ダンジョンへいざ!出発
私は起きてからすぐに集合場所へと向かった。
集合時間には少し早くギルドの人たちが馬車を用意している途中だった。
他のパーティの人たちもちらほら見えて馬車の準備を手伝っていた。
それにならい私も馬車の準備を手伝った。
この時に気づいたのが先に来ていた女性陣の動きが少しおかしい。
馬車の準備中に変に汗をかいていたり、息遣いが変に荒く頬が少し赤かった。
それに時々、ぼ~っとして手が動かなくなっている時もあった。
さすがに心配なったので声をかけた。
「大丈夫ですか。アイリスさん。昨日と違って変ですよ」
今体調を崩しているのは“フェイト”の治癒術師のアイリス・ローレイン。
歳は私に近く14才で冒険者歴に2年上の先輩だ。
「ごめんなさい。大丈夫よ。気にしないで」
「気にするなといわれて、気になるたちではないけど、さすがに命を預け合う者同士体調が悪いのを放っておくことなんてできないでしょ」
「そうね。ありがとう心配してくれてのだから言うわ。昨日から体もそうだが頭も変なの」
「変とは?」
「自称勇者を名乗る飯沢さんのことが頭から離れないの。あの人のことを常に考えるようになって体が火照ってしまって、時に頭があの人ことでいっぱいになるの。今の自分が自分でないのような気がしてならないの」
アイリスさんはとてもじゃないがまともな精神状態ではなかった。
このままではこの先で足手まといになりそうだったのでどうにかしようと思った。
そこで私はアイリスさんの魔力状態を見ることにした。
「アイリスさんちょっといいですか」
「なに」
「ちょっと魔力の状態を見せてもらっていいですか」
「魔力の状態をみるそんなことができるの?」
「できます。私の右の義眼は特別製で魔力の状態や体の状態異常を見ることができるんですよ」
「そうなのならお願いしてもいいかしら」
「では、見せれもらいますよ」
私は右の目になっている賢者の石を起動させ、アイリスさんを見る。
すると、アイリスさんの魔力は淀んでおり、体の状態異常にはっきりと“魅了”と表示されていた。
そのことをアイリスさんに伝える。
すると、自分がいつの間にか飯沢に“魅了の術”をかけられていたことに驚かれる。
「うそっ!?いつの間に!」
アイリスさんはすぐに雑嚢から手を入れ何かを取り出そうとする。
取り出す前に私が気つけの一撃を入れて“魅了”を解いた。
“魅了”にかかる度にポーションを飲んでいたらポーションがすぐにそこがついてしまう。
これから先、何が起こるかわからない。毒などの状態異常用にポーションは取っておきたい。
「すみません。いちいち状態異常用のポーションなんて使っていたらすぐそこを突きかねないので気つけをさせてもらいました」
「だけどね。今度は一言声をかけてからやってくれないかしら」
「分かりました」
アイリスさんは“魅了”が解けて体調が戻ってきたところでいつ“魅了”をかけられた考え始める。
元々考えられ状態が一つしかなかった。アイリスさんに“魅了”をかけられるタイミングなんて・・・、
「もしかしてあの時の会合の時にすでに」
「あり得ないわ。でも・・・、ほかの人もかかっていないか見てくれないかしら」
「そのつもりです。女の純情をもてあそぶ奴なんてひどい野郎だ。二度とそんなことができないよう私の技で頭を地面に埋めてやる」
それから慌てて今ここに来ている女性全員に声をかけて“魅了”の状態異常にかかっていないか診断する。
なんとアイリスさんだけではなく全員かかっていた。
全員に気つけのために一発入れて“魅了”を解除する。
“魅了”を解除された一人が、解除方法が間違っているという。
気つけをしたくらいでは“魅了”を解除することはできないという。
それなら戦闘中に何かしら攻撃を食らうと正気に戻れるからである。しかし、現実はそうではない。気つけしたくらいでは“魅了”を解除することはできない。
では、なぜ私が気つけをしただけで“魅了”を解除できたのか誰もわからなかった。
分からなかったが、考えていたうちの一人が、私が飯沢の“魅了”にかかっていないことに気がつき、かからなかった理由を聞いてきた。
そのことについてはすぐに答えることができた。
魔法による状態異常は“魔力なし”には効果がない。
魔法による状態異常は、状態異常に侵されている人の魔力を使い効果を発揮する。
つまり魔力ためることができない魔力なしは魔法による状態異常は受けない。
「なるほどそれであなたは、自称勇者の“魅了”を受けないのね」
「そうなります」
「クソっ、それにしても情けない。まさか私たちが“魅了”を受けちまうなんて・・・、あのパーティ来たらとっちめてやる。みんなもいいよな」
この場にいるほとんどの女性陣は提案に賛同する。
私はその提案に賛同しなかった。
なぜだと迫られた。
私としても自称勇者をどうにかした方がいいと思っている。
一応、ギルドから招集されたのだから性格はともかく戦力としては有用なのだからクエストで使い潰してやった方がいいと思ったからだ。
それに私の左目に魔力を込めると半径10mぐらいなら状態異常をかからなくするフィールドを展開できる。
今は後から来た人たちの“魅了”の解除と自称勇者とその仲間たちに対してくぎを刺しておいた方がいい。
それに自称勇者の仲間の3人はもしかしたら自称勇者の“魅了”にかかっている可能性がある。
今回参加する女性陣は軽度だが、あの3人はかなり重症化しているかもしれないそれなら早く解除してやった方がいい。
けれどここはわざと無視しよう。そうした方が自称勇者の気を引いてくるかもしれない。
私の自称勇者の使いつぶす案は受け入れてもらえなかった。こういう対策は早い方がいいとのこと。
後から来た人たち相談して自称勇者たちを置いていくことになった。
馬車の準備のためにギルド職員がいるためにその人にここのギルド支部長に自称勇者たちのことでほかの冒険者たちに注意するよう呼びかけてもらう。
後から来た人たちの中にも自称勇者の“魅了”にかかっていた人たちがいたので気つけをして目を覚まさせる。
後から来た人たちの中で“魅了”を受けていなかったのは二人で、一人は予想通りマオウで“魅了”受けていなかった。
私をベースにして誕生したなら状態異常にはかからないだろうと思っていた通りだった。
それともマオウは厳密には“人”ではないからだろうか。
もう一人はホムンクルスのメルシンクさんだった。彼女の場合、一目見てから自称勇者が気に入らないらしく、何かしてくるのではないかと思いすぐに対策を取っていた。
仲間やほかの人に言わなかったのは個人的な感情の問題なので言わなかった。
言ったところであの場ではすぐに対策が取れるかといわれるとすぐにはできない。
ちょうどよく雑嚢の中に状態異常対策用のアイテムを持っていたから事なきを得ただけだった。
そういう意味では運が良かっただけ。
女性陣の自称勇者の“魅了”を解除し終え、時間になって自称勇者たち以外のメンバーがそろった。
自称勇者たちは遅刻している。こちらとしては時間通りに来なかったのでおいていく。
来ても置いていくので関係ない。
パーティ別に馬車に乗り込み、
「ダンジョンに向かって出発!」
バルバトルの号令の下、件のダンジョンへと向かう。




