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任務完了

分かりづらい設定に関して、少しあらすじのページに書き記しました。良ければ見ていってください。

俺が刀を突き付けて遺言を聞く。だが、チャーリィは袖口からナイフを取り出すと木を避けて進む蛇のような軌道で突き刺そうとしてきた。だが、今更その程度の攻撃が俺に通用するはずもない。俺はナイフを振り払うと、反撃される可能性を考えてチャーリィの肩から脇腹にかけてを切った。血が流れて雨と混ざり、皮肉にも彼岸花のような模様が水たまりに浮かんでいた。

「もう一度聞く。遺言は何だ?言ってみな。」

地面に這うような姿勢で丸まるチャーリィは雨と血に濡れているせいか、病弱そうな細い体のせいか、絶望による号哭をこれから死ぬまでの瞬間を使いゆっくり噛み締め味わい悔やんでいるように見えた。

「あぁ……ジェイキーさん。すみません、勝てたはずなのに…本当に申し訳ない……まだ僕はあなたに何も返せていない………」

何かボソボソと言っているが…あの音が余程効いたのか、まだうずくまっている。

「あぁ、僕は死ぬ……でも、でも!でも!!」

チャーリィは急に立ち上がった。

「お前にトドメを刺されるのだけは!!御免だあぁぁぁ!!!!」

警戒して刀を構えた俺を無視して、チャーリィは『古代(エンシェント)』を翼竜に変化させ飛び乗って逃げた。あの体にあの出血じゃ五分と生きられないだろうに……最後の最期でアイツはプライドを見せて限界な体を突き動かしたんだな。俺は追う事も考えたが、奴のプライドを尊重して後は自由にさせることにした。

(良い根性だったぜ…チャーリィ……)

納刀した俺にショウタさんが声を掛ける。

「何やってんだ!!早く追わないと…!無関係なヤツを守護獣(ガーディアン)が食いまくって本体が回復したらどうする!!」

「いや…でもあの傷ですよ??さすがに生きてるなんて事は無いんじゃ…」

「油断はしちゃダメだ。そうですよね?ヒロさん…」

そう振り返ったショウタの目線にヒロの姿は無い。ついさっきまでフェンスに座っていたはずなのに…

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翼竜で必死に逃げたチャーリィだったが、瀕死の状態ではそう長く飛べず、少し離れた狭い路地に降り立つ。気合で翼竜の背中にしがみついていたチャーリィだったが、もう力が入らないようで、死体のようにバタリと仰向けで地面に倒れた。だが、雨が鼻や目に入る事を気にしてか壁まで這って行き、上半身を起こして座り込む。

“キイィ……”

翼竜が悲しげな声でチャーリィに顔を寄せた。

「あぁ……古代(エンシェント)……大丈夫だよ。君がいるから怖くない。ただ、ジェイキーさんに申し訳ないなぁ…」

そう言いつつも、チャーリィは笑顔だった。まるで世界に古代(エンシェント)と自分だけが残ったような感覚で、ゆったりと失血死を待つ。そうして、誰にも悟られる事無く病弱な青年の人生は幕を下ろす…はずだった。

「お前よぉ…こんな所まで逃げないでくれよ……面倒くせぇ…」

一人の男がベイプを吸いながら、チャーリィに近寄ってきた。その男が吐いた水蒸気は、黒い雷を空色のオーラが包んでいる不思議な汎用属性を帯びていた。

「その独特な色の汎用属性……あなた、まさか…」

男は再びベイプを吸うと、汎用属性を纏った水蒸気を吐く。

「正解…まあ、そういう訳でさ。お前の固有術を回収しに来た。まあ、敬意っつーか哀れみっつーか…せめてもの情けで痛みは感じさせねえよ。」

「……あなた程の人に殺されるのなら………ジェイキーさんも納得してくれるでしょう。」

そう言うと、チャーリィは悟ったように目を閉じた。

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「もう十分も経ってる…やっぱり捜しに行った方が良いんじゃないですか?」

「いや、大丈夫だ。ヒロさんなら必ずケリを付けて帰って来る。」

俺達はビルを出て、一階の軒先でヒロが帰って来るのを待っていた。すると、奥から見慣れた武器を背負った男が近寄ってくる。

「すまん遅れた…ちょっと色々あってな。」

「ヒロさん…遅かったですね。どうしたんです?」

「いやぁーそれがさ……今回の一件をさっき拠点出る前に念の為にマイカさんに報告しといたんだよ。そんで、トドメ刺しに行ったらボスが来てた。少しやり取りしてたんだ。」

「…ッ!?ボスが!!?」

「ほら、天気を見てみな」

そう言われてショウタさんは空を見る。俺も続けて空を見ると、雨は確かに降っていたが、綺麗な三日月が空に輝いて黄金の光を放っていた。

「天気雨…つまり、ボスが活動する天候だ。」

「なるほど…レスパリの領土侵犯の確認をするためにもボスが出向いてくださったんですね。」

「そうだ。じゃ、帰ろうぜ。」

イマイチ二人の会話の意味が分からない。

「ちょっと待ってくれ。」

「「??」」

「天気雨でボスがどうのって…どういう事だ?」

「あぁ…ボスはな。この街や近隣地区のハグレモノ達から随分と恨まれてるんだよ。単なる逆恨みだけどな。そんで、そのやべえ奴らはボスを殺したがって捜してる。そんなヤバい奴らを毎日活動させる訳にはいかないから、あえて天気雨の時という限定的な状況でだけ外に出て動くことを明言したんだ。もちろん緊急時は別としてな。こうすることで、戦々恐々とした奴らが街中をうろつく頻度はかなり減った。」

「へぇ…頭良いんだな。」

「そうだな…まぁ何はともあれ、初任務はこれにて終了だ。お疲れ様!」

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