Madder Lesson!!①
無事に初の任務も終了し、俺達はショウタさんの守護獣で飛んで帰った。そして風呂に入り冷えた体を温める。ふと壁に掛けられている時計を見ると、針は午後九時四十五分を打っていた。
「もうこんな時間か……」
俺は溜め息混じりの小声で、勝利と疲労を噛み締めた。
「リク、ボスが話しがあるってよ」
背後から急に声がした。
「うわ……! なんだヒロか……ビックリしたー……」
「おう、悪かったな」
ヒロはそう言うと湯船に入る。
「お前が初めて来た時の風呂より結構広いだろ?」
「あぁ…アッチの風呂って来客用だったんだな。ていうか、契約者用のこの風呂はほぼ銭湯の内装じゃねえか。」
「一応、指定の時間は一般人でも利用できる銭湯にもなってるぜ。ここらの地区じゃ家に風呂無い奴も居るからな…かなり安い金額で使えるみたいだ。」
「ボスは……良い人だな。あ、そうだ。ボスが話しあるって言ったっけ? ヒロ」
「あ、そうそう。まぁお叱りとかじゃないから安心しな。俺はこの組織に入ってそれなりに長いけど、一度もボスからもマイカさんからも怒鳴られたりした事は無い。心配せず行って来い」
「わかった。じゃ、俺はそろそろ上がるぜ」
「おう、お疲れー」
俺は風呂から上がり服を着て出る。もうすぐ梅雨か…今日の雨はその余興だったのかな。
「うし、行くか」
俺はボスの部屋の扉の前に立ち、軽く扉を開けて声を掛ける。
「失礼致します、十一眼隊のリクです。ご要件があるとお聞きして参りました」
「うん、ご苦労。入っておいで」
そういえば、ボスの部屋に完全に一人で来たのは初めてかもしれない。緊張しながらも俺はボス座る椅子の前まで歩いていく。ボスは俺に対して背中を向けるように椅子を回転させて座っている。やはり、誰も顔を知らないっていうのは本当だったのか。
「それで……ご要件とは?」
「君は本日の任務で、瀕死で逃げた対象を取り逃がした……これに間違いは無いね?」
一瞬で俺の背筋が凍る。お叱りじゃないっていうのは嘘だったのか…!?
「……は、はい」
「おぉっと、すまないね。別に責任を問うつもりはない。そもそも、あんなレベルの術者を最初の任務で請け負うこと自体が異例な事態だ。むしろ君は、よく働いてくれた。まあ、座ってくれ」
促されるままに俺は椅子に腰掛けた。横から視線を感じて見てみると、マイカさんが壁によりかかって俺を監視していた。もし俺が少しでも妙な動きをしたり、ボスに危害を加えようとしたら一瞬で切り刻まれるんだろうな……正直マイカさんもボスと同じくらい怖いぜ。見た目は小学生か中学生の女子なのにな。
「ただね……あまり良い対応とは言えない。理由は、ヒロから聞いたろう? まあ、そういう事だ。それと、君は今回の一件でレスパリ幹部の一人に目をつけられたかもしれない。つまり、刺客を放たれる恐れがあるんだ。君の成長速度もかなり速いみたいだしね」
「はい。まぁ……ありがたい事に」
「それでだ。君に、これから訓練を受けさせようと思う。戦闘技術、状況判断、基礎筋力、その他色々な事を鍛えてもらうよ。これを伝えるのが、今回君を呼び出した理由だ」
「……分かりました。えぇっと……いつから訓練が始まるんですか?」
「明日からだ。複数人の幹部に協力してもらって君を鍛える。十眼とは少し関係が悪いみたいだから、そこはちゃんと避けるよ。安心してね」
「あぁ、それもご存知だったんですね。すみません。揉め事みたいな事してしまって……」
「いや、良いんだ。こちらとしても少し手を焼いているからね……まあ、組織には憎まれ役っていうのも必要なんじゃないかとも思ったんだよ……」
「そうだったんですね。あ、それと一つ聞きたいのですが……」
「ん? どうしたのかな?」
「俺がこの組織に入ると決めたのは、衣食住を整える目的ももちろんありましたが、一番の目的ははぐれてしまった唯一の友達を見つけるためなんです。何か、手がかりになるような情報はありませんか?家族が消えてしまい、その他の親族は既に他界しているか遠すぎて縁が切れています。唯一の友人が……ハルだけが俺を本当の意味で知っている人間なんです……!」
「ふむ……ハルという名前に聞き覚えは無いな。役に立てなくて申し訳ない」
「いえ、良いんです。では、明日の朝の集合場所をお聞きしてよろしいでしょうか?」
「そうだね……明日の集合場所は、契約試験でも利用した闘技場にしようか。やっぱり最初は戦ってもらうよ、それで癖を見抜くんだ。時間は午前十時ね」
「承知いたしました。では、失礼致します」
俺は安堵の息を吐いて部屋を出た。さすがに眠気が限界突破していた為、すぐに自分の就寝スペースへと戻ると、刀を軽く拭いてから眠った。もちろん、目覚ましは掛けている。だが、念の為にもし起きれなかったら起こしてほしいとヒロに頼んでおいた。同じ部屋で助かったよ……
そして翌朝。あまりの疲労で目覚ましが効かなかった俺は、ヒロに軽く引っ叩かれて目を覚ました。
「おい、起きろって。もう朝九時だぜ?準備とかもあるんだからもう起きたほうが良いぞ」
「え〜……あと少しだけ」
「今回お前の訓練をしてくれるのは、ダウナー系黒髪ロングのスタイル抜群なお姉さんの幹部だぞ」
「起きます」
我ながら、このチョロさはなんとかしたい。彼女いない歴=年齢な俺からすれば、美しい女性と一緒に何かをできるというだけでも超幸せだ。今すぐにでも闘技場へ行きたい所だが、ちゃんと朝ごはんを食べて行かないと地獄を見そうなので、俺はまず食堂へ向かった。そこで、一枚のポスターが目に留まる。
「……大闘技大会 九月二十五日 旧臨海ドーム闘技場にて開催予定…………?」
分かりづらい、作品内の基礎知識等を一部あらすじ分の中に乗っけましたので暇な時ご覧ください。
そして、初心者丸出しだった分の構成を少しずつ直していっています。また、二週間程度経って読み直して、変に感じた部分をちょこちょこ直していっています。後出しのようになってしまいすみません。
これからも、応援していただけると大変嬉しいです。




