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幹部選別闘技大会⑥

「ッシャォラアアアアァァァァ!!!!」

 闘技場に俺の叫び声が響く。それと同時に、限界まで息を吐いて吠えた俺は意識を失った。

━━━━━━━━━━━━━━━数時間後━━━━━━━━━━━━━━━

 しばらくして、俺は医務室のベッドで目を覚ました。横のベッドには、シンジさんが座っていた。どうやら俺よりも少し前に目を覚ましていたみたいだ。

「あぁ、リク君起きましたか。医療班の人たちの話によれば、茜力がほとんど底をついていて、さらに電気ショックで意識が飛びかけていて落下の一時的なダメージや衝撃も蓄積。あ、後は超高温多湿な環境で動いたせいで脳が熱暴走してたみたいです。いつ倒れていてもおかしくなかったそうですね。それは私も似たようなものでしたが……今回は根性で負けてしまいましたね。リク君の完全な粘り勝ちです」

 そう言って窓の外をぼんやり見つめるシンジさんは、抜け殻のようだった。俺達の間に気まずい沈黙が流れる

「あの……」

 俺はその気まずさを誤魔化すようになんとか言葉を絞り出した

「ん? どうしましたか?」

「シンジさんは……なぜ幹部を目指すのですか?」

「……昔、レスパリの関連組織に親を殺されました。もう五十年程前でしょうかね。当時はここより少し離れたレスパリのシマのスラムに住んでいました。父親は借金が多く、はっきり言ってクズでした。今でもアレが親だなんて思っていません。ですが、母親は虐げられる私をよく励まし、庇ってくれたんです。父親は稀に日雇いで働いて小銭を稼いでは遊び歩いていて、母親はまだ十九歳でしたが水商売で生計を立てて私を養ってくれていました。ギリギリな生活でも、当時の私にとってはそれなりに楽しかったですねぇ。ですが、ある日謎の取り立て人がうちに来て母親を連れて行きました。後から調べた話によれば、父親が借金の担保として母親を使っていたようです。必死で連れて行かれないように抵抗しましたが、当時の私はまだ三歳程でした。当然、止められる訳もなく……それ以降ずっと母親は帰ってきていません。私は数年間福祉施設で育てられた後に脱走……盗みや恐喝で日銭を確保して渡り歩く生活を続けていました。ですがある日、茜術が開花したんです。その頃には仲の良い友達が一人いたのですが、私と同じように父親に虐げられていた子供でした。その子を助けようと、その子の父親を刺した時に開花したんですよ。そこからちょくちょく人助けをするうちに、平和を望むようになりました。亡き母親を悲しませたくないと思うようになったんです……そうして、十契に入って今に至ります。要するに私は、レスパリやその関連組織を一つ残らず潰すためだけに幹部になりたいのです……あぁ、すみませんね。長々とこんな暗い話を」

「あ、いえいえお気になさらず。俺から聞いた事ですから。にしても、復讐のために入ったんですね……なんというか、意外ですね」

「そうですか?」

「はい。この組織と契約するのは、街をクリーンにしたいと望む人ばかりと思っていたので」

「まあ……事情なんて人それぞれですよ。私が偶然にも命を賭けて復讐するという目標で入っただけじゃないでしょうか」

(復讐か……そんな重い事情だったんだな。俺の動機が幼く見えてくるよ)

「でも、まだ母親の死を直接確認していないんですよね?」

「まあそうですが……あんな悪逆非道な組織に捕まって生きていられると思いますか? 当時十九歳の女性が。夜の水商売をしているだけはあり、顔立ちもそれなりに整っていました」

「じゃあ……父親はどうなったんです?」

「十契に入って十年程で見つけ出して、殺しました」

「え……でも、組織に害を成したり通報されたりしてないなら殺すなんて難しいんじゃないですか?」

「そうですね……まあぶっちゃけて言えば父親を殺して、契約違反で処刑されても良いかなとも思っていたんですが……ヒロさんが私のそういった内情を察して調べてくれていたようでして。色々と取り計らって処刑の任務を私に出してくださったんです」

「そうでしたか……」

 再び沈黙が流れる。俺は、自分の行動が多くの人の覚悟を乗り越えてこそ達成されるものだという事を強く実感した。ただ友達にもう一度会いたいなんて曖昧な理由は……甘えなのかな…………

━━━━━━━━━━━━━━一方その頃━━━━━━━━━━━━━━━━

 扉がゆっくりと開いて、武器の手入れをする俺に元同僚が話しかけてきた。いや、今も同僚ではあるか?

「シンタロウ、お疲れ様。いや〜楽に勝てるなんて思ってなかったけどさあ……まさか俺が準決勝で負けるなんてねー……」

 コイツは、俺がついさっきの試合で負かした元七眼隊の人間。

「あぁ、対戦ありがとうございました……とでも言えば良いかな? で、どったの?」

「いや、大した用事は無いよ。ただ、もう一つの試合の結果を教えに来ただけ。お前は直前まで武器調整とかしてて試合見てなかっただろ?」

「あぁ、ありがとう。で、どっちが勝ったの?」

「リクって新入りだぜ……お前も一度共闘してたよな?」

「そうか……リク、勝ったんだなぁ……決勝戦はリクと戦うのか」

 俺は調整を済ませて最後のネジを締めると、動作確認のためにガチャリと空の状態のショットガンをコッキングした。

「最後を飾るには、相手に取って不足無し。最ッッ高のマッチアップじゃあないかッ!」

「おいおい、お前またヤクでもやってんのか?」

「いやいや、ただテンション上がってるだけだぜ。それに、もうあの頃みたいな荒んだ生活はやりたくねえよ」

「そうか……なら良いが。じゃ、俺は要件も済んだ事だし飲み歩いてから風俗行ってエロいネーチャンにムスコをヨシヨシしてもらうずえぇーー。じゃあな」

 そうして再び静寂が戻る。俺は調整と清掃の終わったショットガンを壁に掛けた。時刻は午後七時を俺に伝えている。

さて、間もなく本作品も折り返し地点となります。

ここまで見てくださっている方がいるかは分かりませんが、続きを楽しみにしていただけるととても嬉しいです!

ちなみに、三部構成で大雑把なストーリーを作っていて一部100話で区切って出すつもりです。

リクの物語はまだまだ続きますし、各部の終わりで一度綺麗に区切るつもりですのでご安心ください。


何かしらの形でこのまま応援していただければ、敵キャラ側の視点で見たストーリーとかも作ろうかと思います。

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