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星を掴む少年  作者: 三重野 創


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ジャンボ鉛筆

「僕はシャーペンよりやっぱ鉛筆がいいな」

 光道はよく読むし、よく書く。


「あたしも筆圧が高いからか、シャーペンだとすぐ折れるのよ」

 サラサも愛用する沙羅。綺麗な文字は、起筆が命だ。


「そうそう。あとすぐ詰まっちゃうんだよね」

 奮発して購入した高価なシャープペンシルほど、作りが複雑で手に負えなくなる。


「芯が専用の物を使わないといけないのがあるじゃない? あれが尽きた時にもういいかもって思っちゃうわ」

 実にもったいないが、芯や玉はなるたけ互換性のあるほうが良い。


「えんぴつの世界って広いんだよ。文具専門店はオアシスだね」

 デジタル時代になっても、光道の活動の原点に感じている。


「それでその巨大な鉛筆を買ったってわけ?」

 トンボ鉛筆ならぬ、ジャンボ鉛筆である。鉛筆をトンボの形にするのも、出来なくはない。


「うん。これは勉強用っていうよりも創作用だね」

 自室くらいでしか使えないだろう。


「さすがに、カッターで削るしかないわね」

 ジャンボ鉛筆削りを購入するスペースも必要性も無い。


「自動鉛筆削りは危機的状況なんだよ。刃を作るメーカーが絶滅寸前なんだ」

 文具店に行っても、鉛筆削り機のラインナップは貧弱だ。80年代はパワフルでメカニカルなタイプが豊富に存在した。


「デジタル教科書の弊害よね。ウチの学園は断固反対で良かったわ」

 書くと手が覚えるとは、ゲーテの言葉である。


「文字を覚える気も無かったら、読むことも出来なくなるね」

 あれもやらなくていい、これもやらなくていい。じゃあ何を頑張るの?


「あんた、手動の鉛筆削りなら面白いのたくさん持ってるじゃない」

 これは開発コストが低いのか、多種多様の物が用意されている。


「これは雑貨屋さんだね。フィギュア感覚で楽しめるよ」

 ただの置物より、何かひとつでも機能をまとわせれば、大ヒットの予感がする。


「左利き用のシャーペンなんてあるのね」

 通常のペンは右に傾けて左から右へ線を引くが、この動きで書きやすくなるように作られている。左利きがそのまま使うと、突っ張ってしまうのだ。


「文字は右利きが書きやすいように出来てるから、左利きは鉤手で書く人が多いんだろうね」

 左利き用シャーペンなら鉤手で書かなくても突っ張らないが、文字が隠れて見えにくいのは同じである。


「右横書きの時代は、左利きにとっては良かったのかもね」








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