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星を掴む少年  作者: 三重野 創


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13/17

ボタンがもたん!

「うわー、太ったかな?」

 下衣のボタンが取れてしまった。10月になっても暑さが続いていたが、さすがに下旬にもなると冷え込んできた。


「5月以来の冬服ってのもあるけど、育ち盛りだものね」

 光道は公言しないが、本人にとっては読書の秋である。


「だといいけど」

 薄手のズボン下も履いている。腹巻きまでするようになったら、ウエストはキツくなるだろう。


「制服のはそうでもないけど、安売りの衣類はボタンがあってないようなものだわ」

 慎重に扱っていても、ほどなくしてボタンが飛ぶ。


「ファスナーの類いもすぐ破れるよ」

 務歯むしがすぐかみ合わなくなるし、スライダーがぶち切れ、使用不能になる。


「こんな時のために家庭科で裁縫を教えているのよね」

 ボタンも付けれずに大人になると、碌なことにならない。


「これを時代遅れなんて騒ぐのは、宿題をやりたがらない小学生と同じレベルだよ」

 光道は自由人のようでいて、その実常識人である。


「スリムを目指すのも同時進行でね」

 ボタンボタン、スリムボタン。


「スリムなのが絶対的な価値観ではないけど、自分はこういう人が好きだなって人物像に、横から間違ってるなんて口を挟むもんじゃないね」

 ひとつ言えるのは、ボタンを付けれない人より付けれる人のほうが魅力的だということだ。


「勝負できる分野はいくつもあるわけだし」

 なんの勝負だろう。


「小学校で買った裁縫箱、いまだに持ってるよ」

 ドラクエのお宝で彩られている、財宝箱である


「あたしはサンリオだったわ。何十年後にきっとプレミアが付くわ」

 親からくだらないと叱られたおもちゃが、いまとんでもないことになっている。


「ボタンが取れてすぐ捨てているような根性じゃ、その恩恵はこうむれないね」

 さっと左手のOKサインで針に糸を通す光道。待ってました、リペアマン。


「ボタン付けなら2本取りのほうがいいわね」

 柔道家も、裁縫を出来たほうが強くなる。








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