冒険者!(いつになったら旅に出れる!)
私はついに12才になった。
その日、朝一ですぐ近くの冒険者ギルドの支部の門をたたいた。
冒険者登録しようとしたら・・・、
「ここでは冒険者登録はできません。この国での冒険者を統括しているボーゲンに行かなければ冒険者登録できません」
あっさりと断られてしまった。
私は冒険者になれなかった。
亡国の皇女は旅をする・・・・・・完!
んなわけあるか!!!
まだ旅すら始まっていないじゃないか!!!
ボーゲンに行けば冒険者になれるならそこにいくぞ。もう警邏隊との盛大な追いかけっこはもう嫌だ。
この2年、身分を証明するものがないために身元不明で不法入国者として追いかけられる毎日・・・。
下手にグランニューレを使って戦えないというか、グランニューレを装備した状態で魔力を失ったやつらを引き渡したのと、そいつらの魔力が回復したことによりグランニューレを装備した私が魔王を倒したとぬかしやがったせいで、私のこと勇者にされてその力を我が物にしようと各国が私のことを探し回っているじゃないか。
それどころかあいつらあの時、魔力を急速に失ったことにより気絶していたよな。いったい誰だよ!あの時の戦いを見ていたやつは!!!
そういう訳でグランニューレを使って戦えない。
まぁ、エアバイク形態にして逃走には使っているけど、グランニューレを召喚するときは必ず鎧状態だから召喚するところを見られ分けにはいかん。
いつも通りこそこそしながら警邏隊に見つからないようボーゲンに行くしかないか。
あれ?確か・・・、ボーゲンって・・・、まさか・・・。
と冒険者ギルドの受付で考えて悶えて周りにうっとうしがられているところ奥の扉が開く。
私は奥の扉から出てきた人物に目を疑いつい口に出してしまった。
「アーザンブルグ皇帝陛下・・・」
「誰だ?かつての俺を呼んだのは!?」
前見たときよりしわがなくなり若返っている父がそこにいた。
私の声でお互いに目があってしまった。
突然の再会、父と娘、娘を空気として扱っていた父、空気扱いされて誰からも見向きされなくなった娘。
アーザンブルグでは空気として扱われてきてどれだけ声を上げても無視されて反応してくれなかったのに、突然の再会の時はついといえ反応してくれたことに私は頭の中が真っ白になっていたのかもしれない。
でもすぐにあほらしすぎる答えが返ってくる。
「エルレイン?どうした。そんな格好をして父さんを追いかけてきたのか。母さんやキールはどうした近くにいるのか?」
「誰が!?エルレインだ!!!」
私は乗り出して父親の頭に踵落としを浴びせて倒し、追撃にさらに踵落としを今度は背中に食らわせる。
立ち上がり父親に対し今の私を言ってのける。
「馬鹿が!!!自分の娘の顔の見分けがつかないのか!屑がっ!!!私はユースティアナ・アークヴァルMK=2だ!!!二度と間違えるじゃない!!!次間違えたときはライフルでどってぱらに風穴をけてやる!」
最後の方は息絶え絶えに言う。
父親は立ち上がり、その時の顔はなぜか悲しみの顔をしていた。
「そうか。俺は知らないうちに地雷を踏んでいたようだ。すまん!」
父親はそう言って頭を下げた。
皇帝に頭下げさせ謝罪する。それは皇帝が一番やってはいけないことだ。だが、父親はやってしまった。
なぜこうも簡単に頭を下げたうえで謝罪ができるか、もしかしたらアーザンブルグがなくなったことにより皇帝ではなくなったせいなのかもしれない。
「謝罪として・・・、そうだ!確か君、冒険者ギルドに入って冒険者になりたかったんだよね。俺が身元保証人なろう。これによりボーゲンで冒険者登録できるぞ」
冒険者登録するのには身元保証人が必要なのかこのまま行っても冒険者登録できなかったのかもしれなかったのか、そうお思うとこれは渡りに船だな。
「あなたのところの元国民としてそれで手を打ちましょう」
「ありがとう。ハハハ、それどころかうちの国民だったのか。あの時はすまないことをしてしまった。もしかして国民大移動の時に親とはぐれてしまったのか?」
「?国民大移動???え~と?なんですかそれ?」
「違うのか?ということは別の方法でこの国に来てしまったのかい」
実際のことを言うと大変なことになりそうなので、人さらいにさらわれてところを通りすがりの物凄く強い二人組に助けられてこの国に来たといった。
父親はその人たちについていけばいいのに言うが、
「足手まといを連れて動きますか?」
そう言うと父親は納得した顔でうなずく。小声で「ここにいる全員に止める暇を与えず、俺にすら反応させず踵落としを二回入れる奴が足手まといとはその二人組はいったい何と戦っているんだ?」言った。
「おほん。話題を変えよう。ユースティアナだったか?ぬおっ!そう睨むなっ!冗談だ冗談。少女なのになんちゅう殺気だ。今の歳いくつだ?年齢が15以下だと強制的にボーゲンの冒険者養成施設に入って半年間、冒険者というのはどういうものか教えてもらえるぞ」
なんとボーゲンに行ってもすぐには冒険者にはなれないのか。それも強制的に入れられて半年間、勉強と訓練で拘束されるのか。
少しゆっくりできるだけで4年なんて待っていられないし、半年間、みっちりと冒険者の勉強するか。
こういうのって冒険者初心者の死亡率を下げるためにやっていることだからむげにできないか。
「12です」
「養成施設行きだな。施設で先輩たちにみっちりと鍛えてもらえ」
「わかりました」
「ここでの俺の用事は終わっているから、お前さんはどうなんだ?」
「ここに来たのは冒険者になりたかったからでそれ以外は何も」
「そうか。ならこの村には用はないな。行くぞユースティアナ。ボーゲンへ」
「わかった」
私は父親についていって冒険者ギルドを後にする。
今にして思えば今日は私の誕生日だ。つまりは妹の誕生日でもあるのになんで父親ここにいるんだ?
