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14.風邪にエリクサーを使ってみたかった

異世界とはいえ病気は存在する。

この世界でもまだ解明されていない不治の病だってある。


仕事で根を詰めた祐一とティオは揃って「風邪」をひいてしまった。


「くしゅん。申し訳ありません。ご主人様」

「いや、無理させてしまった。俺の責任だ」


この世界の魔法を使った風邪薬に似たものはある。

体内の免疫を活性化させ、風邪菌の増殖を抑えるものだ。


「使い時だな、予備もあるし問題ない」


自室より風邪薬の入った小瓶2つを持ってくる。

蓋を開けると紫色の液体と甘い香りが漂う。


「ティオ、特製の風邪薬だ。直ぐに良くなるよ」

「くしゅん。ご主人様、初めて見ますがお高いのでは?」

「んーどうだろう。個人用なので正直値段は分からないな」

「試作品という事ですか。では遠慮なく」


ティオに合わせて風邪薬を飲む。


「これは!」

「えっ、これって!」


二人そろって驚きの顔を見せる。


飲んだ瞬間、頭痛、発熱、倦怠感などの風邪の諸症状がまるで無かったかの様に消えていった。


これが博一と共同で開発した通称「エリクサー」だ。

コストはかなり高いという事もあるが、市場に出ると色々と問題が起きそうなので博一と祐一だけの秘密にしている。

博一とこっちの世界で欲しい物を話し合った際にこの「エリクサー」が出たので以前作ったのだ。

有事の際の備えはやっぱり必要だと思ったが結局今日まで使う事は無かった。


エリクサーについての情報だが、まず不老不死の薬ではない。

作用的には免疫と代謝を活性化させて、体内の異物を中和や除去する。

外傷に対しても効果がある筈だが試した事が無いのでどの程度効くかは不明。


RPG的に表現すれば

体力「60/100」→「100/100」が分りやすいか。

なので老化で最大体力が減れば「40/40」の効果になる計算だ。


前世で風邪を引いても仕事が休めず風邪薬と栄養ドリンクで凌いでいた時が懐かしい。

風邪を引いた時は栄養を十分に取って休養。

この定説がこれ一本で解決出来る。


「ご主人様、この薬で魔法量も回復している見たいですが」

「んっ?それは特別な薬だから魔法量も回復するんだよ」


「!」


「ご主人様、たぶんですけど魔法量が回復する薬って初めて見ました」


「えっ、売ってないの?」

「はい」


危なかった。

エリクサーといえばRPGで言う所のHP/MP回復だから魔法量について失念していた。

博一と揃って魔法が使えないしスルーしていた。

世に出せばそれこそ一生遊んでいけるお金が手に入りそうだが、やっかいごとに巻き込まれるリスクが高い。


「えーと、試作なので思わぬ効果が出たけど副作用とかあるかもだからしばらくは秘密にしておいてね」


「分かりました。この事は秘密にしておきます、それと・・・」


「んっ、どうしたティオ」


「その、すっかり良くなりました。有難うございます」

普段から愛想が無いティオだが、今日は温かく感謝の表情の気がした。


「気がした、だけだけどね」


ティオSide


祐一のメイドとして半年が経つ。

今回の勤め先は過去最長で奉公出来ている。

待遇に問題はなく、今後も奉公したいと思っている。


「ご主人様って何者でしょうか?」


それは、口に出しても考えてもいけない事。

それでも考えてしまう。


整魔士としてかなり稼いでいる筈なのに生活は質素。

先日の風邪薬のあり得ない性能。

瓶には見たことも無い文字が書かれている。


「ダメッ。変な事を考えては」

無理やり頭にしまい込むティオだった。

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