第二十一話『終わり』
天津猫ですお待たせしました。いよいよ第一章『王の命令と反逆の絶対勝利』の最終話です。
ではどうぞ!!
第二十一話
陽太達の活躍により勝利を納めた四対四の一騎戦を終え、残る一騎戦は大将戦のみになった、対戦カードは『王の命令』と言う天烈皇王の持つ命令を実現させる能力、対するは荒波なぬいが持つありとあらゆる物事に勝利することが出来る能力『絶対勝利』である。
「さてとそろそろ行きますかね……」
現在は出場選手専用の待機室でなぬいは軽いストレッチをしていた、なぬいは『絶対勝利』が有るので絶対に負けないが皇王は全力で抵抗してくると分かっていた、試合開始まで残り数分でなぬいは会場に出ようとした。
「待ってください!なぬいさん!」
「うん?」
会場に出る扉に進もうとすると選手以外入ることは禁止されている筈なのに後ろから声が聞こえた、疑問を浮かべ後ろを振り向くとそこにはレイナが少し息切れをした状態でなぬいに声を掛けたのだ。
「どうしたんだレイナ?そんなに急いでってか此処、選手以外立ち入り禁止だぞ?」
「そんなの決まってるじゃないですか!応援です!」
「いや観客席で出来るだろ……」
「詳しく言えば最後の言葉を掛けに来ました!」
「なんかお別れの挨拶みたいな言い方だな……」
「気にしないで下さい!」
「えぇ……」
如何やらレイナはなぬいが一騎戦を始める前に秘密で言葉を残しに来たようだった、実はレイナはなぬいや友達以外の前だと余り元気に笑わないのである、教室でもちゃんと笑うが笑い方は元気よりも大人な笑い方をする、だがやはりレイナはなぬいの前だと元気な女の子として過ごす、演技などではなく本来のレイナとして。
「まぁでも……嬉しいかな?」
「それなら来たかいがありました!」
「レイナはどっちが勝つと思う?自分か皇王か?」
「え?なぬいさんじゃないんですか?」
「!それは自分の能力がそうだから?」
「いいえ――」
なぬいの質問に間髪入れずレイナは不思議そうに答える、そしてなぬいは驚きレイナニ再度質問する、本来愚か者クラスであるなぬいが賢者クラスにしかも序列三位ランクと戦ったとき、なぬいの能力を知らない者達の殆どが皇王の圧勝だと言うだろう、勿論そんな訳は無くなぬいが勝つのだが学園側にはなぬいの能力は『幸運強化』で登録されており『絶対勝利』の名が学園で出る訳もない、だがそんな中レイナはなぬいが勝つと言ったのだ。
「――私にはなぬいさんの能力は知りません……ですが能力とかそんなの関係なく……私はなぬいさんが勝つと信じているんです」
「…………あは!あははははははは!!あははははははは!!!」
「え!え!私何か変なこと言いました!?」
「あはははは!……嫌、つい自分の能力を知らないでそんな事を言ってくる人が居るとは思わなくて……ありがとう、お陰で余計に自分の勝利率は100%から1000%に引き上がった!!」
「!それなら良かったです!どうかなぬいさんの凄さを学園中に見せつけてあげて下さい!」
「いや、それはちょっと困るけど…………て、もう居ないし……」
なぬいに言葉を言い終えたのかレイナの姿はもうない、それは当たり前だった本来は選手以外立ち入り禁止の場所に居たら見つかってみろ、怒られるのは当然であった。それでもレイナが言った言葉はなぬいの中に確かに残っており、会場に行く入り口で独り言を呟き入っていく。
「あっちも色々と背負ってるみたいだが……勝つのは自分だ!」
――――観客席側
観客席側に座る生徒達には落ち着きが無かった、観客席側に座る生徒達はソワソワしながら待ち続けていた、学園に居る数少ない序列三位ランクの天烈皇王と先ほどの一騎戦で観客席中を沸かせた牛丸を棒立ちしたまま勝利した異質な生徒である荒波なぬいの対決を。
「今戻りました!」
「お帰りレイナちゃん」
「あれ?浩介先輩だけですか、さっきまで有馬君とサヤカちゃんが居たのに?」
「二人なら有馬君は陽太君の看病をサヤカちゃんは春明君を看病しに行って、如何やら二人とも看病しながら病室で観戦するらしい、青春だね~」
