表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SENA  作者: 雅号丸
第1章 CTBT:Comprehensive Tactics Beta Test

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/47

27話 高度を上げろ

残されたORCAの面々は、それぞれの端末が動かないことの気付く。また、那東がスナイパーライフルの乗せていたナイトビジョンも動作していない。


那東「バッテリー切れ、でござるか?」

ベネット「にしては、妙だな」


全員が無線を起動するも、通信がされない。

マイロー「全員の端末、全員の無線、那東さんのナイトビジョン……機械が全て壊れた?」


ヴェロニクが、胸元の谷間からスマートフォンを取り出す。


ヴェロニク「使えるかなぁ」

那東「四次元ポケット?」

ヴェロニク「立派に三次元やってるよ~、触る?」

マイロー「普通特殊な任務に私物は持ち込み禁止では?」

ヴェロニク「女はポケット、生身でも結構あるんだよねぇ」


ヴェロニクはスマートフォンの電源を入れる。画面が光を放ち、ロック画面が表示される。際どい下着を着たヴェロニクの自撮りが画面に表示されているなか、網膜認証でそれを突破、すぐさま電話をかけた。


ヴェロニク(電話)「もしもし、エメラルド?」

エメラルド(電話)「どうやって連絡している?反応からして私物の携帯のようだが」

ヴェロニク(電話)「持ち込んだ、許して?」

エメラルド(電話)「今日ここに至ってはファインプレーだ」

ヴェロニク(電話)「状況をお願い」

エメラルド(電話)「タイミングとしてはアフワーズに発射されたミサイルを破壊した直後。イラク首都バグダッドからイラン首都テヘランまで、約800キロメートルに渡って広範囲で、電子機器の接続が消失した」

ヴェロニク(電話)「私は連絡できてるけど?」

エメラルド(電話)「お前なら思い当たると思うが」

ヴェロニク(電話)「……EMP(電磁パルス)。でもおかしいわ」

エメラルド(電話)「電話が繋がることがか?」

ヴェロニク(電話)「それは普通よ。EMP攻撃は原理上、そのタイミングで通電してる機械の回路を破壊することができる。電源を入れていない機械には効果がないわ。もっとおかしいのが」

エメラルド(電話)「EMP兵器は2040年時点で、どの国家でも開発がされていない兵器」

ヴェロニク(電話)「でもイラクは持ってた。でも作ったのはどこ?」

エメラルド(電話)「セナとは連絡できるか?」

ヴェロニク(電話)「十中八九、故障してるか壊れてるわ」

エメラルド(電話)「待て、セナから位置座標の送信がある。スマホにデータを送る」

ヴェロニク(電話)「ここ、最後にセナがいた司令部の場所よ」

エメラルド(電話)「高速で北上している、まさか!?」

ヴェロニク(電話)「誰かに回収されてるんだわ!」

エメラルド(電話)「現在地を送れ!クウェートからヘリを出す。敵にセナを渡すな!!」


数時間後、1台のヘリコプターが降り立ち、ORCAを回収していった。イラク軍からのミサイル攻撃を回避しながら北上していき、道路を沿うように移動する座標を追っていく。端末や装備は新しいものに、銃器なども含め西側の装備に交換していくが、装備はバラバラだった。


エメラルド(無線)「緊急発進につき、装備はバラバラだ。好きなものを使え」

マイロー(無線)「このヘリは無事だったんですね」

エメラルド(無線)「クウェート全体にもEMPの影響が出ている。緊張状態のなか、稼働中の機体も多かった。奇跡の1台だ。敵は道路を移動中、衛星写真と照らし合わせると、セナを回収中の一団は新ソ連製の輸送車を使っている。前方から3台目の車両が位置座標と一致している、マザー曰く、セナのごと敵を蹴散らしてもセナの機体性能からして壊れることはないとのこと。敵は新ソ連、火力の出し惜しみはするな、全力でいけ!!」

