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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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90/300

リリックの庭、韻を刻むはこの喉なり

ようこそ、ラップの聖地《リリカル・バグ=バシティ》へ──!

今回はついに、セリスティアが本気でマイクを握るターン!

「白き韻の乙女」vs「ラップ令嬢エリザベート」、ガチのラップバトルが開戦です。

舞台はネオンとビートが交錯する異空間、《RHYME REBORN》──言葉こそが武器となり、世界を震わせる場所。

焼きそばパンDJ、観測者シオンの審査、そして名もなきリリシストたちが見守る中、火花が走ります。

韻と情熱とちょっとの茶番、存分にお楽しみください!

──ホワイトガーデンの朝は、どこか音が浮いていた。


 


「……いや、なんか違う。なにこれ、ビート鳴ってない?」


 


カグラは焼きそばパンを片手に、半分溶けかけた脳みそでその違和感を言語化しようとしていた。

芝生の上にはいつものように、シオンが正座で“思索モード”に入っている。が、よく聞くと──


 


「Yo……重力と因果の交点にて、我は存在を否定し肯定する……Drop da法則……」


 


「お前もラップしてんのかよ!!」


 


まさかの観測者が即興フリースタイルを披露しているとは思わず、カグラはパンを落としそうになる。

だが、事態はそれどころではなかった。


 


──屋敷の中から、規則正しい韻を刻む“声”が漏れてきている。


 


「…………なんか最近、セレスティアずっとぶつぶつ言ってね?」


「彼女は、曲を練っている。思考のリズムが変化していた。観測済みだ」


「は??なんで?? ラップ始めたの!?」


「彼女曰く、“喉を調整してたら自然にリリックが浮かんだ”とのこと」


「喉の調整どんなレベルだよ!!?」


 


セレスティア、最近なにかに取り憑かれたように真剣な表情で紙に向かっていた。

あれはただの“メモ”じゃなかったのか──いや、リリックノートだったのか。


 


「やばいな……ホワイトガーデン、いま一番ヒップホップしてるじゃん……」


 


朝の静けさの中、セレスティアの部屋からは再び、韻が刻まれる音が響いてきた。


 


──ビートもないのに、やたらと熱い。


──ホワイトガーデン、セレスティアの部屋


 


「……このライン、ちょっと固いかしら……いや、ここはあえて、踏み外してみる?」


 


セレスティアは窓辺の机に向かい、片手でペンを転がしながら、もう片方の手で紅茶を持ち上げる。

だが、カップを口元に運ぶ寸前──彼女はピタリと動きを止めた。


 


「……来たわ」


 


──“降りてきた”のである。


 


彼女は一気に書き始めた。紙に、文字というより“波”が刻まれていく。


 


刻む一音、届ける一言、沈黙破るこの喉の鼓動

真夜中踊る言葉の灯、リズムで縫うこの魂の布

記憶も記録も超えてくわたし、ひとり語るこの世界の価値

たとえ世界が笑っても、わたしだけはわたしを歌う──


 


──ガチだった。


 


あまりに本格的で、もはやギャグの領域を超えていた。

窓の外からこっそり覗いていたカグラとシオンは、静かに顔を見合わせる。


 


「……これ、俺が思ってた“セリフでラップする回”と違うかもしれん」


「完全に、リリカルモードへと遷移している。観測値、急上昇中だ」


 


セレスティアは息を吐き、リリックノートをそっと閉じた。


 


「──準備、できたわ。喉も、言葉も、わたしも」


 


彼女の目は真剣だった。ラップバトル再戦の日は近い。

だがその前に、彼女の“歌”を聴くべき者がいる。


 


「カグラ。少し、付き合ってくれる?」


 


「え、今から!? 朝メシまだなんだけど!!」


 


彼女が歩き出す。その一歩ごとに、言葉が響いていく。


 


──これは、遊びじゃない。

──これは、彼女にとっての“自分”を見つける闘い。


セリスティアは、白い湯気の立ち上る露天の縁に腰かけながら、湯気の先にある空を見上げていた。


 


「……ラップって、こんなに難しいのね」


 


「え? さっきめっちゃスラスラ言ってなかった?」


カグラは横でポカリを飲みながら素朴にツッコむ。


 


「違うのよ。これは“音の魔術”……つまり、感情を音で編むうた。それをリズムに乗せてぶつけ合う競技。言葉の格闘技……!」


 


「いや誰に説明してんのそれ……」


 


セリスティアはまるで覚醒モードに入っていた。


タオルで髪をまとめ、両手をぎゅっと握ると、湯の上でリズムを刻み始めた。


 


「喉と韻の鍛錬、魂のボイトレ、

感情バイブス、ライムのマッスル、

パン焼くスキルも今は休憩、

韻踏みバトルで燃やす情熱──!」


 