「ですね!」
VIPルームに帰ると浩介しか居らずレイナは有馬とサヤカが何処に行ったのか質問した、如何やら有馬とサヤカは陽太と春明の看病に行ったようだった、そのためVIPルームにはレイナと浩介しか居ないが二人ともワクワクしながら試合が始まるのを待っていた。
――――教師専用観客席
レイナ達が居るVIPルームは観客席側の上にあるが教師専用観客席はその反対側にある、そこには雪先生や子百合先生などの教師たちが大将戦を今か今かと待ちわびていた、そこでソムニウム学園の体育科教師の一人である木間鳴豪快が大声で他の教師にどちらが勝つかを聞いていた、木間鳴は190cmの身長に筋肉質な体で筋肉研究会の顧問をしている。
「さっきの四対四の一騎戦も凄かったが!大将戦の一騎戦はもっと楽しみだな!」
「そうだね!でも驚いたね皇王君が戦う相手がまさかの雪ちゃんのクラスの生徒だなんて!」
「あぁ……今でも信じられん荒波は特に目立った強さも成績も無いはずなのに……皇王は真っ先に大将戦の相手に荒波を選んだ……(激渋ボイス)」
「皇王君が戦いたいと思うほどの力を隠してるとか?」
「とにかく雪と子百合はどっちが勝つと思う?」
「「荒波(なぬい君かな)だな」」
「へぇ!理由は?」
「自分のクラスの生徒を信じるだけだ(激渋ボイス)」
「私は何となくかな」
木間鳴の質問に雪と子百合はなぬいが勝つと言った、雪は自分の生徒を信じるのが理由で子百合は……あの時のなぬいの能力世界を見ての理由であったが決して言葉に出さなかった、あれ程の広さを持つ能力でありながらそれを隠すのは理由があると子百合は考えたからだ。
【この世界が表しているのは、たとえ銀河が荒波なぬいを敵に回しても、その全てはなぬいより下を表しているんだけだから】
なぬいの能力世界に居た謎の人物が答えたあの言葉が子百合に残り続けていた。
「(銀河が戦っても負けないってどんだけ強いのなぬい君は!?)」
子百合達教師もまたワクワクしながら試合開始を待っていた。
――――数分後
〚皆の衆!待たせたなぁあああ!いよいよ試合が始まるぞぉおおおお!!〛
「「「「「「「「うぉおおおおおお!!!」」」」」」」」
雨宮命の放送がついに始まった事により観客席のボルテージはMAXであり、しかもフィールドは四対四の一騎戦の時よりは小さいもののそれにより生徒達はまじかで荒波なぬいと天烈皇王の一騎戦を観戦できるのだから。
〚まずは左側の入り口から出る選手からの紹介だぁあああ!〛
〚命ほどほどに〛
〚あいよ!では紹介だ彼の能力は空を地を操る?違う違う!本当の能力は〝命令″!彼の命令には逆らってはいけないのではない逆らえないのだ!『王の命令』を持つ王!その名も天烈皇王ぅうううう!〛
「来るが良い荒波なぬいよ」
会場に上がった皇王に観客席は大歓声であるが放送はまだまだ続く。
〚続いては右側の入り口の選手を紹介だぁあああ!彼の能力は『幸運強化』のはず?だが彼は入学初日で先ほどの一騎戦において天鉄蛍君を打ち破った牛丸豪君を無傷でしかも棒立ちしているだけで勝利を納めた!本当にそれは幸運なのか!赤い髪をして常にグラサンをしているミステリー生徒!その名も荒波なぬいぃいいいい!!〛
「おまた」
こうして遂にお互いに初対面でありながらピリピリとした空気を出しているなぬいと皇王に観客席は無音になった。そして遂に始まりの合図が全体に届いた。
〚試合開始!!!〛
「「…………」」
試合が始まったはずなのに二人は動こうとしなかった、二人ともお互いの事を探っているのだ、そんな時間が数分ほどしたら皇王が口を開いた。
「先に聞いておくぞ荒波なぬいよ」
「何?」
「王たる俺が提案してやろお、俺の下に付け」
「嫌だ」
「そうか……なら……思う存分に王たる俺が膝を付かせてやる!!」
「やれると良いな負け犬王!」