こいつのことだから妹のところにいて今にでも誕生日を祝っていそうだけど・・・、率直に聞いてみるか。
「元皇帝陛下」
「元皇帝陛下はやめなさい。今は冒険者のシンさんと呼ばれている。これからはシンさんと呼びなさい。でなんだ?」
「今日娘の誕生日だろ。なんでこんなところほっつき歩いているんだよ。帰って祝ってやれよ」
「そうか。君はうちの国民だったな。娘の誕生日を知っていて当然か。俺が、こんなところにいる理由かそれはな・・・、娘のユースティアを探しているんだ」
父親は何を言っているんだ?あほなの、馬鹿なの、屑なの、それとも脳みそになにか沸いているじゃないのか。
今更、私を探して何をしようっていうんだ。今は話を聞いているか。
「あなたの娘はエルレイン皇女だけではなかったのか?」
「そんなことはない!妻も俺もエルレインもユースティアを愛している!それは誓って言える!」
どの口がそう言うのかねぇ。信じらんねえなあ。ああ、寝言を言っているのか、すごいな歩きながらそれも起きているのとまたっく変わらない状態で寝言とはさすがに私はマネできないな。マネしたいとは思わないけど。
「何に誓って言えるんだよ。たとえ本人を見つけることができても、本人がともに居たいと思ってないと意味がないんじゃないか?これも出ずっと放置してきたんだろう。本人がお前たちに恨みつらみとか抱いていらどうするんだよ」
「それは・・・」
「もし、誰かの養子として引き取られ幸せそうにしていたら?奴隷にでもされていたら?死んでいたらどうするんだよ?」
私の攻めに父親は黙ってしまう。
その顔には苦渋の顔を浮かべて考え事をしている。
考え事している中、何かに気づいたらしく少し変わった。
「君は・・・、なぜ、ユースティアの置かれていた状況を知っている?君はどこかでユースティアにあったことがあるのか」
「なぜそんな答えが出た?」
「“本人がともに居たいと思ってないと意味がないんじゃないか?”と君は言った。少なからずともユースティアの置かれていた状態を知らなければ出てこない言葉だ」
「本当に頭おかしいんじゃないか!4年以上も放置しているのに今更会いたい奴なんているかよ!」
私がそういうと父親はさっきとは違い真剣な表情を浮かべ私を値定めるような目をしていた。
「君は何を言っている。ユースティアを放置していたのは約3年、城からいなくなり国民大移動が始まるまでの間約1年と半年、娘とうり二つの君を見つけるまで約2年と半年」
「何が言いたい」
「あり得ないんだ。ユースティアが放置されていること知っていることだよ。城の人間の関係者の娘で放置されていることを知っていたとしても4年なんて数字は出てこない。君はもしかして・・・、ユースティアなのか」
ちっ、うかつだった。父親が馬鹿だの、屑だの、思っていたから油断したか、まさかこうも私が上げ足を取られるとは・・・。
まずは否定しよう。冷静に、冷静に、変に慌てると奴の疑問が確信に変わる。
「何を言っているんだよ。私がユースティア皇女なわけないだろうが。そもそも髪の色や瞳の色が違う」
「俺達、皇族は8才~15才の間に瞳と髪の色が変わる体質だ。昔の俺の瞳と髪の色は黒だった。今では瞳は紫のようになり髪は金髪になった。だからそれは理由にならない」
へー、そんな体質があるのか、初めて知った。それどころか瞳と髪の色変わり過ぎじゃね。これでは理由にならない。では次の違いを
「私は魔力をためることはできないが、魔力を生成することはできすぞ」
「ユースティアが魔力なしなのは、あの場にいたものと父と母くらいしか知らないし、もししゃべろうものなら妻がやった呪いによって誰もしゃべれないようになっている。一般市民が知っているとはありえない」
まじかっ!?皇妃はそんな呪いをかけているなんて知らなかった!いかんぞ。その時、城の中にもぐりこんでいたなんて、当時の警備の厳重さときたらありさえはいえ入れないほどだから、密かに見ていました。なんてすぐに嘘だとばれる。さてどうしたものか。
下手にしゃべると墓穴を掘りまくってさらにやばくなりそうだ。
次の違いを・・・
「強さが全然違うのではないか。常にサバイバルしていてつけた力だ。温室育ちの皇女様じゃここまでの力持っていないだろ」
「ユースティアは空気として扱われているから自分が見られていない気にかけ手られていないと思っていたと思う。だが、空気として扱われていても目に付く。よって騎士団長の話では城の中では何も言わないが、城の外ではユースティアはあの年で自分に迫るほど実力を身に着けているとはありえんと言っていた。だから俺が倒されてもさらに力をつけたのかぐらいしか思わん」
え~~~、空気として扱われていたから、周りが思っている自分の評価なんて気にしていなかった。まさか騎士団長からそんな風に思われていたなんて知るかよ!