「いやもう完全にモード入ってる!? 温泉で修行するタイプの王女おる?」


 


「バトルに勝つには、ただ強いだけじゃダメ……**“届ける言葉”**を持っていなきゃ……!」


 


セリスティアは続ける。


 


「孤独な夜に響くライム、

誰かの胸を震わせるライン。

王女の仮面、今は脱ぎ捨て、

本当の私、マイクで叫ぶ──!」


 


「ちょっと待って、めちゃくちゃいい歌詞なんだけど!?」


 


カグラはタオルを被ったまま立ち上がり、無意識に拍手を送っていた。


 


「いや、すご……え、セリスティア……もしかしてラップの才能、ある……?」


 


彼女は湯気の中、軽く微笑んだ。


 


「ふふっ。才能なんて、ただのバグよ──

でも、“伝えたい何か”がある限り、私は韻を踏み続けるわ」


 


「いや、かっこよすぎか……!」


 


こうして、セリスティアの**“本気ラップバトル編”**への道が、静かに開かれたのだった──


 

翌朝。ホワイトガーデンの郵便受けに、一枚の黒い封筒が届いていた。


 


「……何これ、めっちゃ怪しいやつ来てんじゃん」


カグラが指先でつまみ上げると、封には金色の文字でこう書かれていた。


 


《RHYME REBORN》──再戦の刻、来たれし詠い手よ。


 


「……おい、まさか──」


「間違いないわ」


 


セリスティアは手紙を受け取ると、封を破った。


中には、マイクの形をした招待状と、どこかで見たような顔のイラストが──


 


「この顔……! この前ラップバトルで私に負けた、あのギルドのDJね!」


「いたなぁ! “ポエム神拳” とかいう謎のスタイルで突っ込んできたやつ!」


 


招待状には、こう続いていた。


 


──《RHYME REBORN》・開催告知──


あの激闘から1週間……言葉が舞い、マイクが唸る新たなるステージ、

詠い手たちの火花が再び炸裂する!


場所:ラップバトル結界都市「リリカル・バグ=バシティ」

ルール:韻を踏め。魂で語れ。審査員は“観測者”が務める。


 


「え、観測者って俺のことじゃね?」

「え、お前も出るの? 審査員!? 炭酸風呂の人なのに?」


 


遠くで聞こえるシオンの声。「……喉が治った……俺にも、歌えるかもしれない……」


 


「ていうかさ、“リリカル・バグ=バシティ”ってなんだよその都市名!?」


 


「やるわ。私はまたステージに立つ。

今度は、誰にも遠慮しない。“本気”でぶつかるわ」


 


セリスティアはマイクの招待状を胸に抱くと、静かに言った。


 


「──私は、私を歌う」


 


「うわ、今のラップだったら超泣けてた。

……っつか俺は行かなくていいの?」


「もちろん来てもらうわ。“保護者”なんだから」


 


「うわまた出たそのワード!」


 


そして──ホワイトガーデンの一行は、“音”が支配する都市へ向けて旅立つ。


ラップ、笑い、バグ、そしてちょっと感動。


本気のリリックが飛び交うステージが、待っている──


空間転移ポータルを抜けた瞬間、視界が一変した。


 


眩いネオン、宙を舞うスピーカー、バグった光の粒子が空に踊る。


ここは──ラップの聖地。リリカル・バグ=バシティ。


 


「……ヤバ、世界観バグってるどころか完全に韻の都市じゃねぇか……」


カグラが呆れながらも周囲を見渡すと、街には「RHYME REBORN」の巨大ホログラム。


いたるところで即興ラップが繰り広げられ、マイク一本で街の空気を支配している者もいる。


 


「セリスティア、あの人とか普通に人間辞めてるよ? 口が8つくらいある」


 


「それより、あそこ見て。今回の参加者一覧──」


 


掲げられた参加者ボードには、見覚えのある名前がずらりと並んでいた。

•DJマカロン(元祖・ポエム神拳)

•ブレイクン・メロン(ビート即興召喚士)

•セリスティア・アルマ=レーヴェ(通称:白き韻の乙女)

•ラドリウス・ザ・リリック・リーパー(魔王軍代表)

•シオン・“観測者”・ヴァレア(今回は特別審査員)


 


「え、ラドリウスいるの!?」

「バグってるのはスキルだけじゃなかったなアイツ……」


 


さらにステージの横では、焼きそばパン型のDJブースが用意されていた。


 


「……俺、ここでDJやるの?」

「いける! 今の君なら“パンの鼓動”をビートに変えられるわ!」


 


