めんどくさがり、目立つ。
黒板に張り紙で掲示されていた座席表に従って席に着くと、中年の男性、教師らしき人物が入ってくる。その教師を見て周りがざわつく。どうやら有名人のようだ。
「それではホームルームを始める。君たちは今日からこの学園の生徒だ。その自覚を持ち、節度を持って行動するように。堅い話は以上、これからともに学ぶ者同士自己紹介といこう。1分くらい時間をとるから考えろ」
談笑する者、黙って考える者、様々だ。俺は後者だ。
そういえば名前決めてなかったな。入試も座席表も受験番号だけだったから。
「1分経ったので、自己紹介を始める。まずは私から。」
そう言って、彼は名前を書くと、自己紹介を始めた。
「ルード・トラント。この学園では15年、剣術の教師をやっている。剣術についてはもちろん、学園の諸々についてもなんでも聞いてくれて構わない。」
第一印象は硬派な剣の達人。こうして立っている時も隙がなく、あれを剣で崩すのは俺でも手こずるだろう。魔法も対策を持っているだろうし、全力で攻めていても気を抜いたら致命打で切り返してきそうだ。
「では、君たちにも自己紹介をしてもらおう。最初は、私を見てどう崩すか考えている目をしていた受験番号28番の君から。」
観察眼も鋭い。本当に敵に回したくないタイプの剣士だ。
「レイ・アストリアです。よろしくお願いします。」
この世界では苗字を持っているのが一般的で、持っていないのは親を知らない浮浪児くらいだ。その浮浪児も自分で付けるか浮浪者の集団間で同じ苗字を名乗るのがスラムでの流儀になっているとか。
「次、45番」
「イルミナ・フォン・アルトと申します。これから一緒に学ぶ学友なのですから、身分など気にせずに接していただけると幸いです。」
「よし、これで全員だな。各々気になった人と話すといい。この学園で最初の親友ができるぞ。無論。俺でも構わん。」
…話したら親友ってだいぶ親友の範囲広くないと無理な気がするけど、あながち間違いでもないのか?
なんか4人も来た、めんどくさ。
「「「「tjaujuprkjuobnvrwidgnkl!?」」」」
俺は聖徳太子じゃないぞ…
「えーと、まずはサリーさ───」
「的を壊した炎の魔法って何ですか!?」
…多分、こいつが求めている答えは、魔法陣の図ではなく、魔法の名前、例えばファイアーボールとか、だろう。
さて、俺はその質問には答えられない。なぜなら知らないからである。
「ノーコメント、というか戦い全般ノーコメントかな」
そう言うと、4人は去っていった…そんなに第一印象が悪かったのか?
イルミナさんは人気者だ。そしてイルミナさん以外は俺に話しかける理由がなくなった。好奇心で俺に近寄るより王女に媚を売った方がいいのだから。
暇だなと思ってぼーっとしていると、あれよあれよと、書類や教科書の配布、寮や食堂の利用方法の説明などなど、あっという間に終わってしまった。もちろん大体のことは全て覚えている。
寮が全員分の部屋あって、教科書はそこの本棚に全部入っている。寮は基本無料で、食堂も外部の人が食べるときの値段と比べるといくらか安い。
書類を色々と書くと、もう夜だ。
…外に出るか。
特に夜間の外出は制限されていない。自己責任というだけのお話だ。
ちょっと路地裏を歩こうものなら…
「動くな」
こうなる。
騒ぎにすると面倒だし、一旦捕まってみるか。万が一大きな組織だったら潰した実績と信頼を得られるし。
ヒロインは次回です。