二人の戦いは近距離戦の殴り合いから始まった、皇王は軍隊式格闘戦術を駆使して戦い、なぬいは空手、柔道、合気道、太極拳などの多種多様な格闘術で皇王と殴り合っていた、二人の攻撃はどちらも当たらず当たったとしても双方が防御を完璧に行い大したダメージを与えられない、そして二人は一旦距離を取り話し始めた。
「やるな!それ軍隊式格闘戦術だろどんだけ極めてるんだよ」
「そちらもな!そちらは一つの事を極めるのではなく、様々な事に手を出し覚えると言いた感じだろう?」
「正解!……さて、準備運動は終わりだここからは能力を使っていこうか!」
「そのつもりだ!」
二人のさっきの動きは大の大人でも中々出来ない高度な戦いであった、それを二人は準備運動と言い切った二人に観客席や教師席そしてVIPルームでさえ息を吞んだ、そんな事はいざ知らず皇王は『王の命令』を使いなぬい攻撃をした、が、皇王は命令の言葉を口にしなかったのだ足で地面を蹴っただけでなぬいの地面の土は一気になぬいを捕まえた。
「あれ?命令を口にしなかったら発動しないんじゃないのか、お前の『王の命令』は?」
「いつからそんな事を言った?確かに『王の命令』は俺の命令が無ければ発動しないが決して口で言った命令だけが『王の命令』を発動させるとは言っていな」
「なるほど一本取られた」
皇王はたった一度も『王の命令』を発動させる為の条件が口で言いた命令だけだと言いてはいなかった、つまり皇王は地面に足を蹴り自身の考えを蹴った地面に命令したのだ、これにはなぬいも勘違いをしていたので笑みを浮かべてしまう。
「さて……一見お前は捕まえられピンチに見えるがそんな訳はないのだろう?」
「当たり前だろ」
皇王の言葉に観客席は疑問を浮かべた、なぬいは『王の命令』で地面から出て来た土で拘束され動けじまいである、そんな中なぬいは笑いながら答えたその瞬間、【ガキン】音が聞こえたそして次に目に入ったのはさっきまで拘束されていた土の上に立っているなぬいの姿であった。
――――観客席側
「今何が起こったの?」
「分かんないよ!いつの間なってたんだから!」
「あいつの能力なのか?」
「でもあいつの能力って自分幸運を上げる能力じゃなかったけ?」
観客席側に座る生徒達は今の一瞬で何が起こったのか分かっていなかった、それは教師側も同じであった。
――――教師専用観客席
「今の分かったか?」
「嫌、全く……」
「荒波なぬいは一体何をしたんだ?」
他の教師たちは真剣になぬいが何をしたのかを考えていたが一向に答えが出ない、当たり前だ『絶対勝利』はそもそも人類が理解するのは不可能であるため、どれだけ考えようと『絶対勝利』と言う答えは絶対に出てこない、教師専用観客席、生徒観客席、VIPルームを含め二名以外は
――――VIPルーム
「(やはり正体不明の能力を持っていたか荒波なぬい……今の一瞬を気づけたのは僕と学園長以外は居ないだろう……それにしても厄介な能力だなまさか世界を動かすいや世界が動く能力だなんて……)」
浩介はさっきの出来事を完全に見破っていた、レイナはなぬいの一騎戦に夢中で見えていないが、今の浩介の雰囲気は初めて会った時の虐められっ子の雰囲気では無く圧倒的な強者の雰囲気であった。
――――学園長室
そこには温厚そうな老人が目の前のテレビに映っていた映像を見ながら口を手に置き考え事をしていた、白髪のオールバックにダンディな顔つきで映像の事に付いて考える、そして独り言の様に口を開いた。
「先ほどの映像には若造が荒波なぬいを拘束していたが瞬間移動したように拘束していた土の上に立っている……フム、一瞬だが微かに音が聞こえたとなると荒波なぬいが世界を動かしたのかのう?いやあの感じだと世界がなぬいを動かしたと言った方が正しいかのぅ…………これはめんどくさい事になる予感がするのぅ」
老人の名前は三日月典雅、現在分かっている『始まりの12の力』の内、創造主が四つ目に作った序列三位能力『全知全能の神』を使いこなす男である。
――――会場
風が二人のブレザーをなびかせる、無言、それが今の現状であった皇王は警戒の雰囲気で微かに冷や汗をかくのに対して、なぬいは余裕の表情を浮かべ拘束していた土の上から皇王を見下ろしてた。