──そのとき、セリスティアの前に一人の女が立ちはだかった。


金髪ツインテール、ドレスコードは完全に“令嬢”。


 


「……来たわね、“白き韻の乙女”」


 


「あなたは……!」


 


「わたくしが、この都市に君臨するラップ令嬢──エリザベート・フォン・ロゼンブリュッツよ!!」


 


「名前、長っ!!」


 


エリザベートはマイクを掲げ、高らかに言い放つ。


 


「次のステージで待っているわ。貴女が、どこまで“言葉”を愛しているのか、見せてちょうだい?」


 


セリスティアは、目を伏せ──そして、静かに微笑んだ。


 


「ええ、見せてあげるわ。“私のすべて”を──」


観客が詰めかける中心ステージには、既にスポットライトが落ちていた。


天井に浮かぶホログラムがぐるぐると回転しながら、主催のAI音声が響き渡る。


 


「Ladies and Gentlemen, and Glitched Beings of All Dimensions──

Welcome to RHYME REBORN!

次なる対戦は……“白き韻の乙女” vs “ラップ令嬢”!

限界すらも踏み越える、究極の言語戦闘をご覧あれ!」


 


──観客、総立ち。


空間が振動するほどの歓声があがる中、セリスティアはゆっくりとステージに上がる。


 


その横を、優雅な足取りで歩くエリザベート。

ツインテールが揺れ、ドレスの裾がキラキラと煌めいた。


 


「……この舞台に立つのは、二度目なの。

でも──貴女が相手なら、前回の“退屈”も許せそうだわ」


 


「私も同じ気持ちよ。

“美しい韻”がぶつかり合うなら、それだけで意味がある」


 


セリスティアはマイクを構えた。

隣ではカグラが、焼きそばパン型DJブースの前でヘッドホンを装着し、ビートの波を探る。


 


「──じゃあ、いくぞ。

“パンの鼓動”感じてくれよセレスティア……!」


 


──ズン。


重低音とともに、空間にビートが放たれる。

脈打つようなサウンドが、都市全体のノイズと同期し、マイクに力を宿す。


 


「──Ready?」

「Always.」


 


2人のラッパーが、マイクをゆっくりと持ち上げる。


 


観客の息が止まる。

電子粒子が舞い、光が渦を巻き──


 


──韻の幕が、切り裂かれる。


 


 


セリスティアが、先に口を開いた。


 



セリスティア 1st Verse:


優雅に歩む白き音の乙女

言葉の薔薇で貴女を染める

敬語と愛をこの身に抱き

美しさこそが、私の武器


書き殴る詩じゃない、磨かれた響き

韻の芸術、魂を斬る式

ラップが乱れるこの世界でも

“意味”と“想い”を紡ぐのが使命


微笑みの裏に、鋼の誓い

マイクを持てば、私は誰にも負けない

さあ、受け取って──貴女の愛する“言葉”で返して?


 


──拍手、爆発。


ステージのLEDが波打つ。


エリザベートの唇が、妖艶に微笑む。


 


「おもしろいじゃない……その“姿勢”、嫌いじゃなくてよ」


 


マイクを軽く回し、空気を割くように──


 



エリザベート 1st Verse:


韻に生きるは、我が貴族の誇り

笑止千万、庶民のラップ遊び


言葉の階段、何段上から見下ろせば気が済む?

私の音は、千年のリズム


教えてあげる、真の“クラシカル”

貴女の熱意? それ、ちょっとパッショナブル(笑)


言葉で踊るその姿勢──悪くないけど

この都市では、“格式”も“流儀”も違うのよ?


 


──観客「ウォォォオ!!」


ビートが炸裂し、都市の照明が爆発的に明滅する。


 


セリスティアは一歩前に出た。


そして──


 


「やっと本気になってきたわね。

じゃあ、次は……“韻の向こう”まで、連れていってあげる」


 


次回、セリスティア vs エリザベート、ラウンド2へ突入!


ガチのバースで世界を震わせろ──

《RHYME REBORN》決戦、続く!


お読みいただきありがとうございました!


いや~~ついに来ましたね、セリスティアの「ラップ本気回」!

どこかの温泉回から突然ポータルワープで《バグ=バシティ》にぶっ飛び、気づけば「パンDJ」と「ラップ令嬢」との言語戦争。

……冷静に考えるとどうかしてる。でも、それがこの作品です(キリッ)


今回の見どころは、セリスティアの詩的なラップと、エリザベートの格式ある“クラシカル煽り”。

それぞれに“言葉への愛”があって、ただのバトルじゃなく、ちゃんと「言葉で語り合う」ってとこが個人的にもグッときました。

次回はラップラウンド2+審査員・観客コメントも予定してるので、どうかお楽しみに!

それではまた、ビートの向こう側で

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