ベネット「マイロー、敵討ちだからってあまり力むなよ?」

マイロー「装備にあったβ遮断薬(鎮静剤)を服用しました」

那東「拙者も服用したでござる。ワンチャン、ヘリから狙撃があたるやもしれないでござるな」

ヴェロニク「そういうのって飲んで良いやつなんだ」

ベネット「スポーツとかだと禁止されてるが、軍隊だしな」

ヘリパイロット「間もなく敵と接敵します、ご注意を!!」


ヘリコプターの先に見える、輸送車の一団。先頭にあるACPの上部ハッチが開けられ、兵士がロケットランチャーを構える。ヘリコプター内部のミサイルアラートが鳴り響いた。


ヘリパイロット「ミサイル、来ます!!」

那東「機体を斜めに頼むでござる」


那東が狙撃銃をしゃがんで構え、飛んでくるミサイルの弾頭を撃ち抜き、破壊した。続く2発のミサイルも撃墜し、ヘリコプターは進んでいく。


ベネット「わぁお……」

那東「驚くほど手汗がない」


那東は敵一団最後尾のハンヴィーから、機関銃手による射撃があるのを確認すると狙撃し射殺。ヘリコプターは機体を安定させると、無誘導ミサイルを撃ち込んでハンヴィーを一両破壊、速度を上げてさらに接近していく。すると、ヘリコプター後方から1台の大型トラックが接近してきた。トラックのコンテナが開け放たれ、中から多連装のロケットが飛んでくる。ヘリコプターが旋回して回避、またヴェロニクが機関銃で直接破壊していく。


至近距離で爆発し機体が揺れ、ヴェロニクが体勢を崩して落下、命綱を残してだだっ広な道路の中央で逆さまに宙ぶらりとなり、トラックのコンテナにいる兵士と目があった。ヴェロニクは機関銃を乱射して兵士を殺す。


ヴェロニク(無線)「そのままトラックに降ろして!!」


ヴェロニクはトラックのコンテナ内の降りると、コンテナ内から運転席に乗り移り、操縦席へ侵入し運転席にいる兵士をぶん殴り、トラックから突き落とした。トラックを加速させていき、片手でトラックを運転しながら、座席からもう片手で機関銃を射撃。ヘリコプターは追随するように速度を上げ、弾幕でハンヴィー4台の攻撃を停止させ、またタイヤを破壊して行動不能にし、トラックより後ろに置いていかれる。


ヴェロニク(無線)「トラック運転しながら機関銃って、何この地獄みたいなマルチタスク!」


先頭車両だった装甲車が最後尾へ移動してくる。車載されている無人の機関銃がトラックを射撃、エンジンに命中し速度が落ちる。さらに装甲車が脇へ移動すると、地面にむき出しの地雷が見えた。


ベネット「敵が地雷を置いてきてるぞ!」

ヴェロニク「任せるわ!」


ヘリコプターからの射撃で地雷を破壊していく。装甲車が再び道路中央へ来る。ヘリコプターからのミサイルをモロに受けとるも、破壊できない。


マイロー「パイロット、装甲車を!!」

ヘリパイロット「このミサイルは榴弾です!HEAT(対戦車榴弾)じゃない、装甲車は倒せない!」

マイロー「くっそ!」

ヴェロニクはヘリコプターから落ちるときのトラックの大きさ、そして道路の幅を確認する。


ヴェロニク(無線)「那東、装甲車のタイヤを!速度を落として!!」


ヘリコプターは装甲車へ距離を詰めると、那東が狙撃でタイヤを一個だけ破壊した。反撃され、ヘリコプターは速度を落とした。

ヴェロニクは速度を上げると、ギアチェンジと減速で車体を滑らせ、トラックを反対向きにし停車。コンテナ側へ移動し、接続された端末を操作。


ヴェロニク(システムが新しい、弾着が予測されてる……ラッキーね、相手は、アンラッキーだけど)

