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めんどくさがり、強くなる。

森にこじんまりとした家。何か境界にバリアが張られているのが微かに見える。


記憶に頼んだ知識は全て入っている。


テンプレートの魔法を発動して、魔法陣を少し変えて比較する。


魔法陣の文字は読めないので、覚えてる魔法陣から抽出して入れる、コピペで変更していく。


不発、不発、不発、不発、不発、


何度不発しようと関係ない、別の文字をコピペする、書き換える場所を変える。時間はある、何百万通りでも試す。


何が数字で、何が単語を作る文字なのか、そもそも孤立語なのか膠着語なのか、分からない。だから泥臭く試して試して試す。まだプログラミング用語のようなことを言う段階になど達していない。


…


…


ここはこういう役割で、これはこういう意味か?


魔力が尽きそうだな。そのせいか眠くなってきたし、寝るか。


もう1日が終わったのか。




解析しようとしていたことを見抜かれたのか、家には無限に紙が出てくる装置と無限にインクが出るボールペンがあった。


びっしりと文字で埋められた紙の山が積み上がっていく。


1日だけじゃない、長いと1ヶ月かけてやっと1単語。


だが、単語の意味がわかって行くほど解析速度はほんの少しずつ上がっていく。


年月が経つと、それは一つの辞書になる。これからも編纂され続ける魔法言語の辞書。


そこに収められた、かけた時間の証、すなわち単語は1万を超え、2万に差し掛かろうとしていた。


服はずっと同じものを着ているが、この体は代謝がないので汚れない。シワができるだけである。


体の方も、ここはダニとかが湧かないらしく、常に清潔。


どちらも意図していなかったが洗濯や入浴という面倒が消えたので都合がよかった。


何年経ったかなどどうでもいい。ただ自衛能力が欲しいだけ。自衛するには、テンプレートだけじゃ足りないと思っているから、わざわざ魔法言語を解析した。そもそも魔法は開発できる代物ではなく、世界初の新しい魔法は偶然生まれるらしい。


「魔法陣を圧縮した結果とどう解凍するかの命令を書き込むほうがコンパクトで済みそうだな…」


zip形式もどきで圧縮しよう。




魔法を使い込むに伴って魔力量は増え続け、多分国を消し飛ばすのも容易になった。


この世界の強さの基準は、貰った魔法のテンプレートを使えたらどのくらい強いかという知識ももらっているのでだいたい把握している。その上で国を消し飛ばせるだろうと結論がついたのだから、大丈夫だろう。


じゃあ、剣を作ろう。


魔力を纏わせるのは前提として、それで何をするか。


切れないものがあると問題だな。あとリーチも出来れば長めがいい。



魔力を纏わせてひと振りすれば、距離・遮蔽物を無視して、魔力の分だけ強力な無数の斬撃を出せる、そんな剣が出来上がった。細めの剣だ。


いずれ、切ったという結果だけを押し付ける剣とかに改良したいところだが、因果律への干渉はどうにも難しく、実現はだいぶ先か、あるいは不可能だろう。


剣の練習は、泥臭く素振りするだけでなく、どんな攻めや受けにどんな切り返しや追撃をするか考えたりもした。天使の羽もあるし、対応の仕方は人間より多くて良い。そうすると、対応を考える速度が上がってきて、実践的な速度で即興で対応できるようになってくる。


素振りのおかげで、一撃の威力は上がっていく。



異変に予兆はあるわけがない。その予兆自体が異変だからだ。だから異変は突然やってくる。


こんこん、と家の入り口をノックする音。いつぶりかの知性と社会性を持つ存在が発する音。


「ごめんください、ここはどこですか?」


扉の先にいたのは、どうやら迷子の少女らしい。


そして、ここがどこであるかを俺に問うている。

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