「…………いつまで王たる俺を見下ろしている」
「そう言われてもここから動こうと思わないもので」
「そうかなら本当にそこから動けないようにしてやる!」
皇王の言葉に余裕の表情で返したなぬいは皇王の癪に障った、それにより皇王は口を開き命令を出した。
「『串刺しにせよ』!」
「?…………!ぐはっ!」
皇王の命令に一瞬理解できなかったが直ぐに理解させられた、ドシュッ!グサ!バシュ!ズシュッ!なぬいは串刺しにされたのだ皇王の命令によって、なぬいは全身を串刺しにされ槍はなぬいの血をポタ、ポタ、と流していた。【ガキン】音が鳴った。
「やれやれ少し見下ろした程度で人を串刺しにしないでよ」
「!お前一体何をした!」
「さぁね~」
また微かな音が鳴った瞬間、目の前で串刺しにされていたなぬいの姿は無く、そこには一滴の血も無い生えて来た何本もの槍だけがそこに在った、そして後ろから串刺しにされていたなぬいの姿があった。
「俺は今目の前で『王の命令』をお前に発動させ!串刺しにして殺した筈だぞ!」
「てか一騎戦で相手を殺していいの?」
「別にそこは構わない」
「良いんだ」
「良いから質問に答えろ!どうやって串刺しに殺したお前が生き返っている!」
「その質問に答える前に……そろそろ決着を着けようか」
「何?」
なぬいは串刺しにされて殺されたことなど気にしないと言うように、皇王に決着を着けると言った。
「(<絶対勝利解放、勝利条件規定、眼前個体名天列皇王の死亡を完全確認を持って勝利とみなす、及び未来を改変開始……完全成功、天列皇王の個体強さを完全凌駕開始……完全成功>)」
なぬいの頭の中に声が聞こえてくる、その声はなぬいの能力世界に居た男性の声であった、その声が黙るとなぬいは皇王に向って言葉を返す。
「今から圧倒的な力で上からぶにのめす…………頑張って抗え」
「な?…………ガハ!!」
なぬいの言葉に理解が出来なかった皇王の目線の先には既になぬいは居なかった、いやそれは違ったなぬいは確かに皇王の近くに居た、皇王の気づいた時にはなぬいは皇王の腹に蹴りを入れていた、そして意識が立った一発で持っていかれてしまった。
「?……?」
「へぇやるな~今の蹴りは結構ガチで蹴ったなだけど」
「ガハ!」
皇王はなぬいの蹴りを受けた時ガードをしていた、だが皇王は会場の壁に体を打ち付けられていた、皇王は一旦態勢を整態ようとしたが、なぬいがそれを許さなかったのだ今度は皇王をパンチでドコッ!っと空に打ち上げると一瞬で皇王と同じで空中に飛び上がった、そして空に打ち上がった皇王の腹にまたパンチをドコッ!っと地面に叩きつける、その時に皇王からはバキッ!ボキッ!と何本もの骨が折れる音がした。
「…………ガハッ!」
「おい、まだ終わってない、よ!」
地面に叩きつけられた皇王は仰向けに倒れ、白目を向き血反吐を吐いた、だがなぬいが皇王を容赦なく蹴り潰す、ひび割れていた地面が更にひび割れ、観ている側からはとんでもない光景であった。
————観客席側
「な、なぁ、何か皇王がボコボコにされてないか?」
「あ、あぁ、皇王からは骨が折れる音がしてしかも血反吐を吐いてるのに対して、あのなぬいとか言う一年生は無傷だし」
「これヤバくね……」
観客席側ではさっきまで優勢であった筈の皇王が地面に叩きつけられている現実に脳が理解を拒んでいた、それに一部ではなぬいに対して恐怖を抱いている生徒が居た。
————VIPルーム
「す、すごい」
「(まさかこれ程とは……これじゃあもう戦いじゃなく一方的な蹂躙だ)」
VIPルームではレイナは必死に言葉を出そうとしたが出せた言葉がさっきほどの言葉しか出てこなかった、浩介は目を細めなぬいへの警戒度を跳ね上げた。
――――教師専用観客席
「「「「「「………………」」」」」」
教師専用観客席では無言だけであった、入学で特にマークしていなかった、序列12位ランクの愚か者クラスの生徒が圧倒的格上の序列三位ランクに対して、地面に叩きつけるという偉業をしているのだら。
