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息つく間もなく

 俺が闘技大会の決勝戦で敗北して数日、シンタロウは無事に七眼。つまりは、この組織の幹部となった。悔しい気持ちももちろんあるが、一緒に命を賭けて戦った仲間が幹部になったというのはなんとも言えない嬉しさがある。そして、俺は急に七眼に呼び出された。集合場所は、ハマ爺の店。

 店内は開店直後ということもあり、シンタロウしか居なかった。俺はとりあえずいつものセットを注文すると、シンタロウの横に座る。カウンター席に座るのは久しぶりだ。

「どうした? シンタロウ。いや、もうこんな馴れ馴れしくしない方が良いか」

「そこら辺は気にすんなよ、そもそも自分の隊の隊長にも敬語使ってねえじゃん。それにお前は、幹部になる以前の俺をしる数少ない人間だ。そんな遠い存在みたいに扱わないでくれよ」

「それもそうだな、悪りぃ。で、用事って何だ?」

「それはな……お前に、ウチの隊へ来てほしいんだ」

「え? それマジ?」

「あぁ。もちろん、お前の所の隊長には勧誘許可を取ってある。だから、後はお前がイェスと言えば七眼隊だ。どうだ? 来てくれないか?」

「いや……そんな事急に言われたって。ていうか、俺意外にももっと居るだろ? 強いやつなんて。なんで俺なんだ」

「お前にアツいものを感じたからだ。この世はバイブスで回ってると俺は考えてる。響きだけで聞けばアホらしいかもしんねえが……死んだようなテンションで生きてる人間だけじゃあ世界は回らねえ。そうは思わないか?」

「まあ……確かにそうだが」

「俺はお前にアツい信念とバイブスを感じたぜ。バジリスクと戦っている時も、お前と直接戦った時も。だからこそ、殉職欠員で穴空きまみれの七眼隊に、お前を迎えたいんだ」

「そうか……すまない、返事は少し待ってくれないか」

 そこで、俺の席にいつものC-ABYSSとツマミが静かに運ばれた。俺は酒を軽く飲んで話を続ける。

「俺は十一眼隊の人達……特にヒロに数え切れない程世話になった。そう簡単に抜けることはできない。だが、お前の考え方には賛同できる。だから、少しだけ考えさせて欲しいんだ」

「……そうか、まあいい。お前はそう簡単に死なないだろうし、俺もくたばるつもりは無ぇ。だから、いつかは来る事を待ってるぞ」

「おう。気が向いたら返事するぜ」

 俺はそう言うとゆっくりとツマミと酒を味わった。もう五十回は食ったが……いつまでも飽きないな、この付け合せは。

「しっかし……このタイミングで幹部になったなんて大変だな」

「そうだな〜、今レスパリとの抗争が激化してるからいつ死ぬかも分かったもんじゃない。だが、元七眼の片玉魂に賭けて負ける訳にはいかない」

「ん? どういうことだ?」

「あー、俺が優勝した後な。ボスに呼び出されて、契約内容変更の手続きをするのとセットで元七眼の片玉魂を貰ったんだよ。俺があの人を強く尊敬した事を知ってたみたいでな、最適な引取手もいないからお前が貰ってくれないかって言われたんだ。俺は喜んで貰って取り込んだぜ。だから、俺の本来の固有術に加えて元七眼の固有術も俺の中にはある」

「へぇー。良かったじゃねえか」

「そうだな。俺もいつかは、あの人のような高みに辿り着きたいぜ」

「応援してるぞッ」

 俺はそう言ってツマミの最後のチーズ一片を口に運んだ。そして、酒をゆっくりと眺めながら飲み干した。すると、シンジさんが飛び込んできた。

「ハマ爺さんッ!! ちょっと固有術掛けてください……ッ!!」

「おぉ、どうしたんだい? シンジ君。珍しいなぁ、君が来るなんて」

(あれ、このパターン前にも……)

「あ! ちょうどよかった!! 二人とも、来てください!」

(…………まさか……)

「レスパリの襲撃ですッ!! 今度は海岸線近くのシマの境目で起きました! 外で、ボスの守護獣(ガーディアン)の分霊体が待機しています!! それに乗って早く向かいましょう!」

(マジかよ〜……)

「二人とも武器は持っていますね。よし、じゃあすぐに向かいましょう!」

 俺達は急かされて店を出る。

「悪りぃハマ爺。帰ってきたら払うぜ!」

「はいはーい、気を付けて行ってらっしゃい」

 外に出ると、細身な黒いワイバーンが待機していた。

「これが……ボスの術の一部…………」

「さあ、二人とも早く乗って!」

 言われるがままに俺達は竜に乗った。するとワイバーンは強く跳躍してから羽を広げて、広い空を泳ぐように飛んでいった。

「今回は緊急だからボスが一部の力を使っています……この存在は口外厳禁ですよ」

「はい、分かりました。というか、守護獣(ガーディアン)も取り込んだりできるんですね」

「さぁ……あの人は異次元すぎて、何が本当の姿なのか全く分かりません。ですが、ここまで遠距離でも正確に守護獣(ガーディアン)を操れる程の実力はあるんでしょう。あの人の術のタイプがどれなのかも分かりませんしね。彼の本来の固有術は醒闘士(ファイター)系のものだったとしても、おかしくはありません」

「なるほど……」

「あ、見えてきたぜッ!! あそこだろ!」

 シンタロウが指さした先には、所々で火事が起きているとても広い工場跡らしき場所が見えた。

最近、ある程度安定してPVが入るようになったのですが……

気に入ってくださった方が増えたんでしょうか??

大変ありがたいことですが、なんとも不思議です。

最新話まで読んでいただいてる方もいらっしゃるんでしょうか…………

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