アマシロ・レストレード製作所
ワイバーンは俺を乗せて、広大な工場地帯の上を飛行している。すると、下からチカッと青い光が閃くのが見えた。そして、青い雷のような汎用属性の術が飛んできた。
(やっべぇ……しがみつくのがやっとだから、刀で受けることができない……)
そうして一人で焦っていると、ワイバーンは真っ黒な炎を吐いて飛んできた術を焼き消した。そして、何事も無かったかのように再び飛び始める。
(……クッソ強いじゃねえか。分霊体って話じゃなかったのか?? ショウタさんの守護獣よりも断然強いんじゃないのか?)
しばらく俺を乗せてワイバーンが降り立った先は、火事が多発している場所だった。無機質な配管が燃え盛る様子は、この世界の冷酷さを表しているようでどこか気分を下げる。
俺が地面に足をつけると、ワイバーンは大きく跳躍して飛び去った。
(ちょっとは手伝ってくれてもいいだろうがよ……ボスって意外と薄情なのか??)
「リク、来たか。待ってたぜ」
錆びた山積みのコンテナの角からヒロが出てきた。現場で会うのは久々だな。
「おう、状況はどんなもんだ?」
「あんまり良くはない……二眼と六眼の調べによれば、今回レスパリがこの騒動を起こしたのは『アマシロ・レストレード製作所』って所と手を組んだのが始まりらしくてな。それで━━」
ヒロがそこまで言った所で、背後のコンテナが爆発した。
「なんだッ……!!?」
「コイツだよ……俺が手を焼いてるのは」
煙の合間から現れたのは、数カ月前に俺が腕を吹き飛ばした男……ジャックだ。
「ジャックじゃねえか……」
(あれ……コイツ、両腕ともあるぞ? 人違いか?)
「ん? お前は……俺の腕を飛ばした野郎か。リクだっけ?」
「お前……その腕」
「コレか? レストレードさんに作って貰ったんだよ。義手だ」
ジャックはそう言うと、金属が剥き出しになっている左の義手を軽く挙げた。すると、義手が展開されて小さな砲身が出てきた。そして、そのまま砲身を俺達に向けると撃ってきた。
(まずいッ! いきなり来た!)
俺は焦って刀に手をかけた。だが、一手遅れた俺より先に、ヒロが動いて俺を守ってくれた。
「なんて奴だ……ヒーローが変身してる途中に攻撃するタイプだろお前」
ヒロは冗談飛ばす余裕もあるみたいだ。
「レストレードさんには感謝してるぜ……こんな精巧な義手を作ってくれるなんてな。おかげで、幹部候補にまで上り詰めたぜ。手柄は観蛇のアニキに横取りされちまったが……お前らの所の七眼を殺せる程の実力が身に着いた。もう後釜は決まったんだっけか? まあ、そいつも殺すが」
(ここにシンタロウが居なくて良かったぜ。今の発言聞いたら収拾付かなくなっちまいそうだ……)
「なぁ! お前らもそう思うだろ!」
ジャックは急に後ろに大声を張り上げた。すると、奥からゾロゾロと人が出てくる。よく見ると、全員体のどこかの部位が機械でできているみたいだ……
「サイボーグ部隊。全員が身体能力の一部を強化されてるぜ。お前らは生かしては帰さねえ」
(これまた、まずい事になった……コウさんとクリスさんは、バジリスクに対処してるから呼び出せない。この場に来ている幹部で、呼べそうなのはシンタロウだけだが……絶対にコイツと会わせる訳にはいかないな。どう切り抜ける?)
俺は刀を抜いて、戦いに備える。ヒロは、上着の内側から何かを出すと銃に取り付けた。
「リク……少し下がってな」
そう言うとヒロは、姿勢を低くして銃を構えて発砲した。それも、発射音が繋がって長い一発に聞こえる程に速い連射で。どうやら、先程取り付けたパーツが関係しているようで、最前列周辺のサイボーグ達は全員粉微塵になって倒れた。しかし不思議なのは、先頭にいたはずのジャックが無傷なこと。少しは効いているようだが……それでも全然倒れそうにない。
「コレ、連射速度ヤバくて弾が勿体ないからあんまり使いたくなかったんだけどな……ま、いいや。」
状況は未だ不利なようで、奥から十数人のサイボーグが出てきた。
「リク、すまねえが手を貸してくれ。これは俺一人じゃ厳しいかもしれねえ」
「おう、任せろぉ!」
俺はそう言い、一歩前に出た。




