ホワイトガーデン温泉掘り当てました
やぁどうも、焼きそばパンの民ことカグラです。
今回はなんと、庭を掘ってたら温泉が湧きました(ガチ)。
これまでの冒険(?)で疲れた心と体を癒すには、
やっぱりお風呂! 炭酸泉! 露天風呂! そしてパン!?
セリスティアの喉の調整から、シオンの覚醒、
ミルミの超入浴テンションまで、盛りだくさんの温泉回。
パンで始まり、湯気で整う。これが、俺たちの日常──!
さあ、肩までつかってリラックスしてってくれよな
「──なあ、ここ掘ったら何か出てくる気がするんだよ」
カグラがスコップを片手に、ホワイトガーデンの芝生をじっと見つめていた。
「唐突ね……。また“スキルの予感”ってやつ?」
セリスティアは呆れたように言いつつも、横でアイスティーを飲んでいる。
さっきまでラップの自主練をしていたのだが、喉を酷使しすぎて今は休憩中だ。
「いや、なんか“モコッ”って地面がうごいたんだよな。あれ、絶対あるって。未知が」
「“未知”が庭に埋まってるって、どんな世界よ……」
シオンは遠巻きに日なたに座り、炭酸の抜けかけたジュースを片手に本を読んでいる。
「……炭酸……抜けた……意味も……消えた……」
「お前もなんか言えや」
ツッコミを入れながらも、カグラはすでに掘削作業を始めていた。
ザクッ、ザクッ。
土の中からは、わりとすぐに“それ”が出てきた。
「うお!? なんかぬるい! 湯気!? いやこれ、温泉じゃね!?」
「えっ……ほんとに湯気が……」
セリスティアが覗き込むと、確かにそこにはポコポコと音を立てて湧き出すお湯が。
「……炭酸の泡……入浴の効能……」
「おいシオン、顔がちょっと覚醒してきてるぞ!?」
──こうして、ホワイトガーデンに突如“温泉”が湧いた。
当然のように、カグラは即座に言い放った。
「決まりだな。“ホワイト温泉部”設立ッ!!」
セリスティアは頭を抱えた。
「もう、“朝飯部”のノリ忘れたの……?」
「……ちょっと待って。なんで、温泉の周りに竹垣立ててるのよ」
セリスティアは、あきれた目でカグラを見た。
「いや、“男女混浴未然防止策”だよ。俺、紳士だから」
「最初に“混浴〜♪”ってはしゃいでたの、どこの誰だっけ」
一方そのころ、湯の脇ではミルミが水着を着たまま足湯をしていた。
「わ〜!あったか〜い!これ、パン焼けそう!」
「やめろ、パン焼くな」
──そこに、湯気を割ってシオンが現れた。
「……“理想の温度”……42.2度……このぬるさ……整う……」
「お前……顔が……ちょっとだけ人間っぽいぞ……?」
いつになく目が開き、肩の力が抜けたシオン。
観測者モードではなく、“炭酸風呂の賢者”と化していた。
「ちょっと、私も入っていい?」
セリスティアがバスタオルを持って現れる。
「お、おう……竹垣の向こう側な……?見ないようにするからな……?」
「……ふーん? じゃあ、最初から“覗こうとしてた前提”で話すんだ?」
「まってそれはやばい!!ごめんなさいセリスティア様!!!」
そんな中──
「“混浴問題”は、この“リリィ様”が解決してあげますわ!」
「誰だよ急に出てきたの!?」
金髪ツインテのお嬢様が、どこからともなく登場してきた。
彼女は手に“超高性能バスタイム結界珠(50%OFF)”を掲げていた。
「……ギャグパートのくせに小道具がいちいち凝ってるな……」
──こうして、温泉は完全にギャグの渦に飲み込まれていくのだった。
「おい、誰だよ……温泉に“焼きそばパン”持ち込んだの……」
カグラが唖然として湯船から叫んだ。
──ぷかぷかと浮かぶ、湯気まみれの焼きそばパン。
「それはわたしの!だいじな朝ごはん!」
ミルミが全力で泳いで回収に向かう。
「お前、水着のまま突っ込むな!マナーって知ってるか!?」
セリスティアは湯の向こう側から優雅に声をかける。
「……ちなみに、焼きそばパンをお湯に入れると“カスケード蒸し焼き製法”になるのよ?」
「それっぽいこと言ってるけど、要するに台無しなんだよ!!」
そんな喧騒を他所に、シオンは静かに炭酸風呂の壁にもたれていた。
「……泡の振動……外界のノイズを遮断する……これは……いい……」
「完全に整っちゃってる!!」
──そのとき。
「“パンの気配”がする……!」
温泉の石垣がガタン!と崩れ、そこから謎の人影が出現する。
「パン怪獣か!?また来たのか!?」
「ちがうよ!わたしのバイトの時間だよ!」
現れたのは、トースター型タイムマシンを背負ったミライ=カミバコだった。
「……なんで、湯船からタイムトラベルしてくるのよ……」
「水を通してパンの未来が見えるんだよ!」
「そんなシステム初耳だわ!!」
──こうして、湯けむりと焼きそばパンの狭間で、
なにかが、どうにかなっていく──。