「これではどちらが格上か一目瞭然ではないか……」
一人の教師の言葉により一層教師専用観客席は無言の空気が支配していた。
————会場
現在皇王は地面に叩きつけられている、だが皇王の目からは生気を感じられていなかった、微かに息をしているようだが数分で命の花が尽きるだろう。
「(いついらいだ?こんなにも死が迫っていると感じるのは…………思い出した、まだ五歳ぐらいのガキのこれだった、あの時は死が隣に居るようなもんだった……)」
皇王は今ある意識の中でそんな事を考えていた、皇王が五歳ぐらいの子供の時はよく父親から暴力を振るわれる毎日であった。
「(親父は人間の塵の集合体みたいなものだった、毎日毎日母さんが稼いできた金で酒を買っては飲むクソ野郎だった)」
皇王は小さい頃か父親に怒鳴られ少しでも反抗すれば気絶するほど殴られる、そして母に手当てをしてもるのが毎日だった、皇王は母が働いた金で酒を買う父親が許せなった。
【この野郎俺に塵を見る眼を向けやがったな!】
【やめて!この子はまだ子供よ!】
【五月蝿い黙れ!】
【キャ!】
【か…あ…さ…ん】
その日も父親が皇王に暴力をふるい母がそれを庇い皇王の代わりに殴られる、子供の頃の皇王にとっては地獄の様な毎日だった、気が済んだのか父親は二人を置いて外に出かけて行った、そして皇王の体を手当てしようとする母に皇王は言った。
【母さんが先だよ!僕なんかよりも顔が腫れてるよ!】
【!嬉しいけど母さんは強いか!だから大丈夫よ、でもごめんね私があの人にお金を少し忘れてしまったから……】
【(なんで母さんが謝るの?悪いのはあいつなのに)】
子供の頃の皇王にとって母はまさに女神の様な人だった、どんなに自分が傷つこうと皇王を先に優先していた、その日も母が稼いだお金を少し遅く渡し忘れてだけで殴られるという理不尽な理由であった、皇王はこの時から既に少し壊れかけていた。本来なら学校に通っている年の皇王は母を父親と二人きっりにさせたくなかった為学校には行かなかった、だがその日の夜は母もパートで居なかったので皇王は一人で街を歩いていた、そんな時皇王の目にあるお店が留まった。
【(ケーキ……そう言えばもうすぐ今日は母さんの誕生日だっけ……ケーキをあげれば喜んでくれるかな?いやダメだお金が無い……ケーキは無理でもこの近くにある野良で咲いてる花を渡せば喜んでくれるかな)】
皇王は一人ケーキ屋の前で足を止めた、そして母にプレゼント出来ないか考えたが直ぐに無理だと諦めて花をあげようと考えた。
【うわ!】
【うお!】
皇王は下を向いて考えていたので前から来る大人に気づかなかった、そのためぶつかてしまい顔を上げると青年が立っていた。
【君大丈夫!?】
【うん……】
【その恰好……訳ありみたいだね……時間も無いし……よし】
【?】
【これで許してくれ!それじゃあ急いでるから】
その青年は皇王に謝罪しお金を渡すとすぐさま何処かに行ってしまった。
【お金……これなら!母さんにケーキを食べさせてあげれる!】
その時の皇王は純粋な希望に満ちた顔であった、そしてケーキ屋に入っていき母がいつかの日に好きだと言いていたチョコケーキを迷わず買い、ウキウキな気持ちで家に帰った、それが希望から絶望に変わらずとは知らなかった。
【か…あ……さん?】
【あん?】
家の扉を開けると一番最初に目に入ったのは、血だらけで倒れている母と血が付いた酒ビンを持ち立っていた父親の姿であった、皇王は理解できなかったいやしたくなかったのだ。
【お前が居ないせいでコイツが大怪我しちまったじゃねぇか!】
【(何言ってんだこの屑は?どう見てもお前のせいで母さんが倒れてるようにしか見えねえよ、それに母さんの事をコイツだと?)】
【おい何とか言えよこの塵!】
【…………『黙れ』塵はお前だ】
【何だとお前いまおれ……ムグ】
あまりにも身勝手過ぎる言葉に口が勝手に開いてしまった、その時に皇王は『王の命令』を発言させた、そしてその口は止まる事は知らなかった。
