幹部選別闘技大会⑦
ついに来た、最終決戦の日。俺はいつもと変わらない朝食を食べて、普段通りの生活で朝を過ごした。変に特別な事をすると、調子が狂う。
「リクゥ、調子どうだぁ?」
ショウタさんが俺の後ろから、肩を組みながら話しかけてきた。
「あ、ショウタさん。いい感じですよ! シンジさんと戦ってから数日休みもらいましたし……天気は雨ですが、すっげえスッキリしてます」
「そっかそっか、それは良かった。シンジの分もしっかり頑張ってくれよな! 観客席で応援してるぜ」
「ありがとうございます。でも、正直かなり緊張してますね……」
「まあ……相手がマジみたいだしね。全部の戦いを一分以内に終わらせたって聞くし」
「え、そうなんですか?」
「そうだよー、結構それが話題になってたけど知らなかった?」
「はい……まだ契約して数ヶ月ですので、関係が狭くて……」
「そっか……ちなみに、初戦は十五秒、二回戦は五十二秒、三回戦は四十九秒で沈めてるね」
「え……ちなみに俺の戦闘時間ってどれくらいでしたか?」
「リクは……シンジとの戦いでは確か十五分くらいだったかな。他は覚えてないや」
「マジかー……これ勝ち目あるんですかね?」
「弱気になっちゃダメだよッ! しっかりやりな。シンジの想いを無下にしちゃダメだ」
「……そうですよね。はい! 頑張ります!」
「うん、良い心意気だ。そろそろ控室に入った方が良いんじゃあないか?」
「あ、そうですね。じゃ、行ってきます」
「おう、頑張れよー。幹部になったら何か奢ってくれよな!」
「はい! ハマ爺の店で飲み明かしましょう」
俺はそう行って闘技場へ歩き控室に戻った。既にかなりのオーディエンスが観客席で待機しているようで、上からかなりの数の話し声が聞こえた。控室では、既にシンタロウがいて銃の調整と手入れをしていた。
「あ、リク。来たか。そっちの調子はどうだ?」
「おう。いつも通りって感じだな。そっちは?」
「こっちはもう、超グレートでハイッ!! って感じだ。なんだってやれそうだぜ」
「マジかよぉ……怖いぜ」
「俺も正直ビビってるよ……まだ入ったばかりの新入りが、優勝候補を初戦で打ち砕くなんてな。あの野郎は俺も嫌いだったしなるべく戦いたくなかったから、ありがたかったぜ」
「そうか。ちなみにだけどさ」
「?」
「俺は例のアイツの固有術を取り込んでるぜ? 片玉魂を取り込んだ。もちろん、全く同じ性質をコピーした訳じゃないがな。どっちにしろ厄介だと思うぜ?」
「マジか……」
と、そこでヒロの司会が響き渡る。
「さあぁ!! ついに始まりました、幹部選別闘技大会最終決戦ッ!! 残ったのはぁ……初戦にして優勝候補の古株を打ち砕いた超! 新! 星! 凛堂坂! 李玖ゥーーー!! 対するは! 対戦相手を尽く自慢のショットガンで秒殺調理してきたアツい男! 近重! 真太郎ォーー!! さて、勝利するのは俺の自慢の部下であるリクなのか!? 覚悟に燃える狂弾シンタロウなのか!? バッチ盛り上がる布陣となりました! どうなってしまうんでしょうか? 私個人の意見としては、やはり部下に勝ってもらいたい所だがぁ……そんな野暮な事は言うまい! どっちが勝ってもブチ上がるだろぉ! お前達ぃ!」
そこで、観客席から大歓声が起こる。
「さぁ! 選手のお二方は入場くださいぃ!!」
俺達はそれぞれ武器を持って戦闘スペースに入った。そして、お互いに数メートル離れた位置で待機する。
「両者位置についた所でぇーー……スタートォォ!!」
その合図で俺達は動き出した。俺が鞘を投げるように刀を抜くと、同時にシンタロウがショットガンをスラムファイアで連射してきた。
(おいおい、反動がやべぇだろうになんでずっと連発できるんだよッ!! こりゃあすぐに対戦相手が沈むわけだ)
俺は焦って動体視力向上に全神経と茜力を集中させて、弾丸を刀で弾いた。だが、さすがに全ては捌ききれないので隙を見つけて濫線廻廊で水流を生み出して、弾丸を全て巻き取った。そして足元で円形に高速回転させ、遠心力で巻き取った弾を四方八方に飛ばした。
「……ッ!?」
シンタロウは、さすがに予想外だったようで顔が強張った。だが、すぐに弾を一発撃って冷静な顔に戻る。
(どういうことだ? 散弾を一回撃った程度で返された弾を全部撃ち落とすつもりか?)
そう思っていると、弾が唸るように不規則な軌道を取ってシンタロウへ向かう弾を全て撃ち落とした。
「これが俺の固有術。『大脳的なランデヴー』だ。脳に弾丸を打ち込まれた時に覚醒したんで、そう名付けてる。銃弾を打ち込まれた時に脳を弾の回転でかき乱されてな……すぐにここの医療班に助けてもらってなかったら死んでたぜ。そんで、術の効果は……」
そう言うとシンタロウは上に向かって発砲した。すると、弾がギュンと曲がって俺に振ってくる。俺は足元の濫線廻廊を頭上に流して受け止めた。
「物体に回転エネルギーを付与して飛んでる物の軌道を曲げる……といった感じだ。他にも使い道はあるがな。俺はお前の術の効果を最初から少し知ってた。だから、これで公平になったな」
俺は、刀を構えた状態で硬直する。シンタロウの目がブチキマっていて、威圧感がヤバい。遅延路線のレノを切りつけた時のシンジさんと同じような目をしている……
100話で終わらせられるか不安になってきた……ま、いい感じに収めますか。
もし、「このキャラの過去編も書いてほしい!」とかあったら感想機能か何かでお知らせくださいますと、ありがたいです。




