めんどくさがり、探索者になる。
ルナは結局次の日の朝まで俺の膝の上を占拠していた。
授業を受けて、寮に戻る。
「さて、俺は今から探索者、というか冒険者になりに行くんだけど、ルナもなるか?」
「…なる。」
ルナは俺と違って始めから天使なだけあり、この世界の常識は知っているそうだ。
冒険者ギルドに着くと、酒場を兼ねているらしく、騒がしい。
「登録を…」
名前書いて金払って終了。偽名とか使う理由もない。
ルナが袖をつんと引っ張ってくる。
「苗字どうしよう」
確かに。でも、同じにした方が寮にいることがバレた時に弁明がきくか?
「アストリアにしてくれると助かる。」
そう耳打ちすると、ん、と返事が返ってくる。
登録は普通に終わった。それぞれ名前とF-の字が書かれたカードを渡された。
冒険者には、F-,F,F+,E-…A+,Sのランク分けがされており、これによって受けれる依頼が変わってくる。分不相応な依頼を受けて死んだり依頼者に迷惑をかけたりしないためだ。
迷宮探索については依頼主が冒険者ギルドの常時依頼となっていて、迷宮の各階層に適正ランクが書かれた立て看板があるのでそれを参考に進むか引くか決める感じだ。
というわけで目立つのも嫌なので大人しくF-の階層のみに潜って、魔物数匹分の素材を鑑定してもらい換金する。
さっきの受付がこちらを見て驚いていた。数匹狩っただけじゃないか。鑑定結果も特に珍しいとかでもなかったし。
ちなみに出てきた魔物はスライムとかゴブリンとか、雑魚魔物として小説に描かれることの多い魔物で、実際雑魚だ。
魔法を使うまでもないし、得物を出す必要もない。一般人がその辺の棒で叩き殺せるレベルだ。
寮に戻る頃にはもう夜。これからは毎日こんな感じの生活だろう。授業を受けて、探索して、ときどき勉強や魔法の開発をする。
「…レイ」
「ん?」
「レイは私の過去、見た?」
「詳しくは見てないな。魔法神の直属だったってことくらい。」
「なら見た。だから、レイの過去も見せて?」
純粋な目で問うてくる。汚れを知らない、純真な目。
好奇心もあるだろうし、これから共に過ごすであろう相手の過去を知りたいというのは当然だ。
「断る。」
「どうして?」
「それはまだ言えない。」
無知は罪だが、ときに有利にはたらくことだってあるのだ。