アーーー!こういう時、あの魔王がいればあいつを生贄にして話をそらせるのに、くそっ、倒すべきではなかったか。いや、そうすると世界が終わる。くそっ。こうなったら賢者の石のことを教えたら少しは変わるか。
「やはり、君はユースティアなのか。ユースティア、帰ってきてくれ。妻もエルレインも喜ぶ」
「だから人違いだ。顔が似ているだけで勝手に娘にするな。ユースティア皇女が魔力なしだと知っているのは賢者の石を使い調べたからだ」
「嘘はよしなさい。賢者の石なんてものこの世に存在しない。たとえ存在してユースティア、お前が持っていても莫大な力を手に入れていないではないか」
「何か勘違いしているようだが、賢者の石を持っているだけで世界を亡ぼせるような莫大な力を手に入れれると思ったら大間違いだ」
「何ぃ。ではどういうものなんだ」
「“検索機能付きの常に更新されて続ける無限にページがある書物のようなもの”。確かに賢者の石に記載されているものを理解できれば、世界すら亡ぼせる力を得ることはできるだろう。だが、そんなものまで得てまで何がしたい?」
父親は黙ってしまう。
元々、賢者の石は錬金術師が誰もが目指したくなる頂点のようなもの。その性能が“検索機能付きの常に更新されて続ける無限にページがある書物のようなもの”だと知れば言葉なんてないだろう。
父親は一度溜息を吐いて私に向き直る。
「わかったこの話はなしだ。そんなに頑なに認めないのであればそれでいい。もう話さない」
あっ。なんか話をそらせているか微妙。父親は私をユースティアと見ていそうだ。
「ボーゲンに着いた時に家族と会ってくれないだろうか」
間違いなく見ているに違いない。普通、初めて会った少女にそんなこと言うかよ。いわないよなぁ。
まるで私が駄々をこねて頑なに自分をユースティアと認めていないようだ。
「わかった。だが会うだけだぞ。それ以外はしないぞ」
「ありがとう。」
それから父親は何も言わず、私を連れて辻馬車の停留所に行った。
父親は今は冒険者でも昔は皇帝だったのだから自分用の馬車とか馬を持っていてもおかしくないのになぜか辻馬車の停留所だった。
私は疑問に思ってそのことを父親に聞こうとしたが、運悪く?それとも運よく?馬車が来た。
私たちはその馬車に乗り込み次の街へと向かう。
ボーゲンに行くためには辻馬車を何回も乗り換えしなければならず、ボーゲンに着くのは今から3ヶ月後になる。
遠いなと思いつつ辻馬車の旅を満喫しようと思っていたところに会いたくない奴らが私が乗る辻馬車に向かって馬を走らせて来ていた。
警邏隊が、私がこの辻馬車に乗っているのを嗅ぎつけてきたのだろう。
警邏隊は辻馬車を取り囲み止まるよう請求してくる。
辻馬車は止まり、警邏隊に事情を聞いている。聞き耳を立てて話の内容を盗み聞きする。
やはり、この警邏隊は私を探している者たちだった。
私は捕まるわけにはいかないので警邏隊の一人が扉にて手をかけたとき、扉を蹴飛ばして外に出る。
辻馬車に乗っている客や父親は驚きの表情を上げる。
「ええい!出てきたな。今度こそ捕まえてお連れするのだ!かかれぇーー!!!」
「いつも通り、逃げさせてもらう!」
警邏隊が私を捕まえようと迫ってもすべて躱し、縄を投げられてもすべて避けて、包囲網を突破する。
魔法を使い土で四方を壁で囲い誰からも見えなくする。
「ええい、またか。早くこの壁を破壊せよ。また逃げられるぞ」
見えていないないこといいことに私はグランニューレを召喚してすぐさまエアバイクへと変形させた。
打ち上げのようにしてグランニューレを発進させる。
「グランニューレ!発進!」
私は空に逃げて警邏隊を撒く。
ある程度飛び上がったら鎧状態にして飛行してボーゲンにむかって飛んでいく。
グランニューレを使い休まず行けばボーゲンには一週間もかからず到着することができる。
私は強行軍をしボーゲンまでグランニューレを飛ばす。
5日もしないうちにボーゲンに到着した。
はっきり言って周りのこと一切考えず飛ばし過ぎた。
グランニューレをしまい門まで行く最中、誰かの掛け声が聞こえた。
その声には聞き覚えがあった。
声がする方向に向かいそこで見かけたのは、家族と騎士団長一家だった。




