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SENA  作者: 雅号丸
第1章 CTBT:Comprehensive Tactics Beta Test

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10話 ビスマルク

イギリス南部、ポーツマス軍港。ORCAの面々の前に、一方向にのみ銃身を向けて、また積載過剰の関係上、正面から見て右に傾いた巡洋艦が軍港に到着した。砲身をヴェロニクがじっと見ている。


ヴェロニク「うわぁ~おっっっきい~」


那東が鞘でヴェロニクの腹を殴る。


那東「やめんかそういうの」

ヴェロニク「本当に心ないんだよね?」

那東「ロジックツッコミでござる」


ヴェロニクが船を見つめる。


ヴェロニク「傾いてる~危なそ~」

那東「まるで世界でござる」

ベネット「話題の飛び方よ……」

那東「事実そうでござろう?世界の平均は今、右翼・保守・自国ファーストでござる。ちょうど正面から見ればこの船は右傾、ピッタリでござろう」

ベネット「そういうことじゃねぇ……けど、そうかお前あんまそういうの分からないんだよな」

ヴェロニク「……本当に心ないんだよね?」

那東「ロジックボケでござる。ベネット殿、お気遣い感謝するでござるよ」


エメラルドは港で敬礼する。艦内へ入ったORCA面々、セナは帯電しながら乗り込む。


セナ「操作可能なアーキテクチャを全て掌握しました。発艦します」


港から出る巡洋艦1隻が迂回を繰り返しながら北海を抜けていく。水平線の奥から艦隊が接近する。

セナ「IFF信号、青。国旗を目視で確認、ノルウェー海軍です」


艦隊に混ざりながら航海を続ける。


セナ「IFF信号を周囲と同期、ドイツ軍からの捕捉を回避します」

ベネット「航海中の哨戒艦隊としてノルウェーまで向かう。ここまではいいな」

エメラルド(無線)「フィンランドやバルト三国などとも交渉は済んでいる。ドイツ軍からしてみればまぁ怪しいといえば怪しいが、では防備を固めるとなれば、ドイツ軍も迷うだろう。ノルマンディーには既に多国籍軍がいる。二正面作戦なんてものじゃない現在、さらにバルト海沿岸の国家に警戒をされては困るからこそ、ドイツ軍は必要最低限の警戒、敵であると確定しない限り、哨戒を若干増やす程度で留まるはずだ」

ヴェロニク「哨戒増えても困るけどね~……」

エメラルド「それから、妙な報告が上がっている」

那東「妙?」

エメラルド(無線)「フィンランドやバルト三国での諜報班による海路の調査結果だが……哨戒船、軍艦、潜水艦、バルト海にはそれらが1隻も確認されていないんだ」

マイロー「それは……そんなことがあるのですか?黒海にはドイツ軍の潜水艦などもいたはずですが……」

エメラルド(無線)「おかしい、としか言えない。だが報告された以上、それを前提として

動くしかない、すまないがそれが軍だ。デンマーク首都コペンハーゲンを通過すれば、ノルウェー海軍は撤退する。そこからは完全に我々のみによる行動となる。到着見込みは夜だ、それまでにできる限りの調査は行うが……なんだろうな、この嫌な感じは」

ベネット(無線)「頼むぜエメラルド、海路はお前らが決めるんだろ?」

エメラルド(無線)「あぁ、ステイツマンをすりおろしてでも情報は握る。セナ、お前もAIをブン回せ」

セナ(無線)「AIを回す……どういうことでしょうか。回転……私はクルクルと回ればよいですか?」

エメラルド(無線)「この局所ポンコツが……」

ベネット(あっ、俺と同じ表現した!なんか嬉しいぜ!)

デンマーク首都コペンハーゲンを越える。明かりを全て消した艦は、きらびやかな街並みを高速で抜けると、すぐに水平線で囲われた。

ベネット「……ガチで何もいねぇな。イージスに引っ掛からねぇって、おかしいぜ」

セナ「衛星写真を確認、敵艦なし」

ヴェロニク「???」

ヴェロニクが、ナイトビジョン搭載の双眼鏡で水平線を見る。

ヴェロニク「…………あれ?ねぇ、水平線って歪むことある?蜃気楼的な感じで」

ベネット「熱帯ならともかくって感じだな」

海岸線に立体の放電が走り、蜃気楼が解かれていく。蒸気と蜃気楼と電気輪郭を帯びると、黒々塗装された戦艦の側面に巨大な鉤十字が描かれる。3本1列の巨砲、一本のみの明らかに設計ミスなサイズの砲塔。艦橋は歪ながら理路整然としており、各種レーダーは乱立している。後ろに続く砲塔含め合計10門の砲塔が、全て斜めに砲塔を展開している。前方の主砲は全て上向きだった。セナが帯電する。ヴェロニクが双眼鏡を構えて窓にへばりつく。

