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行方不明②

男の左腕を飛ばした斬撃はそのまま遠くに飛んで消えていった。

「クッソ…よくも俺の腕をぉ!!!」

よく見ると、切り口からそこまで血が出ていない。術を持つと死ににくくなるってのは知っていたけど、こんな感じなんだな。

「俺の親とハルの居場所を言え。そうすれば見逃す。」

「だからぁ!親についてはさっき言っただろうがオイ。脳が溶けてんのかお前は!」

「じゃあハル…この家にいた学生の男はどうした。」

「仲間の報告によればよぉ…どっか逃げたらしいぜ。ま、生き残れる訳も無いがな!ハッハッハッハッ!!!!」

「もういい、十分だ。じゃあな。お前に構ってる暇はない、ハルを探さないと。」

「お前のその傷痕…華様に斬られたんだろ?」

「……!?なんでそれを………?」

「華様は俺達のボスだ。お前があの人と戦って勝てるはずもないし、実力を測られたのか。あの人の悪い癖だ。その肩の傷跡を見ればすぐに分かる。あの人の刀だけはな……別格なんだよ。俺達の組織は無敵だ!今俺を殺さなければ、仲間を引き連れてお前を殺す!後悔したくなければ……構えろ。俺はまだ死んじゃあいないぞ!」

(コイツ……ただ頭のおかしい野郎かと思ってたけど、意外と普通に考えられるんだな。)

俺は静かに刀を握り直す。雷の男も杖を構える。だが、第三者によって流れは変わる。

“ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!”

突然地響きのような重い音が鳴り響いた。そして雷の男の後ろから、住宅を突き破って巨大な蛇が出てきた。いや、これは普通の蛇じゃない。頭部は鳥のような蛇のような見たことのない形をしている。しかも頑丈な前肢が生えていて、サイズは恐らく三十五メートルはあるだろう。

「おい、引き上げるぞ!」

よく見ると、蛇の頭の上に小さな男が乗っていた。小学生か中学生程度の身長だ。見た目も幼い…

「なんでだ!今良いところだったのに!」

「『十一眼(じゅういちがん)契約者(けいやくしゃ)』が動きだしたんだよ、幹部五人とその直営隊が来てるみたいだ。俺達を消しに来るぞ!!タイムリミットだ!」

「…………」

「早く乗れ!俺の守護獣(ガーディアン)は探知されやすい!さっさと逃げるぞ!」

「チッ、しゃーねーな。オイお前、名前はなんだ。」

「凛堂坂李玖。」

「そうか……覚えておくぜ。俺はジェイクだ。いつかこの腕の借りは返すぞ。」

そこまで言うと、雷の男は蛇に乗った。それと同時に蛇はすごい速度で住宅街を逃げて行った。

「ふぅ……なんとか終わったな。」

(いやいや、ホッとしてる場合じゃねえ。ハルを探さないと…)

もうすぐ日が暮れる。ハルを探して安全な場所に行かないといけないという思いが疲れ切った足を必死に動かした。でも、見つからない。必死に探し回っていると、気付けばビル郡の路地まで来ていた。

(まずいぞ……本当に見つからない。どうする…?)

突き当りまで行って物陰を見てみたりもしたが、見つからない。他を当たろうと振り返って行こうとすると、上から何かが降ってきた。

「うわっ……何だこれ。」

よく見ると、それは怪我をした老人の男だった。

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」

俺は走って、倒れている老人の方へ向かった。そして手を触れる直前、何か違和感を感じて手を引っ込めた。

(なんで老人が降ってくるんだ?しかも…銃創が何個かある。切り傷も……この人もしかして…)

「なんだ…近寄って来んのか。気付かれたのか勘が良いのか…ま、どちらにしろ貴様の茜術解放力を吸い取らせてもらうまでよ……」

老人はそう言うと、右手をパッと開いた。すると、その手のひらに合わせるように二メートルほどの長い杖が出てきた。

「悪いが…そんなに余裕が無いんでな。さっさと終わらせるぞ。」

「何が来る……!?」

老人はその体に見合わない速さで俺の方に走って来たかと思うと、結晶が埋め込まれた杖の先で俺の腹を思い切り殴ってきた。同時に、なぜか力が抜ける。

「儂の固有術は、茜術を打つ力…即ち解放力を相手から吸い取る。そして、体内でそれを倍増して己のものとするのだ。今回貴様はほとんど解放力が残っていなかったから、その分肉体としての力が取られたんだろうな。」

(まずい…この爺さん速い。威厳も風格も、さっきの雷野郎とは段違いだ。どちらかと言えば、あの蜘蛛女に近いぞ。でも…コイツをなんとかしないと。)

俺は震える足を無理矢理動かして立ち、刀を構えた。

「ほう…立つうえにまだ戦う意志があるのか。それもまたよろしい。真正面から打ち砕いてやろう。」

(……やっぱりダメだ。勝てる気がしねえ…万全の状態でもこの爺さんにはきっと勝てない……)

俺の絶望を察したのか、爺さんが間合いを詰めようと踏み込んだ。その瞬間、上からまた誰かが降ってきた。そして、突進してきた爺さんを上から突き刺す。

「グェ……貴様、もう来たのか………クソォ、この青二才如き…に……」

(よく分かんねえけど助かったのか?)

上から降ってきた男は、爺さんを突き刺した銃剣付きのライフルを引き抜く。そして、ちらりと俺の方を見ると、目にも止まらぬ速さで銃剣を俺の首に突き付けた。

「君は…『高潔の紅華レッドスパイダーリリー』の人間じゃないみたいだね。ごめん。」

眼鏡を掛けた同い年くらいの男は、そう言うと柔らかな笑顔で俺に手を差し伸べてきた。

「俺は『十一眼(じゅういちがん)契約者(けいやくしゃ)』幹部。十一番幹部の者だ。」

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