「──ととのった……」
炭酸風呂で微動だにしないシオンの姿を見て、セリスティアが呟いた。
「観測者って、整うんだ……」
「シオン=ヴァレア、“炭酸”と“静寂”により再構築中……」
「どこからログインしてるの!?この空間に!」
一方、奥の露天風呂では──
「ふぁぁぁぁ……極楽ぅ……」
ミルミがアヒルのおもちゃと戯れながら完全に弛緩していた。
「お前、そのテンションで“魔王の娘”とか名乗るな」
「ううん、今は“温泉の申し子”って感じ?」
「勝手に称号変えるな!!」
その横では、ミライ=カミバコがタブレット片手に真剣な表情で何かを解析していた。
「……なるほど。ここの泉質、“パン発酵”に適している……」
「え、なにかパン作ってるの?」
「この温泉で“時間加速発酵”させた生地……つまり、“温泉焼きそばパン”……!」
「ちょっと待て、湯治からどこまで逸れてんだよ!!!」
──そしてセリスティアは、湯の縁で静かにラップの練習をしていた。
「Yo…Yo…冷泉、炭酸、湯けむりリリック……語尾に温泉……って難しくない!?」
「なんで今このタイミングでラップ!?喉の調整ってそっちかよ!!」
湯けむりの向こうで、カグラはタオルをかぶりながらぽつりと呟いた。
「結局、俺ら何しに来たんだっけ……」
その問いに誰も答えず、ただ、温泉の湯だけがこんこんと流れ続けていた──。
湯上がりの風が、ホワイトガーデンを静かに吹き抜けていく。
軒下では、パンの香ばしい香りが漂っていた。
「──焼き上がったぞ。温泉焼きそばパン第一号だ」
ミライ=カミバコが、木製のトレーに湯気立つパンをのせて持ってくる。
「なんか、色つやが……いつもより……」
「ふわふわ、なのに弾力がある……パン界の革命だこれ!!」
カグラがかぶりつき、次の瞬間──
「ぶっはぁ……ッ!うんめええええ!!」
ととのいと感動が同時に襲い、白目を剥いてバスタオルごと転がり落ちた。
その様子を見て、観測者シオンがゆっくりと口を開く。
「……この世界は……“パンの神域”に近づいている……」
「お前、湯治でなに観測してんの!?あと白目むいてるカグラも拾ってやれ!!」
そこへ、再びラップの練習を終えたセリスティアが登場。
「うん、調子いいかも。次は“温泉サイファー”よ!」
「温泉サイファーって何!?こっちは飯食ってるんだけど!?」
ラップと焼きそばパンが交差し、ゆるくもカオスな湯上がりタイムが過ぎていく──。
だがそのとき、ふいに空の色が変わった。
ぱらぱらと、紙のような何かが舞い落ちてくる。
「……手紙?」
カグラが一枚拾い、そっと開くと──
「“焼きそばパンの神より。次なる試練は、海だ”……って、また来たよコレ!!!」
「夏編、始まっちゃう!?」
温泉のあとに訪れるのは、灼熱の海か、はたまた未知のパンか──!?
ホワイトガーデンの騒がしい日常は、まだまだ終わらない。
王都・王立魔術院、その一室。
書類の山を前に、監察官メルゼス・クローディアスが頭を抱えていた。
「……また“観測外反応”か。しかも、今度は“温泉からパンの波動”……?」
彼の背後で、同僚がそっと囁く。
「例の“焼きそばパン”騒動の余波かと……」
「なぜ我々がパンに振り回されねばならんのだ……!」
メルゼスが頭を抱えるのも無理はない。魔力観測装置が、“炭酸泉の中で神性反応”を検出したのだ。
「観測者シオンの記録も歪んでいる。“炭酸と交信”って……」
「すでに“意味”という概念を捨てた男ですからね」
その頃、魔王軍・作戦本部でも──
「……“ホワイトガーデンの庭から温泉が湧いた”と?」
報告書を手にしたラドリウスが、苦々しい顔で呟いた。
「バグの浸食が……自然現象にまで及んでいる。これは“神託干渉”の一種だろうな」
背後のアロマが、静かに口を開く。
「“焼きそばパンの気配”、強まっています。世界のバランスが……“炭酸寄り”に」
「……なんだその新たな属性……」
ラドリウスは深くため息をつき、天を仰ぐ。
「……世界が、本格的にバグりはじめたな」
こうして、パン、温泉、神託、すべてが繋がるカオスな流れの中で──
世界は、静かに、新たな“夏編”へと向かいはじめるのだった。
ここまで読んでくれてありがとう!
温泉で整うはずが、どうしてこうなった(いつもの)
今回は日常・癒し・ギャグの全部盛りでお届けしました。
「バグ×温泉×観測者」という謎ワードも誕生し、
物語はさらに混沌とした方向へ……でも、それでいいのだ!
焼きそばパンが世界を救う日も近い……のかもしれないし、
そろそろまた“誰か”が動き出す頃かもしれない。
次回、ラップバトルか、異世界転生か、はたまた別の祭りか──
まだ見ぬ混沌に、ご期待ください!
それではまた、お湯の中で会いましょう