ヴェロニクの操作で水平に傾けられた。ヘリコプターに乗る全員で装甲車の機銃を射撃し破壊、直後にミサイルは発射され、まっすぐ5発が装甲車へ飛んでいき命中、破壊した。


ベネット(無線)「ヴェロニク!!」

ヴェロニク(無線)「すぐ追い付くわ!!」


隊列が崩壊していくなか、残りの敵車両は3台となった。装甲車2台にトラック1台、装甲車2台がトラックを守るように後ろへついた。


エメラルド(無線)「そのトラックだ!!」


すると、装甲車のハッチが開けられる。那東が狙撃を行うも、その弾丸は斧により弾かれる。


那東「トマホーク!?」


ヘリコプターからトラックへ向けてミサイルはいくつも放たれる。トマホークは背中に何本も背負った斧を両手で1つずつ掴むと投擲、至近距離のミサイルにぶつかり破壊した。さらにミサイルを射出した段階で、トマホークは斧を片手に飛び上がり、接近してくるミサイルに飛び乗った。連発されるミサイルに飛び移りながらヘリコプターへ接近、ミサイルを叩き切って爆発させると、ヘリコプターのスキッドに掴まる、内部にスモークグレネードを投げ込み展開しヘリコプターへ乗り込んだ。斧を取り出し那東へ切りかかる。マイローが命綱を着けた状態でトマホークに飛びかかり、トマホークごと外へ出た。命綱を着けていないトマホークは道路に投げ出され、後ろからヴェロニクが運転するトラックが接近。


ヴェロニク「邪魔よ!!」


ヴェロニクがひき殺そうと加速し接近するも、トマホークはトラックに飛び乗る。マイローは宙ぶらりになりながら拳銃でトマホークを牽制、トラックの閉じられたコンテナの乗り込んで、マイローと正面から向かい合った。マイローはナイフと拳銃を構え、トマホークは斧を構えた。拳銃の弾丸を真正面から何発もベストで受け止めるトマホークは、リロードのタイミングで突撃し斧を振り回す。


ヴェロニ(無線)「マイロー、どこかに掴まって!!」


ナイフでいくらか受け止めながらマガジンを取り出しリロードすると、首もとや間接に弾丸を当てる。まだトマホークは動く。


マイロー(防弾の何かを全身に着込んでいる?)

ヴェロニク(無線)「5!」


マイローはマガジンを自重で落とし、走り込むと同時にマガジンを蹴り飛ばしナイトビジョンに当て右の視界を塞ぎ、視界の外からナイフで攻撃。


ヴェロニク(無線)「4!」


一歩後ろに下がったトマホークは、トラック前方に向かってスモークを展開。


ヴェロニク(無線)「3!」


煙にマイローが炙られるなか、トマホークは攻撃を仕掛ける。


ヴェロニク(無線)「2!」


トマホークの斧がマイローの首もとを捉えた。


ヴェロニク(無線)「1!」


マイローは逆手で、トラックのコンテナにナイフを思いっきり叩きつけ、赤熱させながら食い込ませた。


ヴェロニクは急速ブレーキをかけて、トマホークを道路へ放り出した。煙がトラックの軌道に残るなか、那東がトマホークに向かって狙撃をする。煙のなか、命中は見えない。


那東(無線)「エネミーロスト、着弾が見えない」

ベネット(無線)「セナが先だ!那東、パイロット!!」


那東が狙撃で装甲車やトラックのタイヤを破壊し速度を落とした。ヘリコプターが先回りして道路の先へいく。道路の中央を走るヘリコプターから、ベネットはC4を投げる。道路に敷設された、いくつかのC4を置いておくと、ヘリコプターは離れていった。トラックがそこを過ぎ去り装甲車の足元へC4が来た瞬間に起爆し、装甲車を2台横転させた。ヘリコプターの機銃でタイヤを破壊していき、トラックは横転。中から出てきた兵士も、機銃によって射殺された。ヘリコプターが道路に降りると、ヴェロニクとマイローが乗ったトラックが合流、二人が降りる。ORCAの面々は周囲を警戒しながらトラック内を探す。荷物のように横たわるセナを発見すると、ベネットと那東の二人係りで運び出し、ヘリコプターに乗せた。


ベネット(無線)「こちらORCA、セナを回収した」

エメラルド(無線)「よくやった、直ちに帰投せよ」


ORCAの面々は全員でヘリコプターに乗り込み、飛んでいく。朝日は登りきっており、空の先まで見える晴天に砂埃が立ち込め始める。段々と弱い砂嵐となっていき、視界は少し茶色になっていった。


