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SENA  作者: 雅号丸
第1章 CTBT:Comprehensive Tactics Beta Test

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24話 二度目、まして

足音が段々と近付いてくる。3人は別々の遮蔽に向かい、隠れる。瓦礫を登って、黄色の迷彩を着込んだ兵士が入ってきた。


???「ビルが崩れたってのに、なんで静かなんだよ」

???「サーヘルのヤツの攻撃が止まったらしい、バイオリンの演奏も聞こえない」

???「ドライバーに連絡しよう、護衛だっていたはず、負傷者がいるだろ。ドライバー、こちらツォフェ1、ビル群まで来てくれ」


瓦礫の中から、弦の千切れたバイオリンを持つサーヘルが現れる。頭から血を流して、フラついている。兵士たちはそれに肩を貸す。


???「何があった?ドローンが攻撃していただろう?」


サーヘルは声を出そうとする。


???「無駄だ、彼女は喉が潰れてる。他の護衛を」


サーヘルは首を横へ振った。


???「そうか……全員、帰投するぞ。データは十分だ」


すると、ACPが瓦礫を踏破してきた。ドライバーに敬礼を軽く行った兵士は、肩を貸す兵士たちは、後部にあるハッチの開閉を待った。素早く開けられたハッチから、セナが2丁の拳銃を向ける。手錠をかけられた兵士が2人奥にいて、そして兵士たちはORCAに囲われた。先頭の兵士が舌打ちをする。


兵士「ハマスどもめ、ここまで浸透してくるとは」

ベネット「アルバタルのと戦ってたつもりが、どうして俺の照準の先にユダヤ人がいるんだ?お前ら、アルバタルと手を組んだんだな」

兵士「我々は何も喋らん」

ベネット「奥のお二人さんは喋ったみたいだぞ?」

兵士「カマをかけるのはよせ」

ベネット「俺たちは」

兵士「すぐに殺さないあたり、貴様らは少なくともパレスチナ人じゃないという訳だな。統率の取れた行動、余計な事は喋らない、構えはホンモノ。ハマスが雇えるレベルの傭兵ではない、NATO側の差し金かあるいは」

ベネット「アルバタルの裏にイスラエルあり、サーヘルを救助したということはそういうことだ」

兵士「この女はサーヘルというのか?」

ベネット「データは録ったようだな、会話は録音させてもらっているぞ」

兵士「だからどうした?何一つ証拠はなく、問題としてあるのはイスラエル軍に歯向かうハマス側のPMCがここにいて、我々は全滅するだけだ。そしてそれを口火にイスラエル軍は正統性をもってガザへ侵攻する。それとも、貴様らはPMCではない何者かということか?」

ベネット「ガザ地区の国境線はもっと南西だ」

兵士「ここに国境線はない、必要なのは衝突し殺されたという事実のみ。法律よりストーリー、そう、戦争に必要なのはストーリーだ」

エメラルド(無線)「証拠はないが、もしサーヘルがアルバタルと繋がりがあるならば、それを助けようとしたイスラエル側には、少なくとも疑惑があることになる。アメリカ主導で更なる調査の申請をするには十分、ORCAの仕事はここまでだ……射殺を許可する」


セナが最も最初に引き金を引き3名の兵士を射殺した。那東とマイロー、ベネットが続いた。ヴェロニクが2名の兵士を車両からおろして銃を向ける。首を横に振って、声を震えさせていた。


兵士「い、いやだ。知らないしらない、俺は何も!!」


ヴェロニクとマイローは、同時に2人を射殺する。倒れる兵士の胸ポケットから、写真が落ちる。ベネットがそれを拾おうとすると、那東が止めた。


那東「ここは戦場、同情するだけ無駄でござろう」

エメラルド(無線)「仮にイスラエル軍が関与していたとしても、その情報がハマスに渡ればまた紛争の理由になる。そしてそのタイミングは今じゃない……」

ベネット(無線)「燃やせってことだろ?大丈夫」


ベネットはキッチンの瓦礫から油を取ってきて、積んだ死体や銃に油をかけて、ポーチからファイアスターターを取り着火し、燃やした。


ORCAはサーヘルを車両に押し込んで、ビル群を抜けていった。燃える銃とマガジンのなかで、弾丸が弾けて暴発し瓦礫に弾丸がめり込んだ。

手錠をされたサーヘルは、一切暴れることなくセナの隣にいる。セナは銃を向けてサーヘルを見ている。サーヘルが向いた。


サーヘル「きか、い」

セナ「私は機械ではありません」

サーヘル「お、るか」

セナ「そんな名の知れた部隊ではありません」

サーヘル「あな、た。鉄、みたい。冷た、くて。かた、くて。たよ

、れて……ちゃんと、ゆがむ」

セナ「ここで拷問しましょうか?」

サーヘル「わたし、機械、好き。どれだけ、でも、好き、になれる」

セナ「対物性愛(オブジェクトフィリア)?」

サーヘル「こわれ、てもいい。だって、死じゃない、から。ものの死は、用途、の、消滅。鉄みたい、私、あなた好き、なんで?あなた、機械?」


サーヘルの口角が不自然なほど上がり、目が笑っていない。肩を震わせるような笑いかた、そして席をし始めた。サーヘルは尻を動かしてセナに寄る。セナの肩に身体を預け、吐息をセナの耳に当てる。