ヴェロニク「ビス……マルク!?」

セナ「装甲の分厚さは中央に集中しています。設計はビスマルクですが、日本の大和に酷似したものといえます。装甲算出完了、こちらの武装ではレールガン以外では歯が立ちません。単一砲身である主砲の大きさ、52cm。副砲は全て38cm、イージスシステムに酷似した海軍戦術情報システム(NTDS)、各種防空・対潜用レーダー、対艦・対空・対潜ミサイル、ファランクスに酷似したバルカン砲による、近接防空システム(CIWS)を確認」

ヴェロニク「射程だけでも30~40kmはあるわ。逃げ切るのは不可能よ!」

セナ「推奨、レールガンユニットによる敵艦の破壊」

ヴェロニク「待って!」


ヴェロニクは艦を見つめる。


セナ「砲塔がこちらに向いていない今、早急の破壊を提案します」

ヴェロニク「あんだけデカイ船なのに、排煙がない。ひょっとしたら……原子力艦、あっちも私たちが原子力艦だって分かって、攻撃じゃなくて威圧を選んでる」

セナ「引け、という意味でしょうか?」

ヴェロニク「うちらがここでやりあったら、バルト海に2発の核が落ちるようなものだもの……」

セナ「敵艦、砲塔が上向きに上昇。着弾地点が、我々から遠ざかっていきます」

ヴェロニク「敵意はあるけど、って感じね。あれ1隻でバルト海蹴散らせるんじゃないかしら?」

セナ「砲塔、停止。ビスマルク、速度低下」

ベネット「戦車なら発射体勢だぜ、おっかねぇ」


波を作り出し、海が震える。砲塔から砲弾が発射された。空へまっすぐ飛んでいく。


マイロー「威嚇にしてば大げさな気も」


砲弾は空中で火を吹き始める。


セナ「弾道が変更、こちらへ向かってきます」


セナは帯電を始め、各種防空システムを起動し、ミサイルを発射、バルカン砲を射撃し、砲弾の破壊を狙う。砲弾は側面から火を吹いて起動をずらしながら接近してくる。哨戒用のヘリコプターをオートパイロットで起動し砲弾へ直にぶつけ、砲弾は爆発。艦体やレールガンが爆発で黒くなる。爆発を影響で、ORCAの面々は倒れる。


ベネット「おい、なんなんだ今のは!?」

セナ「主砲の弾薬は、空中で推進剤による立体起動が可能の弾頭な模様。弾頭先端にカメラを確認。リモコンミサイルのように遠隔で操作している可能性、大」

ヴェロニク「次弾装填、たぶん30秒弱!」

セナ「盾に使えるヘリはあと1機です」

マイロー(破壊は不可能、迎撃可能時間40秒程度……)

那東(大砲で射出することでミサイルの1段目として肩代わり、高低差を着けてからリモコンミサイルとしてジャベリンのようにトップアタック。人が操作する以上進路の精度は高い。その辺りの山なら射程で越えて、ごり押しで戦艦1隻で都市を爆撃できそうなほどに……ヘリを撃墜した時点で止まった貫徹力のない榴弾、明らかに湾岸の軍需物資、コンテナや市街地、工場を狙うためのもの。海岸線に主要都市が複数あるフィンランド湾やバルト海周辺国家ならあれ1隻でも……)


マイローがタブレットを取り出す。


マイロー「誰か、戦艦までの距離を」

ヴェロニク「距離、およそ20km」

マイロー「こちらのミサイルの射程は?」

ヴェロニク「RIM-66L-2、射程167km」

マイロー「セナ、ミサイルをハックしてアフターバーナーのように速度を上げられますか?」

セナ「はい」

マイロー「運転は?」

セナ「セミ・アクティブモードなので、着弾地点を逐次変更すれば、擬似的には」

マイロー「ではいきましょうセナ、指示はデータで送りました」


ビスマルクの艦橋で、レーダーに反応があった。


兵士「レーダーに反応あり、目視で確認、ミサイルが接近……1機のみです」

艦長「防空でミサイルを使うまでもない、ビスマルクにはCIWSが4つ搭載されている。撃破せよ」

兵士「……IFF信号、青と判定!?CIWSが攻撃しません!」

艦長「バグか。手動に切り替え、攻撃!」


バルカン砲の雨が空に降る。照準をそのものを避けるように、強烈な火花を散らせたミサイルが空をグルグルと回りながら、そして直上からビスマルクへ接近する。バルカン砲に当たり、爆発した。ミサイルの破片が散らばる。