【お前みたいな塵はもう二度と僕と母さんの前に会われるな『消えろ』!】
怒りに任せて『王の命令』を発動させる皇王に消えろを言われ、本当にその場から消えたいや消滅してしまった、その後の皇王の行動は早かった自分と同じくらいの小柄な母を背負い病院に行こうとした、だが、子供の皇王にも体力の限界が来たのだ、深夜の為人は誰も居ない、どんどん体温が無くなっていく母を背に必死に歩く皇王に誰かが近づいてきた。
【君!あの時の少年じゃないか、その背に背負っている人は!】
【助けて……】
【わ、分かった、もしもし僕だ!今すぐに救急車を一台!早く!】
ケーキ屋の前で会った青年であった、青年は皇王と母の姿を見てすぐさまポケットからスマホを取り出し、救急車を呼んでいた青年の姿に安心したのか皇王は意識を手放してしまった、そして次に目を覚ました時天井が見えた。
【良かった!君は目を覚ましたようだね!】
【ここは?……ハ!母さんは母さんはどうなったの!?】
【…………付いてきてくれ……】
目を覚ました皇王に青年は話しかけた、だが皇王にとっては自分のことなどどうでもよかった、すぐさま自分と母を助けてくれた青年に母の居場所を尋ねると、青年は少し顔が暗くなり、皇王に一言伝え皇王はそれに付いて行った。
【母さんが起きない?】
【死んだ訳じゃない……ただ植物状態だ】
【植物状態……?なに、それ……】
【死んでは居ないが、意識が無い状態だよ】
【母さんは起きるの?】
【わからない……】
青年に連れられ着た場所にはガラス越しにベットで寝ている母の姿だった、青年は皇王に母は植物状態だと伝えた、それには皇王も地面に膝を付いてしまった、その後皇王は誓ったのだったこの世界を変えると、自分が王となり世界を変えようと誓ったのだ。
「(おかしい……皇王は確かにまだ死んでいないが絶対勝利が解けていない?まだ皇王には絶対勝利が警戒する程の何かを隠しているのか?)」
なぬいは倒れている皇王を見つめながら考えていた、ある程度の作業を終えた絶対勝利は完全ではないもののある程度能力を解除する、だが未だに絶対勝利は完全開放のままでいる事に疑問に思っていた。
「こい……『王の持つ青き薔薇の剣』……」
「!」
その瞬間倒れている皇王から一言が放たれた、バッ!絶対勝利は自動能力無効がある為その場を避ける必要はなかったものの、この避けはなぬいの本能がそうさせたのだ、起き上がった皇王の周りにはありとあらゆるものを凍てつかせる程の冷気を放っていた。
「おい荒波なぬいよ……この勝負は王たる俺の負けで良い、だが最後に王の俺ではなく、僕の本気の一撃を食らわせる」
「(雰囲気が変わった?いやどちかと言うと戻った?)」
「まぁ荒波なぬい、君の了承なくともやるけどね……」
さっきまでの雰囲気は何処に行ったのか、まるで子供の様な言葉と雰囲気を出す皇王に疑問が浮かぶが、なぬいはそんな考えを頭の中で切り捨てた。
「…………良いよ、皇王お前の本気を真正面から受け止めてやるよ」
「ありがとう……じゃぁ行くよ……<青き薔薇の剣はかつて、神の奇跡様に世界を氷で覆い尽くした、我は剣を持つ王、我が前の敵を消滅させよ>」
「…………」
「<終わりなき氷の世界で一振りの剣は担い手を待つ>、終わりだ<終焉の氷河世界>!」
なぬいに向うその技はまさに氷河世界を生み出す程の冷気を放ち、なぬいに当たるまで様々な場所が凍り付きそして青い薔薇が作られていた、なぬいは目を伏せ。
「(絶対勝利の能力武器解禁、武器名、勝利をもたらす槍)」
突如なぬいの背中から虹色に光る波紋から一本の槍が現れた、その槍からは規格外な神秘を放っていた。
「受け取れ、自分がお前を認めた証だ」
なぬいの放った勝利をもたらす槍は皇王の<終焉の氷河世界>の冷気を無効化しそのまま皇王を突き刺そうとした、それを『王の持つ青き薔薇の剣で切ろうとするが。
「(ダメだ、押される、『王の持つ青き薔薇の剣』が逆に折れてしまう、負ける、まぁ案外気持ちのいい負けかもしれないな)」