サーヘル「いい、いい、とってもいい……」

サーヘルはセナの耳をナメはじめた。運転をするヴェロニク以外の全員が銃をサーヘルに向ける。


セナ「これは、不快だという反応をするべきですか?」

マイロー「今すぐ殴り飛ばしたほうがいいです」

セナが拳を握った瞬間、サーヘルは思いきり耳を噛む。歯は欠け、だがセナの耳の表皮が削れ、内部の鉄が見えた。セナはサーヘルを殴り、頬にアザを作った。

サーヘル「えへへ、機械、機械、好き」

セナ「あなたはいったい……」

サーヘル「私、のこと?それとも、聞きた、いのって……組織の、こと?」


サーヘルは喉を潰すような笑い声をあげた。


サーヘル「二度目、まして」


車のエンジン音が、セナに検知される。

車の側で爆発物が発破し車体が揺れる。ヴェロニクが運転席からコードをセナへ投げる。

ヴェロニク「セナ、車載の機銃をお願い。いい、ミサイルは直接迎撃(ハードキル)よ!!」


セナが車載機銃のカメラ映像で輸送車の後方を見る。道路を走る後ろには、車や戦車が一丸となって向かってきている。


セナ「敵機械部隊です!!車両10台、ヘリ2台!!」


車両内にアラートが鳴り響いた。


ヴェロニク「セナ、お願い!!」

セナは向かってくるミサイルを射撃で破壊する。速度を上げて追いかけてくる車から敵は身を乗り出して銃を放ってくる。道路が交差する所で横から車に突っ込まれ急減速、追い付いてくる車は更に輸送車に突っ込む。下りてくる相手を機銃でバラバラにしながら再加速して逃げだしていく。


ベネット(無線)「どこまで逃げる算段だ!?」

ヴェロニク(無線)「無理無理、逃げられるワケないじゃない!!支援要請!!」

エメラルド(無線)「指定ポイントまで逃げろ!!」


ヴェロニクの端末にポイントがマークされる。


ヴェロニク(無線)「揺れるわよ!!」


アクセル全力で操縦する。やや緩やかに曲がる国道のような場所、乗り捨てられた数多い車を避けていきながら、セナは車載の機銃で車両を破壊していく。


ヴェロニク(無線)「エメラルド、指定ポイントまでそんなにないけど、何すればいい!?」

エメラルド(無線)「まっすぐ飛ばせ、いいな!!」

ヴェロニク(無線)「はぁ……!?」


道路をとばす輸送車の奥に、1機のヘリコプターが飛んでいる。

エメラルド(無線)「現在回収用輸送ヘリがそちらへ向かっている。輸送車ごと回収する。そのヘリが今、フルトン回収装置を投下した。セナ、走って装備を入手し、フルトンと輸送車を繋げ。ソイツは磁力で気球と回収対象を繋げる、接続時は人間にやってもらえ」

セナ(無線)「了解しました」


セナは輸送車のハッチから出ると、帯電しながら走る。道路を割りながら走り、装置を回収。即座にきびすを返す。輸送車の上部にそれを置くと、ハッチからマイローが登る。


セナ「設置をお願いしま」


セナがマイローの側にしゃがみ、銃弾を受ける。


セナ「お願いします!!」

マイロー「遮蔽を頼みます!!」


マイローは装置を紐解き、ボタンを押して気球を即座に膨らませる。管から空気が送られ、気球は大きくなり、上空へ飛んでいった。敵の照準が球に向かい、セナの被弾が少なくなる。輸送車の上に巨大なヘリコプターが来て、気球に向かって進んでいく。丁度気球とヘリコプターが重なった瞬間、輸送車は急浮上、マイローとセナは輸送車上部に取り残されたまま、輸送車は浮上、ハッチは閉められた。マイローが転がり落ちそうになるも、セナが力ずくで掴み、落下を防ぐ。気球の磁石部分に自分から近付いて、自分ごとマイローを磁石部分に固定した。押し付けられる鉄の塊のような胸部のデザインに、マイローは痛みを覚える。


マイロー「くっ……!!!!」

セナ「すみません、耐えてください」

マイロー「痛い……!!」


空へ消えていく1機の輸送車と輸送機。追っ手の集団はスピードを落として、やがて止まる。

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