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相棒は洗濯が出来る

会話中の改行見直しと、サブタイトルを統一した形に見直しました。

毎回、タイトルを考えるのがたいへんなんですよね……。


3/17) ステータス表示の変更。ジェム表示は消しました、日用品とかで使ってるので具体的な数値を出すと管理が……今後はだいたいで行きますわ


 身嗜みを整えた俺がテントから出ると、外に居た小森ちゃんが途端に顔を背けた。


「さっきは不快な思いをさせてごめんな」

「…………いえ、元はと言えば私が乱入したのが悪いんですし……」


 なんとも微妙な空気になってしまった。

 さすがにこの空気を放置するのはマズいよな。


「じゃ、じゃあさ、お互い悪かったって事でチャラにしようか?」

「そ、そうですね! 無かったことにしましょう!」


 ほんとそうして欲しい。こんなだらしないお腹を見られたと思うと、恥ずかしすぎる。

 そう思い、30を過ぎてから急に育ち始めた自らのぷよぷよな腹をつまむ。

 

 あれ? 思ったより引き締まってね?


 お世辞にも引き締まっているとは言えない腹だが、3日前――召喚される以前――に比べて遥かに脂肪が減っているような気がする。

 しかし俺は、召喚されてから今日まで頑張ったからだろうと軽く考え、小さな違和感を拭い捨てた。


「まあいいや、取りあえず飯にしないか?」

「あ、そですね。山城さんは何を食べたいですか?」

「そーだな……肉が良いな」


 小森ちゃんが出してくれたのは生姜焼き弁当だった。実に美味そうだ。

 これに緑茶が付いて10ジェムらしい。


「ありがとな。んじゃ、いただきます」

「はーい、私もいただきますっと」

「いやいや、ちょっと待て! 手に持ってるそれは何だ?」

「……何って、お昼ご飯ですけど」

「そんなのお昼ご飯とは言えないだろ……」


 彼女が持っているのは、どう見てもポテチにしか見えない。

 そんなのばかり食べてるから肌ガサガサなんだよ……。

 俺はそれを取り上げ、言い聞かせる。


「こいつは没収だ! もっとちゃんとした飯を食え!」

「ぶー、横暴です! この鬼、悪魔、おにちくしょう!」

「とにかく一日三食はちゃんとした物を食うこと! そうすりゃ、お菓子も少しなら食っていいからさ」

「むぅ……わかりましたよぅ。――――はい、これで良いんですよね?」


 しぶしぶ彼女はタブレットを操作し、パスタサラダらしきもの取り出す。

 俺はそれを見て、まあそれなら良いだろうと、ポテチを返してやった。


 ちなみに、ポテチが4ジェムでパスタサラダが6ジェムだったらしい。

 ポテチが微妙に高い、やはり控えてもらわんとな。


 食事の後は昨日購入したリュックを出してもらい、今夜と明日の朝食を詰めていく。

 飲み物の麦茶は1ℓ単位でヤカンに3ℓ分出して持ち運ぶ。長い目で見れば、このほうがちょっとお得だ。

 あとはヤカンから注いで飲むようの頑丈な金属製のマグカップを2人分購入し、各自2食分を購入して完璧だ。


 あ、大事な物を忘れていた、トイレットペーパーこれは外せない。うん、これで完璧だな。


 ここまでと昼食分の額を含めるとこうなる。


・生姜焼き弁当:10ジェム

・ポテチ:4ジェム

・パスタサラダ:6ジェム

・麦茶1ℓx3:6ジェム

・オニギリセットx2:10ジェム

・菓子パンセットx2:10ジェム

・金属製マグカップx2:70ジェム


合計:116ジェム


 となって、残金は1ジェム……またギリギリまで使ってしまった。

 もちっと計画的に使わなんとなぁ。


 ともあれ、これで準備万端整った。

 宿に帰ってゆっくり休むとするかね。

 

