、刃が当たる寸前で巻き戻されてしまう。しかし、今の俺を巻き戻したらどうなるか……焦っているせいで判断力が落ちているようだな。少しだけ戻された俺は、再び先ほど当てた斬撃をリプレイする。
「ぐあぁッ!! やべぇ……」
(コレ……なんか余裕で勝てるんじゃねえ??)
俺は溜めた斬撃をさらに増やすべく、さらに斬り掛かった。
(俺の検証済みな威力向上回数は最大で26回……そこまで溜めて強化できれば、どんな奴だって一撃!!)
しかし斬り掛かった瞬間、ジェイキーが目の前から姿を消した。
「……ッ!?」
これにはヒロも混乱しているようだ。そして、そんなヒロに向かって背後から容赦ない回し蹴りが飛んだ。ヒロでも反応できず、思いっきり食らって吹き飛ばされてしまった。俺は焦って刀を振ろうとするが、小回りの利かないサイズのせいか一手遅れて後ろ蹴りを食らい、数メートル後ろの壁に叩きつけられた。
(……?? 何だ今の……高速移動特有の空気の流れも感じなかった……)
「俺の術は少々厄介でな。ヤバい状況にならないと能力が解放されねえんだ。さっきまでは、無傷無消耗の一番弱い状態だったってわけ。ここから段々レベルが上がっていくぜ?」
遠くを見ると、吹っ飛ばされたはずのヒロは斧を滞空させながら回転を加え、いつでも攻撃できるようにしていた。
「さすが、零眼は頑丈だな。あれだけのツワモノを纏め上げているだけはある」
「お前……少なくとも後一回分は何かを隠してるな。今しがた丁度半分削ったくらいの体感だったからな……まあ今を片付けないと先を気にしてもしょうがないが……」
「予言しておくぜ! テメェらは、あと一歩って所で足元を掬われて俺に負けるッ!!」
「どっちが死ぬか。今はそんな事気にしてないぜ? 俺は。マイカを傷つけた恨みを晴らしに来た、それだけだぜ」
「……そうか。それだけの為に五十年ぽっちのガキを連れてきたのか??」
「そうだ。だが、俺は自分の行動の全てが正しいとは思っていない。俺の人生が終わったその時、良かったって言える展開を作れればそれだけで満足だぜ。ソレに他人を利用するなんて、誰でもやってる事だろ?」
ヒロの斧の回転速度がだんだんと上がっていく。
「……ソレを絶賛利用中の人間の横で言うのか? お前」
「そうだ。リクは、それも承知の上で覚悟を持ってここに来ているはずだ。だから、それに対して妙に取り繕うのはリクの覚悟に対し無礼を働く事になる」
「テメェ、そういうのを屁理屈って言うんだぜ━━」
「ハッキリ言っておくぜ! 俺が人を評価する方法なんてなぁ、気に入ったか気に食わねえかの二択なんだよ! 誰だってそうだろうが。どんなに公平に接しようとしても、必ず段差が生まれる! 人は所詮、人を好感度でしか測れないんだぜ!! テメェの所のボスもそうだ!」
「やめろ! ハナ様は違う!」
ヒロはその瞬間、ヘリコプターのプロペラのように高速回転していた斧を急発進させて弧を描きながらジェイキーへ飛ばした。あまりの速さと起こりの無さから反応できず、ヒロの斧が深々と右鎖骨あたりに突き刺さった。
「だぁ……チクショウ」
昨日はマジでネタが思いつかなかったので、おやすみさせていただきました。
それと、ちょっと第一部で今後にやる予定の展開を考えると100じゃ収まらなそうなんで、急遽一部あたり150話に変更しようかなと思います。




