再開戦
俺のMDSは粉々に割れてしまい、俺は地面に落下した。
「う゛ぅ゛っ!」
「ちょっとやり過ぎちゃったかなー。ま、いいや。訓練はこれにて終了で」
「ハァ……ハァ……え? ハァ……まだ……勝っていないのに…………」
「いや、固有術までフル活用した私に勝てるってことは、幹部レベルの実力って事よ? さすがにそこまでの強さを期待していたわけじゃない。まあ、固有術使わないと苦戦しそうだな……って感じる程度まで成長していればそれで十分くらいに思ってたから。今後も頑張ってね。じゃ、闘技場出る時は鍵閉めといてねー」
(これが実力差か……ヒロが身近に接してくるから少し勘違いしてたみたいだけど、ただの構成員と幹部って全然違うんだな。)
俺はそんな事を考えつつ目を閉じて気を失った。さすがに疲労の限界だ……
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気づけば俺は、自分の就寝スペースで目を覚ます。どうやら、誰かが運んでくれたみたいだ。空は完全に暗くなっている。何時間寝ていたんだろうか。暗闇に包まれる個室空間には、裏切った企業の社長からパクった高級懐中時計に内蔵された脱進機の音が静かに響いていた。時間を見てみると、深夜二時……変な時間に目が覚めてしまったな。
しかし動いた後なので腹が減る。
(またハマ爺の店に行くか……)
そう思い立ちササッと準備を済ませて、店に向かう。俺は初めてあの店を紹介されてから、夜間の業務の時にはほぼ必ずハマ爺の店に寄っていた。もう既に常連となっていて、よく店内の警備任務もやったりしている。長年契約している店だからこその特別サービスだ。
ここまで組織がデカく強くなる前はボスもよく寄っていたらしく、ボスの顔を知る数少ない人間のようだ。だからこそ、店主からボスの顔の特徴を聞き出そうとしたりする輩も多くいる。店の端っこで静かに飲みながら警備していると、二人程店主に絡む奴がいた。そういう奴は、スッと連れ出しサッと処理をする。手慣れたものだ、俺はもう一般人には戻れない。だがそれで良い。ハルを探し続けてもう二ヶ月程経つが……未だに見つかってはいない。とりあえず、レスパリを滅することに精進するとしようか。
と、そんな事ばかり考えていると、店に到着した。ハマ爺の固有術が関係していて、二十四時間一人で店を回せているようだ。ありがたいが少し心配になるな……
「おぉ、リク君いらっしゃい」
「ハマ爺お疲れ様ー、とりあえずいつもの頂戴ー」
「はいよー」
俺はいつも通りゆったりと呑み始めた。俺があまりにもC-ABYSSを頼みすぎているからか、俺が店に入った瞬間に作り始めているようだ。ありがたい。あの時ヒロの奢りで飲んでからは味にドハマリしてしまった。
「そういえば、リク君は人を探すために入ったって言ってたよね? 見つかったのかい」
「いやー……それが全然見つからなくてな」
「そうか……まあ、その内見つかるんじゃないのか?」
「だと良いんだけど━━」
と、そこでスマホに通知が来た。
「ん? なになに……[緊急通知 N番地区にてレッドスパイダーリリーの襲撃アリ。三眼隊、七眼隊、九眼隊、その他手の空いている者は即座にN番地区に集合せよ]って、何だこれ」
ちょうど読み終わった時、急に店のドアが開けられてショウタさんが入ってきた。
「ハマ爺!! ちょっと俺に術を掛けてくれ!」
「おぉ、どうしたショウタ君。ほれっ」
ハマ爺がスッと手をかざすと、息切れして疲れ切っていたショウタさんがたちまち元気になった。コレがハマ爺の固有術の効果だ。ハマ爺は自分で自分に術を掛けて店を常に動かしている。
そして元気になったショウタさんが俺に声をかける
「リク! お前も早く来てくれ!!」
「ショウタさん……どうしたんですか?」
「レスパリの襲撃だ! N番地区で動きがあった! あそこは風俗街だから今の時間帯は無関係な一般人も多くいる! 俺達は一般人の保護と避難の補助だ! 俺のオウルベルドで飛んで向かうぞ!」
俺はそれを聞くと、すぐに残りの酒を飲み干して立ち上がった。幸いにも、刀はしっかり持っている。
「ハマ爺、支払いは次回にまとめてで良いか?」
「おう、構わんぞ。だから生きて帰ってくれよ」
「わかったよ!」
俺は刀を持ってすぐに店を出ると、外に待機していたショウタさんの守護獣であるオウルベルドに乗ってすぐに現場へと向かった。既に空にはN番地区からの煙の匂いがする。
「こりゃあ……ヤバくなりそうだぜ」
ショウタさんがそう言った所で、オウルベルドは加速して現場に到着した。ゆっくりと降下して屋上に降ろされる。
「さて……始めようか」