 まとめた荷物を担いで歩き、拠点領域ぎりぎりで拠点を撤去して街へと帰る。

 宿に戻ると、二人して陽も高い内からで部屋でゴロゴロして過ごした。




 翌朝起きると腰痛は収まっていたものの、最近ずっと続いている不可思議な痛みというか軋みは感じる。

 これが何なのか、予想は付くが確信は無い。今しばらくは様子見だな。


 朝飯代わりに菓子パンをかじり、ヤカンに入った麦茶をマグカップに注いで一気にあおる。

 糖分が身体に染みわたり、サッパリとしたお茶が口の中に残る甘さを押し流してくれる。


 こうして異世界4日目の朝が始まった。


 時間は朝7時くらいだろうか? 本来、俺達のような人種が起きているはずのない時間帯ではある。

 しかし、サイトの巡回も深夜アニメのチャックも不可能な現在では、暗くなったら寝る他にすることも無く、不本意ながらも太陽に合わせて生活する他なかった。


 朝食を済ませたらすることも無いため、街の外に出てテントを張る。

 今日は一昨日に教わった悪草エビルウィードの繁殖地の近くを拠点とした。


 まずは近場の悪草を30分ほどささっと刈って、休憩がてら顔を洗い歯を磨く。


「さてと今日は一日中、悪草を刈って過ごそうと思うんだけど、小森ちゃんはどうする?」

「そうですねぇ……私は『内助の功』のためにテントの中に居た方が良いんですよね?」

「ああ、出来ればそれで、レベルが上がるたびに『内助の功』のレベルも上げといてほしい」

「了解です。では洗濯でもしときましょうかね……。山城さんの分も洗っときますけど、良いですよね?」

「嫌じゃないならお願いしたいけど、本当に良いのか?」

「はい大丈夫です。そのぶん山城さんは、外でたくさん稼いできてくださいね」


 自分から仕事を言い出すなんて、意外に良い子じゃないか。

 高枝切りバサミを担いでテントから離れる時も「いってらっしゃい」と声を掛けてくれた。

 こうして送り出してくれる人がいるだけで、不思議とやる気が湧いてくる。



 その後は休み休みではあるが悪草を刈って過ごし、午前中だけでレベル7に上がってしまった。

 スキル『内助の功』様様である。

 刈った悪草の数は、回収したジェム数からするに1232本。我ながら頑張ったと、自分を褒めてあげたい。


 今のステータスはこんな感じになっている。


┌─────────────────────

│【小森 陽雪】引きこもりLv7

│[パラメータ]

│ 筋力:1(+2) 耐久:1(+2) 敏捷:2(+2)

│ 器用:5(+2) 魔力:7(+5) 精神:1(+4)

│[クラススキル]

│ 内弁慶、情報端末[T]

│[コンビスキル](SP:2)

│ 通販生活Lv3、収納上手Lv1、内助の功Lv3

│[ドレススキル]

│ 聴覚強化

├─────────────────────

│【山城 護】自宅警備員Lv7

│[パラメータ]

│ 筋力:3(+2) 耐久:2(+2) 敏捷:2(+2)

│ 器用:6(+5) 魔力:5(+2) 精神:3(+4)

│[クラススキル]

│ 内弁慶、情報端末[S]

│[コンビスキル](SP:3)

│ 拠点設営Lv1、遠隔回収Lv1、領域拡張Lv4

│[ドレススキル]

│ 消臭

└─────────────────────


 小森ちゃんの残ジェムは900足らずだが、ジェムが減ってるのは洗濯用に洗濯板やタライ、小型の物干し、水に洗剤を購入したからであって、今日は無駄遣いした訳ではない。

 あと、今食べてる昼食もだな。

 今日は焼肉弁当、やはり肉体労働の後には肉が一番だ。


 ちなみに小森ちゃんの『内助の功Lv3』で取得経験値が8倍になる。

 とんでもないチートだが条件が厳しすぎるため、単体では恩恵を得る機会の少ない死にスキルでもある。

 俺のスキルで拠点領域(庭)を拡張し、俺が外に狩りに出て初めて有用になるのだ。


 そう言えばSPは、1レベルアップ毎に2取得できる。

 スキルの取得に1ポイント、レベルアップに2⇒3⇒4⇒5と増えていくようだ。

 小森ちゃんのSPが2余っており、『収納上手』のレベルを上げられるが今は温存だ。

 次のレベルで『内助の功』のレベルを4に上げられる。そうなれば取得経験値16倍で、うっはうはだな。


 俺のほうはと言えば『領域拡張Lv4』となり、拠点領域が半径480mまで広がった。

 ここまで広がると街の外壁まで到達するのだが、やはり拠点領域は外壁でぷっつり途切れ、街の中が領域に含まれる事は無かった。

 今のところ上げたいスキルは他にはない。欲しいスキルはレベル11~なので、あとの俺のSPは温存しておくつもりだ。


 食事が終わり刈りに戻ろうと立ち上がると、あるものを渡される。


「あ、刈りに行く前に、これを外に出しといてください」


 渡されたのは小型の物干しで、Tシャツを通したハンガーが掛かっており、洗濯バサミがたくさん付いたハンガーには下着や靴下、ハンドタオルがぶら下がっている。

 昨日来てたであろうウサギプリントの子供パンツと、「働いたら負け!」とプリントされてTシャツも干してある。

 なるほど、それでステータスのドレススキルから『消臭』と『魔力強化[小]』が消えてたんだな。


 つうか自分の下着を俺に見せて恥ずかしくないのかよ。


 等とげんなりした俺だが、それ以上に驚くべきものを見つけてしまった。


「って、これ俺の下着も干してあるじゃねーか! もしかしてこれも洗ってくれちゃったの?」

「えっ、はい、駄目でしたか?」

「駄目じゃないけどさ……なんか照れるじゃん」

「……わ、私も慣れるよう頑張ったんですから、山城さんも慣れてください! 恥ずかしいからって、下着だけ別で洗うなんて、その……非効率的ですから」

「あ、ああ、確かにそうだよな。これからも頼むよ」


 顔を赤らめながら説明してくれるのを聞くと、彼女が意外にしっかりした考えを持っているのが分かる。


 ほんに良い子では無いか。

 年頃の娘さんがいるお宅では「パパの下着と一緒に洗わないで」なんて言われる昨今で、こんなオッサンの下着を手洗いしてくれる女子高生なんてなかなか居まい。


 彼女が良いというのであれば、俺に否やは無い。



 小型の物干しをテントから運び出し、陽の当たる場所に置いてから、俺は悪草刈りへと戻る。


 テントから100mほど離れた場所で刈りを再開し、30分ほど刈った頃だろうか。

 ポケットに入れておいたスマホが警告音を上げる。


――WARNING! 拠点本体が攻撃を受けております。


「な、なに!? なんでここゆれてるの? ちょっ、えっ、ひゃああああああ!」


 テントの中からもくぐもった悲鳴が聞こえてくる。


 それを聞いて、取るものも取りあえず走り出す俺であった。





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