8.高級レストランにいってみたかった(後)
2人には広すぎる個室に案内された。
事前に、テーブルマナーを知らない事や2人でゆっくり食事したいと旨を伝えていたからだ。
現金な話ではあるが、予算に応じて融通は利くのはありがたい。
ぶっちゃけるとドレスコードも無いのだが、そこはムードだろう。
「何を頼んでよいのか分かりません」
ティオがごもっともな事を言う。大丈夫だ同じ考えを持っている人が隣にいる。
そして、こんな事もあろうかと(2回目)事前に手を打っておいた。
「お客様、お持ちしました」
案内係の人が小石ぐらいの魔道具を持ってきてくれた。
触れるだけで、その人の好みや食べたいものが分る魔道具だった。
これも作るの大変だったなと感傷に浸る祐一だったがここでは野暮だ。
前世だとプライバシーの問題とか色々と有りそうだがこの世界ではどうも疎い。
後は前払いの予算に合わせて料理が出てくる手はずだ。
料理が来るまでの間
「個室なので助かりました」
ティオの言葉通りだ。前世の一般庶民が背伸びをしているんだ。
おいしい物が食べられて、高級レストランに行ったという実績がちょっとだけの贅沢なのだ。
料理が来ました。絶句しました。
目の前にステーキらしき肉料理、カルパッチョらしき魚料理、野菜に、山菜がビュッフェ形式でずらりと。
飲み物もワインを始め一通り揃っている。つまりイメージしていたフルコースではなく、各自で好きな様に食べて下さいという事か。
制限時間もないし、お持ち帰りも自由。流石高級レストラン。
スケールが大きい。
「じゃあ頂こうか」
「はい、迷ってしまいますね」
そんな初心者のためのお勧めガイドブックもついていた。流石だ。
食レポはできないので割愛するが
「うまい」
という、実にシンプルな言葉しか出なかった。
ティオも表情からは読み取れないが、満足しているはきっと思う。
結局ほとんど料理は残す羽目になったが満足だった。
またティオを連れて来るのも悪くないと思った。
「次回もぜひ美食亭へ」
見送りもきちんとしてもらい、戻ってきた。
おもてなし、料理、満足のひと時だった。
ティオSide
「今日はご主人様と高級レストランに行きました。仕事で。」
「料理は初めて食べるものばかりでどれもおいしかったです」
「材料がすごすぎて再現できないのが残念です。」
「私もあの位の料理が作れたらご主人様に喜ばれるのでしょうか?」
「そういえば私、一日でも長く奉公する事を考えていたのにどうしてでしょう?」
「きっと、ご主人様に喜ばれれる=奉公できる。ですよね」
「しかし、料理2人分と服まで用意してまた出費がすごいでしょうに」
「ほんと、今回のご主人様は変わっています」
考え事と夢のような一日の興奮からなかなか寝付けないティオであった。




