22.ゲーム制作をしてみたかった
「これは疲れる」
話は数日前に遡る
魔道具を使ったゲームが最近話題になっていた。
前世と同じく本体とソフトだが、もちろんどちらも魔道具である。
なんでも新しい本体の魔道具が発売され、対応するソフトの魔道具が次々と発売されているらしい。
ゲーム制作を一度してみたかった祐一はある一つのソフトに目をつけて開発に参加した。
ゲーム自体はシンプルなRPGで既にストーリー、キャラクター、システムと出来上がっていた。
これに「アクセント」を付けるのが今回の仕事だった。
隠しダンジョンや隠しアイテム、周回要素など楽しめる機能を次々と追加していった。
当初は楽しかった。そう、当初は。
話は戻る。
「これは疲れる」
「なんでこのゲームはバグが多くてゲームバランスが悪いんだ」
ここに来て祐一は後悔した。
流行に乗って発売を急ぐ余り、基本の部分が疎かになっていたのだ。
セリフの誤字、ストーリー進行不能バグ、序盤から理不尽な強さの敵。
目につく所からとにかく修正、修正、修正。
整魔士である祐一にとってはバグの修正は慣れている。
「これでストーリーがダメだったら破綻していたな」
「まぁ、修正すれば十分に楽しめるゲームになる」
それからもバグとの闘いとブラッシュアップを同時並行で進めていった。
それから更に月日が流れ・・・
「遂にこの日が来たか!」
「そういえば今日はご主人様が制作されたゲームの発売日だったですね」
「制作のお手伝いをした感じだけどね」
ゲームはプロンテラ商会から事前に届いている。
関係者への事前配布らしいが、律義に発売日まで待っていたのだ。
魔道具をセットして早速ゲームをプレイしてみる。
ストーリーの展開が分っている筈だが楽しい。
「この中ボス、始めはHPの桁が1つ多かったんだよ」
「これは買値と売値が逆になっていた武器だな」
「ここは壁なのにすり抜けられるバグがあったな」
苦労した分、製品となって世に出回る喜びを味わう祐一。
「ご主人様、夢中ですね」
「ああ、今日は徹夜で攻略するぞ!」
「ふふっ、夜食を用意しておきますね」
んっ、今ティオが笑った様な気がしたが。
振り向いた先のティオはいつもの表情だった。
「おっと、油断できない場面だった」
直ぐに祐一の目線と意識は魔道具に引き戻された。