皇王は『王の持つ青き薔薇の剣』では勝利をもたらす槍を切れないと分かると、持つ手を緩めた、そして母の言葉を思い出した。
【ねぇ母さん?何で母さんは青い薔薇が好きなの?】
【?……フフ、簡単よ青い薔薇の花言葉は奇跡でね、私にとては皇王が生まれて来てくれた事が奇跡ですもの!】
母が愛した青い薔薇の意味を再認識し、皇王は力尽き倒れてしまった。
〚け、け、決着ぅううううう!!!天列皇王を打ち倒し、大将戦勝者は——————荒波なぬいぃいいいいいい!!!〛
「「「「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」」」」」
試合終了の放送がなり、雨宮命の試合結果発表をした瞬間に、観客席全体は雄叫びの様な声を出した、そしてなぬいは倒れた皇王を少し見つめた後、快晴に晴れている空を見上げサングラスをしている筈なのに呟く。
「眩しいな……」
その言葉の真意は不明であった。
————放課後
その後、なぬいは陽太達と合流し打ち上げをするために焼き肉行っていた、だがなぬい達とは違う五人がいた、皇王達であった彼らの居る場所は病院であった、そして皇王達は病室の扉を開けるとそこには皇王達にいや皇王に向けて笑顔で言葉を掛けた女性が居た。
「おはよう皇王、大きくなったはね」
「っ……全く、……寝坊助な、母さんだ……っ」
「ほらおいで皇王」
「うわぁぁぁぁんっ……!」
なぬいに負けた皇王は目を覚ますとそこには自分の配下だである四人が涙を流しながら、皇王が目を覚ましたのを喜んだその後すぐに電話が掛かってきた、電話の主は皇王と母の恩人である青年晴丸からであり、そして内容は皇王の母が植物状態から奇跡的に意識を取り戻したものであった、急いで病院に向い今に至り、そしてそこに居たのは王の様な皇王では無く、子供の頃の皇王であった。
「いや~もう腹いっぱい!」
「陽太は食べ過ぎだよ」
「ごめんごめん!」
現在なぬい達は焼き肉屋におり、焼き肉も終盤に差し掛かり各々が自由にし始めた頃、レイナが考え事をしていた浩介に話しかけた。
「どうかしたんですか?」
「…………フ、嫌!何も少し考え事をね」
「どんな事をですか?」
「簡単だよ勢力図が一気に変わると思っただけだよ」
「勢力図?」
「…………」
浩介の言葉にいまいちピント来てい居ないレイナを横目に、なぬいは浩介を見つめていた。その日の夜、なぬいは夢の中で目を覚ます。
「…………」
「やぁ!」
なぬいは王座に座っていた、周りには足元にある水面が水平線先まで広がったおり、王座の後ろから声が聞こえてきた。
「皇王の母に何をやった?」
「別にただ記憶を見て可哀そうだと思ったから、少しご褒美をあげただけさ」
「そうか……」
「それよりも、良いのかい?勢力図が急激に動き出し、あいつやあの悪魔も動き始めるよ?」
「何もしない……何をしようと自分が勝つ」
「やっぱり最高だよ」
————ガルガナの塔
アレセルト王国にあるガルガナの塔の頂上にある一本の細い塔に一人の男が立っていた。男は黒髪に翡翠色の瞳をしており本を開いていたが本を閉じた。
「やれやれ、これでやっと物語が進められる、如何でしたでしょうか?第一章『王の命令と反逆の絶対勝利』は?皇王の母も復活しめでたしめでたし…………まぁまだ第一章が終わったばかりですが」
後ろを向きながら男は誰に言っているのか。
「ですが私が本格的に登場するのは第三部の時ですがご安心ください、毎章の最後には登場するので、では二章の最後でお会いしましょう」
そう言って笑いながら男はいつの間にか消えていた。
第一章『王の命令と反逆の絶対勝利』~fin~
今回も最後まで読んでくれてありがとうございます。最後に出て来た人物はまるで読者に話しかけているようでしたね?あの人物は一体誰なのか?それを知るには自分が頑張ってストーリーを進めるしかありませんが、どうか応援をよろしくお願いいたします。次回からは番外編です。
それではバイバイ!!!