兵士「撃墜を確認」

艦長「次弾、発射用意!」


砲身が動き、止まる。艦橋の上、レーダーにパラシュートが引っ掛かっている。


マイロー「では、いきます」


磁力でくっ付けた固定具にロープを取り付け、助走し前方に飛び込み一気に降下、手元にあるC4を艦橋の窓にくっ付けると起爆する窓枠や機械損傷し兵士が咳き込む。爆炎のなかをくぐるようにして、マイローとセナが駆け込む。


兵士「撃」


兵士たちが銃で反撃する前に、マイローたちが射撃で仕留めていく。半透明の弾倉を銃の上に平行するように装着する銃は、弾倉を変えることなく次々と兵士と倒し、艦長のみとなる。艦長は銃を自分に向ける。セナが銃と手を掴んで両方とも破壊した。痛みで倒れる艦長を拘束すると、階下へ降りながら敵を掃討し、甲板から下、船倉やエンジンルームを制圧した。


マイロー(無線)「あぁ……えっと……あ、あの」

ベネット(無線)「お前、息切れすることあんのな」

セナ(無線)「ビスマルクの制圧を確認。艦長を拘束、他は殺害しました」


艦橋に戻り、艦長の首を絞めるマイロー。死ぬ寸前に放して、再度首を持つ。


マイロー「手早くいきましょう。他の船舶の配置や巡航路が欲しい」


セナは艦橋の端末に、腕から生やしたコードを接続する。


セナ(無線)「敵の他艦隊の情報を入手。どうやら、本当にこの戦艦1つだけのようです。哨戒船こそありますが、全て私たちで処理可能です」

マイロー「では、もうコイツはいりませんね」

セナ「……はい」


マイローが銃を向ける。


艦長「まままま、待てぇ!分かった、知っている情報は全て話す!」

マイロー「必要なものは全て持っています」

艦長「あんたら、どうせ何かの特殊部隊だろ?おかしいと思わなかったか?戦艦1隻でどうやってバルト海を制圧していたか」

マイロー「……その理由を知っていると?」

エメラルド(無線)「状況はどうなっている?」

セナ(無線)「ミサイルに私の腕力でマイローを積載。ビスマルクへ乗り込み、制圧しました」

エメラルド(無線)「何だってぇぇ???たった2人でか?まったく……で、収穫は」

セナ(無線)「……艦長を確保、バルト海に戦艦しか存在しなかった理由を知っていると」

エメラルド(無線)「無線を渡して、我々の船に収容しろ。腕と足は縛っておけ」


マイローとセナは、ビスマルクの避難用のゴムボートで帰る。セナがエンジン代わりに、帯電してばた足でゴムボートを押す。全身を麻袋とガムテープで固定しほぼ荷物の艦長を乗せている。


セナ「私のAIでは、この結果は出せませんでした。ミサイルにしがみついて敵へ突っ込むという作戦など」

マイロー「追い込まれ過ぎて、そのような発想が現れたのかもしれませんね」

セナ「データによると、RPGの弾頭に消火器を搭載して、塹壕へ発射するなどの状況が、ウクライナ侵攻時や中東の紛争では存在したとあります。高圧ガスが充填された、爆発するロケット弾、というロジックなのでしょう。片っ端から戦闘に勝てる何かを必死に考え続ける。それが戦争ということでしょう」


マイローとセナが艦へ到着した。食糧庫へ艦長を叩き込む。セナがヴェロニクに抱き締められる。


ヴェロニク「おっかえり~~~!!!」

セナ「私に家はここではありませんし、家はありません」

ヴェロニク「じゃフランス取り戻してお家買おうよ!」

セナ「家……私にそんなものは」

ヴェロニク「えぇ~でもでも~」

ベネット「まぁ、まずはUHKだな」

エメラルド(無線)「マザーから許可を貰え」

マザー(無線)「ダメだ」

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