戦闘パートです。
「では戦闘パート開始ですね。戦闘パートでは敏捷値の高い人からの行動順となります。ちなみにエリィはサポートキャラなのでターン終了時に一度だけヒールを使います。カイトの敏捷は3、、、なので盗賊からの攻撃ですね」
「今また3って言った時に笑ったでしょ」
「わっ笑ってないですよ」
「まぁいいですよ。でもエリィも戦ってくれるんですね」
「はい。エリィは『私は実は村の方針には反対だったの。これで許してとは言えないけど、回復だけでもさせて』と言って戦闘に参加します」
「なんかめっちゃ都合のいい事言い出したけど、今はそれめっちゃ助かるわ。それと、ひとつ提案があるんですけど」
「なんですか高良君」
「カイトとエリィは洞窟の入口付近にいるんですよね?」
「そうですね。洞窟から出てきたところでしたから」
「そして出てきたところに村人たちがいたと」
「そうなります」
「そこに盗賊がやってきた。つまり盗賊とカイトたちの間には村人たちがいたということになります。そして村人たちは盗賊に恐れをなして逃げ帰った」
「その通りです」
「つまり現在、盗賊とカイトとの距離は離れているということになる。しかも村人たちが逃げ帰った時に彼らがカマやクワを落としていった可能性だってある」
「うっ、なるほど。言われてみれば」
「なので俺はまず、落ちているカマを拾って盗賊に投げます。そうすれば敏捷関係なく先制攻撃が出来る」
「確かに。それはアリですね。わかりました。そもそもカマを落として帰ったかどうかもわかりませんし。そうですね、洞察力? いや運で振りましょう。運で振って成功したらカマが落ちていたことにして投げていいです。そして器用さで当たり判定を行います。どうぞ」
「よしまずは運の63、えい!」
「20成功です。続けて器用、こちらも63です」
「3だ。成功ですよ」
「そうですね。しかも一桁。判定の値の5分の1以下の数字が出ると、大成功と言ってボーナスが付くことがあるんです。今回はそうですねぇ、ダメージにプラス3点しましょうか。ナイフのダメージが5なので、1d6振って出た目に3を足してください」
「わかりました。5です。つまり8ですね」
「凄いですね。では盗賊AのHPを8点減らします」
「残りいくつですか?」
「それはわかりません」
「そうなんですね、、、」
「では盗賊の攻撃ですね。まずは命中判定を行います。命中判定は器用-敏捷+50です。カイトくんは敏捷が低いので避けられますかねぇ。では三人分いっぺんに行いますね」
「避けてくれぇ」
俺は目をつむって両手を前で握り締めて祈る。
「1、12、41、全部当たりですね。しかも盗賊Aに至ってはクリティカル。おそらく
先ほどカマを当てられたことで相当ムカついていたんでしょうね」
「マジかぁ」
「クリティカルは確率100分の1。ほとんど出ないですからね。クリティカルは武器ダメージが二倍です。盗賊はナイフを装備していて筋力が9なのでAは19、BとCは14ダメージです。そこからカイトくんは丈夫な服を着ているのでそれぞれ防御力の8を引いて、11、6、6で23のダメージです」
「俺のHP24なんで、あと1しか残ってないんですけど」
「私もまさかここでクリティカルが出るとは思いませんでした。死んだかと思いましたよ」
「もう死にかけです。とりあえず薬草使います」
「薬草で6点回復です。それとエリィがヒールを使うので1d6で振って、、、3点回復してください」
「現在HP10か。次のターン耐えてくれぇ」
「では振りますね。98、13、20。BとCの攻撃が命中します。6+6で12点ですね。アナタは死にました。ゲームオーバーです」
「マジかぁ。やっぱり無理かぁ。これってどうなるんですか?」
「いやここで終わりですね」
「そうなんですね。うわぁ悔しいなぁ」
「そもそもソロプレイ用じゃないんですよね。普通は3人とか4人とか。さすがにキツイと思ってエリィを急遽ヒーラーってことにして仲間にしたんですけど」
「そうだったんですね」
「それと盗賊も本来はもう少しマシな装備をしているんですけど、今回は武器はナイフのみ、防具は無しとかなり弱くしてました」
「激甘設定だったんですね」
「あとは初期ステータスが低すぎましたかね。体力はそこそこありましたけど、筋力と敏捷が低すぎましたね。このゲーム、最序盤は魔法が使えないことが多いので、どうしても戦士タイプの方がやりやすいんですよね。でも最初にカマを拾って投げるってのはやられたって思いました。その発想はなかったなぁと。まさかその後、相手にクリティカルが出るなんて思いもしませんでしたけど」
「ホント、盗賊Aを相当怒らせてしまってたんでしょうね」
「そもそも異世界転生してきたオタクって設定が無理があるんですよ。最初に聞いたとき結構ヒヤヒヤしたんですから」
「確かに言われてみれば。ただのオタクの高校生がいきなり盗賊3人と戦って勝てるわけないですよね。でもステータス見て、あぁこれ俺だなぁって思っちゃったんですもん」
「でもまぁこういうのもあってのTRPGですから」
「俺もっとやってみたいんですけど、TRPG同好会に入会してもいいですか?」
「えっ? 本当ですか? 嬉しいです。初めてのプレイでキャラ死んじゃったので、イヤになってもうやってくれないかと思ってました」
「そんなことないですよ。むしろ悔しくて、今すぐにでもリベンジしたいです」
「今日はもう無理そうですけど、では近いうちにまたやりましょう」
藤崎先輩はそう言って微笑んだ。




