9.最高のワインを飲んでみたかった
「遂にこの日が来たか!」
お約束の言葉と共に一本のワインをテーブルに置いた。
誕生日とか特別な日では無かったが、仕事でここ数日煮詰まってしまい、やっと納品が終わり仕事に一区切りついた所だった。
まあ、早い話が自分へのご褒美かな。
「このワイン高いんですよね?」
そう言いながら手にはワインに合うおつまみを持ってくるティオ。
「んー、そうだね。知ったらティオが遠慮するので内緒で」
「!」
「私も頂いていいんですか!?」
あれ、ティオってお酒が好きなのかな、遠慮すると思ったのに。
最近少しずつ分かってきたが、きっとこれは好感の反応だ。
「オーダーメイドしたから、ティオの口に合わなかったらゴメンね」
一応、予防線だけは張っておく。期待させ過ぎても悪いからね。
というのも、前世のワインだと本人の味覚もあるので、値段が高いといって必ずしもおいしいとは限らない。
祐一は前世で高いウィスキーをちょっとだけ背伸びして飲んだことがあった。
樽のような匂いがきつくて、正直おいしいとは思わなかった。
そう、年月をいくら重ねても結局は飲む本人の味覚次第だと。
プログラミングの作業と似ているかもしれない。
色々と試して自分に合う最高の味をみつけるという点では。
前置きがあったがそこは、「異世界万歳」と言わざるを得ない。
前世の問題はお金さえあれば簡単に解決できるのだ。
ここでも魔道具が活躍。
触れるだけでその人の味覚が分るというもの。
後は味覚に合わせてワインを作ってもらうという仕組みだ。
相変わらず個人情報がダダ洩れの気持ちもするが、「枕」「Yシャツ」などオーダーメイドの発想をこの世界に取り入れた魔道具を作ったのがこういった形で戻ってくるのはうれしい限りだ。
では、最高のワインを頂いてみますかね。
「これが・・・終着点か!」
相変わらず食レポは出来ないので割愛だが、抵抗なく飲めて余韻がなんとも良い。
人生で最高のワインを堪能し、仕事の疲れを癒しに変えていく。
祐一の至福の時間が過ぎていく。
ティオSide
「これがご主人様の求めたワインですか」
「ちょっと酸味が有りますが飲めますね」
「街で殆ど同じ味のワインがあったけど、たしかそんなに値段は・・・」
ふとご主人様を見ると幸せそうな寝息でソファーに横たわっていた。
連日で仕事で疲れも溜まっていたのでしょう。
「街に似たようなワインは無かったという事にしておきましょう」
「そういえば・・・」
契約条件確認に使ったご主人様の情報魔道具に料理の好みとか趣味とかないかと気になって探すティオだった。
※二人の微妙な関係が気になりますね