ヴェロニク「ねぇマイロー、どうやってさっき急ブレーキに耐えれたの?咄嗟に、掴まってって言ったけど、コンテナの上なんて掴まれるものないよね?」

マイロー「コンテナにナイフを刺しました」

ヴェロニク「コンテナって鉄とかじゃない?」

マイロー「はい、でもやるしかなかったので」

ヴェロニク「わぁお」


周囲の音に違和感があった。風とプロペラの音を貫通して、やたら低い鳴き声が聞こえる。


マイロー「……何か、聞こえませんか?」

ベネット「あぁ、なんだこれ」


閉ざされたドアの外から鳴き声がする。山岳からはみ出るような、微かに輪郭を帯びて車両の一団が現れた。戦車3台に装甲車1台の機械化部隊だった。機銃の掃射、主砲による狙撃が飛んでくる。


ヘリパイロット「回避します!!」


ヘリコプターを揺らして主砲をスレスレで回避、部隊を追い抜かしていくなか、空間や大地を揺らすほどの重く低い金切り声が響いた。


砂嵐は、唐突に過ぎ去っていく。ヘリコプターの後方にくっきりと見える機械化部隊、その一団をぐるりと囲うように、2対合計4本の鋏角(きょうかく)が生えた瞬間、より空気を震えさせる金切り声と共に、鉄の甲殻を持つミミズのような怪物が、鋏角と、口膣側面にある露天採掘用BWEにあるような回転式の巨大なホイールで、機械化部隊を挟んで口へ押し込み、ヘリコプターの飛行する高度まで持ち上げていった。


空まで飛び上がるミミズの怪物は、ホイールの回転で口に機械化部隊をさらに押し込むと、口内にあるトンネル開通用シールドマシンで、機械化部隊を粉々に砕いていった。鉄のひしゃげる音が悲鳴にも聞こえる。ミミズの口にある4本の鋏角が開くと、砕いた機械類のオイルやガソリンが唾液のように滴っている。金切り声が再度響き渡ると、その怪物にある真っ赤な眼球のようなレンズが、ヘリコプターを発見する。


睨み付けるような角度でヘリコプターを捉えると、ミミズの背中が細かく開け放たれ、内部のポッドから無数のミサイルが放たれた。ヘリコプターがミサイルに側面を見せると、ドアを開けてORCA全員で射撃しミサイルを破壊。ミサイルの数が多すぎることから、爆発の煙幕でちょうどミミズの怪物が見えない。ヘリコプターが旋回するも、既にその怪物はどこにもいかなった。重く低い金切り声が響き渡る。ベネットは4本の鋏角が地面から生えたことを思い出した。


ベネット「っ!!下だ!!高度を上げろ!!」


ヘリコプターが急速に高度を上げていく。ヘリコプターの真下からミミズの怪物が急速に接近、口内の削岩機の数々が、捕食者の牙のようにヘリコプターに迫る。ベネットはありったけの地雷や爆薬をドアから投下、起爆する。まったく減速することなく接近するミミズの怪物、急激に速度を落とし鋏角が迫りホイールが回転する。ヘリコプターの高度限界ギリギリまで上昇、鋏角はヘリコプターのスキッドをつまんで破壊し、ヘリコプターを掴み損ねる。急落下していき、地面のなかに砂塵と共に消えていった。重く低い金切り声は、次第に聞こえなくなっていった。


ベネットが無線を入れる。


ベネット(無線)「こちらORCA、応答願う!!クソデカイ、ミミズとかエビみてぇな化け物が現れたぞ、どういうことだ!?」

エメラルド(無線)「イラン軍から連絡が入った。イラク軍のものとは思えない超大型兵器が確認された」

ベネット(無線)「おい、あれが複数だって……!?」

エメラルド(無線)「兵器に関してはこちらで分析を行っている。ただちに帰投せよ、警戒は怠るな!」


ヘリコプターは平地を抜けて、クウェートへと帰還していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