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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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83/300

さよなら、焼きそばパン……?

「まさか…カグラが焼きそばパンを食べない!?」

そんな恐ろしい事態から始まる今回。

誰もが予想しなかった異変に、パン次郎は涙し、セリスティアは全力で焼きそばパンを再発明し、

アロマとシオンは謎のデータと哲学で空回る──。

ちょっぴり成長、でもやっぱりツッコミまみれの一日をお楽しみください。


──朝の《白の庭園》


セリスティアはテーブルの上に焼きたてのパンをずらりと並べていた。

黄金色の湯気、香ばしいソースの香り、そして――一番奥に輝く一本の焼きそばパン。


 


「よし、完璧……。あとはカグラが来て、パンにかぶりつくだけ……!」


セリスティアはワクワクしながら椅子に座る。


だが。


 


カグラ「……おはよ。今日の朝飯、これでいいや」


 


手にしていたのは、まさかの――

サラダチキン。


 


セリスティア「……え?」


 


カグラ「ちょっとさ……食生活、見直そうかと思って」


アロマ(即分析)「体調変化、自己意識向上、あるいは精神的ショックによる嗜好変化。

──俗に言う“焼きそばパン離れ”」


 


セリスティア「いやいやいや!? 待って!? ちょっと待って!? あんなに“うめぇ”って言ってたじゃん!!」


 


カグラ「いや、好きだよ? ただ、毎日だと……飽きるというか……胃が重いというか……」


 


パン次郎(机の端から覗く)「…………」


 


カグラ「うわっ!? 出たパン!喋るパン!!」


パン次郎「……わたし、もう……必要ないんですね……」


カグラ「いや、捨ててないし!? ちょっとヘルシーにしてるだけだし!?」


 


アロマ「観測上、焼きそばパン依存率が急落。これは“炭水化物危機”です」


セリスティア「焼きそばパンが……失業の危機……!?」


 


哲学者・シオン(突然現れる)「……存在は、摂取を持って完了する。

だが、摂取されない存在に価値はないのか?

問うべきは、“なぜ食べないか”ではなく、“なぜ食べてきたのか”──」


 


カグラ「いやうるさいな!? 哲学で問い詰めないで!? 朝から胃もたれなんだって!!」


 


──記憶喪失、戦争、バグスキル……

数多の混沌を乗り越えてきた男が、今、最大の危機に直面する。


 


“焼きそばパンを、食べない日常”という名の空白に。



──数時間後、《ホワイトガーデン》裏庭。


セリスティアは、テーブルいっぱいにパンの試作品を並べていた。


 


セリスティア「“チーズ焼きそばパン”! “激辛焼きそばパン”! “抹茶あんこ焼きそばパン”!!」

(ガタッ)「“焼きそばパンのなかに、さらに焼きそばパンが入ってる焼きそばパン”!!」


 


アロマ(ドン引き)「それはもう概念がバグってる」


 


カグラ(遠巻きに見てる)「おい、なんかあいつらやばくない?」


 


パン次郎(泣きそう)「……もう、ボクの居場所なんて……」

(くるんと転がり、花壇のすみへ)


 


そこへ──


 


シオン「……パンは、記憶だ」


 


パン次郎「シオン様……」


 


シオン「“思い出の味”とは、過去と現在を繋ぐ“可食の連続体”。

 それを断ち切れば、きみは“過去から消える”。それでも、よいのか?」


 


パン次郎「うぅ……でも……カグラさんが、もうボクのこと……」


 


──と、そこへ。


風に乗って、甘く香ばしい匂いが、ふわりと庭に流れた。


 


セリスティア「あっ、パン焦げたかも!」


 


カグラ(ピクッ)「……この匂い……」


 


──あの、旅の朝。

──初めて一緒に食べたあの瞬間。


 


カグラ(無言で近づく)


パン次郎「……?」


 


カグラ「……お前さ」

(そっとパンを手に取り)

「俺の記憶に、めっちゃしみ込んでるんだよな……」


 


パン次郎「……!」


 


カグラ「……いっただきまーす!」


 


──カグラ、復帰。


セリスティア「戻ってきたあああああ!!」

アロマ「情緒の波動、回復確認」

シオン「パンの存在、再定義されたな……」


 


パン次郎「……うん、ボク……食べてもらえて……よかった」


──夜。ホワイトガーデンのテラス。


 


庭に咲く月見草が、ほんのりと淡く光っていた。

その明かりの中、カグラはゆっくりと、残ったパンの耳をかじっていた。


 


カグラ「……まあ、毎日ってわけじゃなくてもさ。

 こうして、たまに食べるぐらいの距離感も、悪くねぇか」


 


パン次郎「うんっ……それで、いいんです……!

 ボク、ずっと“主食”じゃなくていい。“思い出”になれたら、それで……」


 


カグラ「急に卒業式みたいなこと言うな! てかなんで泣いてんだよ!?」


 


パン次郎「ううっ、うれし涙ですうううっ!!」


 


──そこに、ジュッと音を立てて、

セリスティアが“あつあつ”の焼きそばパンを皿に盛って持ってきた。


 


セリスティア「はい、これ! “しらすとレモンの焼きそばパン”! ヘルシー志向!」


カグラ「焼きそばパンの意味とはいったい」


 


アロマ「高タンパク低脂質、カルシウム豊富。実用性は高い」


シオン「存在の核心とは、進化の余地があるということ……」


 


──そして気づけば、


 


焼きそばパンを囲んで、

みんながぽつりぽつりと、昔話を始めていた。


 


「最初に食べたのは、あの村の屋台だったよね」

「そのとき、シオン様ずっと“これは神託か?”って言ってたよね」

「セリスティア、ソースの飛び方がすごくて──」

「カグラ、焼きそばパンを一口で吸い込んだの、衝撃だった」


 


カグラ「うっせぇよ!」


 


──そんな笑い声が、夜空へと広がっていく。


焼きそばパンは、主食じゃない。

けれど、仲間たちの記憶のなかで、ずっと“あたたかく”あり続ける──


 


──焼きそばパン、復帰。


焼きそばパンは主食か、記憶か、はたまた神託か──

そんな壮大なテーマ(?)に迫った今回。

食べるという行為のなかに、仲間との思い出や絆があるんだよなぁ…なんてしんみりしたり、

しらすとレモンを挟んでギャグに振り切ったり、結局この作品らしい回になったと思います。

さて、次は何がバグるのか。焼きそばパンは再び旅立つのか。

――お楽しみに!


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