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情動再生③

 ヒロはジェイキーを見つけると、即座に俺達を乗せたままの影龍を突撃させた。だがなぜか、素早い滑空で衝突するギリギリまで接近してもジェイキーは避けようとしない。

(……?? なんだコイツ?)

 すると、急に影龍がパッと消えて俺達は空中に投げ出された。それと同時にジェイキーはサッと避けた。俺達も慌てて受け身を取った。そして顔を上げるのと同時に、影龍が俺達に突っ込んでくるのが見えた。だが、ぶつかるギリギリで影龍は解除されて姿を消した。

「……さすがにダメか。まあテメェには一度俺の術を見られてるからなぁ、零眼よぉ」

「まぁな……」

「ヒロ……コレが……!?」

「あぁ。奴の固有術『情動再生(ドラマツルギー)』の能力だ。範囲内であれば自分の動きか相手の動きを強制的に戻す事ができる。コレがどうも厄介でなぁ……茜術の身体強化もリセットされちまうから、どうにも困ってんだ」

「つまり……強化が段階的且つ一回ずつの強化がノータイムで終わる俺の術が必要になる。と」

「そのとおり。強化が使えるなら俺一人でもどうにかなるんだが……俺とアイツは色んな面でとことん相性が悪いからな。援護は俺が引き受けるから、リクはガンガン攻めてくれ」

「了解!!」

 俺は刀を抜くと、左手に鞘を持って二刀流のような構えになった。そして、眼前のジェイキーに向かって思いっきり走って斬りかかる。タイミングを読まれないように途中で急加速したが、それでも避けられてしまった。そして、斬りかかる直前からの行動を術でリプレイされた所にジェイキーの蹴りが入る。だが、当たる寸前でヒロが斧でガードしてくれた。

「やっぱりな……お前、知覚できていない攻撃や行動はリプレイできねえんだろ?」

 ヒロは斧を蹴りと俺の間に差し込んで止めたまま、ジェイキーの死角になる位置から強烈な蹴りを放った。すると、ヒロの予想通り蹴りはリプレイでキャンセルされずにヒットする。俺はその隙を見逃さず、ちょうど蹴りの衝撃で目線が上を向いたジェイキーに向けて刀を斬り上げた。すると、これもやはり当たった。しかし、MDSが厚すぎて傷は入らない。

 俺はそのままジェイキーの足を引っ掛けて引き倒すと、ベッドに飛び込むようにして、倒れているジェイキーの顔面に肘打ちを叩き込もうとした。だが流石に認識内に入ったのか、リプレイされてしまい立っている状態に戻される。そして、ジェイキーはブレイキンのように両足を回しながら俺の腰あたりを脛でガッチリ挟んできた。さらに、体を捻って倒そうとしてくる。だが、ヒロが水と炎を複合した汎用属性を纏わせた斧で地面を強く叩いてくれたおかげで、強い爆発が起きて俺達の距離は強制的に離された。おかげで追撃は免れた。

 そうして、状況はリセットされる。ヒロが戦況を良く見て行動してくれるおかげでこちらが有利に進めているが……依然、切迫した状況は変わらない。

「いってぇなぁ……思ったよりヤるみてぇだな」

「マイカに重症を負わせた事、しっかり償わせてやるぜ。カスが」

「仲間だの、部下だのに固執してるから目が節穴になるんじゃあねえか??」

「……」

ヒロは黙ってしまう。そして、数秒の沈黙を打ち破ったのもヒロとなった。ほぼ見えないレベルの速度で斧のケツの部分にあるサファイアの様な結晶から汎用属性を飛ばした。その所作は、十一眼のヒロの面影が残る。ぱっと見で高速回転する水の汎用属性の玉のようだが……ジェイキーは、驚異的な反応速度で術だけをリプレイして距離を作り出した。

 しかし、ヒロはそれを見据えていたように指をパチンと鳴らした。すると、水球は大爆発を起こしす。

「グゥ!? 何だチクショウ!」

「引っかかったなバカめ! それはただの水球じゃねえ! 中に炎を仕込んであるからよぉ、好きなタイミングで爆発できるんだよ!」

 そして、まだ爆発による水蒸気と水しぶきで視界がハッキリしない状態でヒロは斧を回し始めた。すると、斧の先端と斧のケツのそれぞれから黒と空色の光が放たれ始めた。

「コイツを打つのも久しぶりだな……」

 ヒロはそう言うと、回転する斧の光っている部分から光線? のようなものを螺旋状にジェイキーへ放った。俺達とジェイキーの距離は約十メートル。濃い霧に包まれた薄暗い地下では当然反応できるはずもなく、濃霧の奥からジェイキーのうめき声が聞こえた。

「何だ今の……」

覇炎崩凍旋(はえんほうとうせん)……やっぱりレスパリの人間を沈める時にはコイツを使わないとなぁ……! なんてったって、コイツらのボスが俺に考案した技なんだからよぉ……さて、もう霧は要らねえな。テメェのボロ切れみてえな姿を拝むにはよ」

 ヒロはそう言うと、斧をブーメランのように飛ばして風を起こして霧を取っ払った。ついでに霧に紛れて何度か切り込みを入れたようで、ザクッという音も聞こえてくる。

 そうして霧が晴れると、そこには額から血を流して息が切れているジェイキーがいた。

100で終わらせられるか本格的に不安になってきた……150に増やそうかな??

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