表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SENA  作者: 雅号丸
第1章 CTBT:Comprehensive Tactics Beta Test

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/22

17話 ソ連国歌

砂嵐の音が響き渡り、音が消える。羽音のような忌々しい音が鳴り、ORCAはその方向に銃を向ける。キャンプを望める崖の上に一人、女が立っていた。


挿絵(By みてみん)


艶やかな肌を所々見せる黒い装いを着たその女は、プラスチックで外装を固めたような黒いバイオリンを肩に乗せて、演奏を始めた。


その背中には、嵐のような規模のドローンの大群が、一機一機の全てが銃やロケットランチャーを携えていた。その女のは弓毛を弦に合わせる。階段から転げ落ちるような、寒気を思わせる曲を演奏し始めると、途端にドローンたちが火器を乱射し始める。


ORCAは一斉にロケットやドローン、そして女を射撃する。ドローンが束になって女を守り、女は演奏を続けている。すると、ORCAの周囲にスモークグレネードが投げられる。転がりながら発煙し、ORCAが煙に囲まれる。ヴェロニクが下がって煙から出ようとすると、銃声が響き、ヴェロニクの胸部が赤く染まる。銃弾が貫通し、口から血を吐いて倒れる。呼吸が荒くなり、溺れるような声をうめきながら、ポケットから取り出した注射器を自分にさす。すぐに立ち上がって煙から出て、見渡し、銃を構えると、出血しながら崖上の奥にいる狙撃兵に弾丸をばらまいた。狙撃兵は位置を変えて伏せる。次の狙撃があると、那東が前に出て狙撃を弾き、刀を落として銃を構え、マグニファイアで倍率を上げ、弾丸を撃った。相手の狙撃主は弾丸を弾丸に当てて相殺すると、ボルトを後退させる。


那東はトリガーをタップし続け、相手を牽制していく。マイローとベネットが交互に射撃しドローンや女を攻撃していると、スモークから兵士が現れる。


挿絵(By みてみん)


複眼のサーマルビジョンとガスマスクを備えた兵士が、斧を構えて接近してくる。振りかざしてマイローが引いた瞬間、斧がマイローの肩に突き刺さった。


マイロー「!?」

???「身長は歩幅を意味し、歩幅とは行動範囲、観察は命を繋ぐのだ」


ベネットの射撃が全身に命中するも、まったく相手は動じていない。


ベネット「はぁ!?」


マイローは肩に刺さる斧を引き抜いて相手に投げると、斧で上空に弾いて、落下してくるのをキャッチした。斧を指で回すなか、マイローとベネットは射撃を絶やさない。


狙撃がベネットと那東を襲い、またドローンの射撃がマイローたちを襲う。ORCA全員が負傷し、ヴェロニクの出血は酷く、倒れて呼吸が浅くなっていく。全員がヴェロニクをカバーする形で体勢を作ると、狙撃は止まり、演奏がやんだ。崖上にいたはずの女と狙撃兵はいつの間にかORCAのそばにいて、ガスマスクの兵士は斧を回しながら歩く。ORCAの一段の横をゆっくりと歩きながら道路の真ん中に3人が並ぶと、男と女で別れて脇へ並ぶ。その間の奥から、うっすらと段々と陰を帯びて、誰かが歩いてくる。ドローンの大群がORCAの周囲を取り囲うと着陸していった。風と、その誰かの軍靴の足音、ヴェロニクのうめき声が響く。陰が歌い始める。


???「Союз нерушимый республик свободных

Сплотила навеки Великая Русь.Да здравствует созданный волей народов.Единый, могучий Советский Союз」


その誰かは少し身長が低く、腰には大口径のリボルバーを2丁携えていた。


挿絵(By みてみん)


???「Славься, Отечество наше свободное.

Дружбы народов надёжный оплот!Партия Ленина – сила народная:Нас к торжеству коммунизма ведёт」


ベネット「ソ連国歌?貴様ら何者だ!!」


ベネットは無線を入れようとするが、繋がらない。


???「誰か……我々は誰なのだろうな?いや、誰であるかは大切ではない。誰というのは、何を考えるかによって決まるのだ」


ヴェロニクが血管を太く見せながら、拳銃を構えて放った。誰かの頬をかすめ、那東が射撃をやめさせる。


那東「動いてはいけない!」

ヴェロニク「……っ」

???「大切なのは思考を止めないこと……最も賢い者とは思考を止めない者であり、答えを得たと感じたその瞬間の賢者は、思考を止めたという点で、どのような愚者よりも劣っている」


女がバイオリンを構え音を響かせると、ドローンは再び起動し飛び立っていき、銃やロケットランチャーをORCAへ向けた。


???「事物は何処にもあって、何処にもいない。何事か、考えるなかで事物を見つめ直し、意味の比重を調律しなければ、意味は背景となり、本質は次第に霞み果てる」

ベネット「!?」


ドローンたちは一斉に射撃を行い、ミサイルと弾丸にORCAは囲われた。全員の視界は暗くなった。


マイロー「……?」

???「……ですか?……皆……起き……起きてください!!」


マイローは目を開ける。地面に倒れているのを感じ、頭がセナに起こされていた。


セナ「なぜここで全員で寝ているのですか?」


マイローは斧が刺された箇所を抑え、起き上がった。


マイロー「セナ、止血が」

マイローは、傷が痛くないことに気付いた。手にも地面にも血痕はない。周囲を見渡す。ヴェロニクは地面に伏せて嘔吐しているが、それ以外で全員に傷はない。


セナ「何があったのですか?周囲が弾痕だらけですが、激しい戦闘がこんな道路の真ん中で起きるとは思えませんよ?」

マイロー「いったい、何が?」

セナ「周囲の弾痕は全て皆さんの銃によるものです。ヴェロニクさんはモルヒネの副作用で嘔吐、ですが傷は一つもありません……どうやら長い報告書が必要なようですね」

マイロー「状況は?発射は止められたのですか?」

セナ「はい、全ての部隊が成功しています。被害は……甚大ですが」

マイロー「……このような作戦に出た時点で、覚悟はできていたはずです。あと」

セナ「?」

マイロー「……遅いです」

セナ「お待たせしました。これよりSEFと共同で、ORCAを連れ帰ります。ミッションコンプリート、皆さん、お疲れ様でした」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