記憶喪失の焼きそばパン、探しています
おはようございます。
今朝の焼きそばパンは、記憶を失い、空を飛び、宇宙に向かいました。
読者の皆さまも、そんな朝ありませんか?(※ありません)
今回は完全にぶっ飛んだバグギャグ回。
テーマは「パンと米が争ったらどうなるか?」という、栄養学的にも胃もたれ必至な世界線です。
気づけばアロマが解説役になってたり、哲学者が存在をバターに例えたりしてますが、細かいことは気にしないでください。
今週も、焼きたての混沌をお届けします!
──ホワイトガーデン・朝。
掲示板に、何やら目立つ貼り紙がペタリと貼られていた。
【迷子のお知らせ】
記憶喪失の焼きそばパン、探しています。
・中身:焼きそば(ほんのり甘辛)
・外見:ふわふわ系コッペパン
・性格:自称・全主食の頂点
・名前:本人も忘れました(仮名:パン次郎)
見かけた方は、ホワイトガーデンの“朝飯部”までご連絡ください。
セリスティア「……って、どういうこと!? パン次郎が、いない!?」
カグラ「いやもうツッコむとこ多すぎて何から言えばいいんだコレ!」
アロマ「……昨夜未明、ホワイトガーデン内から消失。異常主食波形──検出なし。
バグによる自律離脱の可能性、あり」
カグラ「主食波形って何!? ていうかなんでパンのくせに自律離脱できるの!?」
セリスティア「……もしかして……記憶もなくしてるの?」
カグラ「えっ? セレス……なんか本気っぽくない? パンに対して?」
セリスティア「い、いや!ちがっ、これは……その、朝の友達として!」
アロマ「“パンストック”フォルダに、彼の写真が日付順で108枚──」
セリスティア「やめて!? それ今言わなくていいから!!」
──その頃。
とあるパン屋のガラスケースの中。
陳列棚に並ぶ食パン、クロワッサン、ベーグルたちの中に、
ひときわ神々しい輝きを放つ……焼きそばパンの姿があった。
「……オレハ……ダレナンダ……」
──彼は、自分がただの“パン”なのか、それとも“何か”だったのか、
すべてを忘れていた。
……そして、彼の“中身”は……少し、冷めかけていた。
──パン屋・店内
焼きそばパン(仮)は、静かに棚の上でたたずんでいた。
「……なんだ、この甘辛い香り……なぜか、落ち着く……」
「俺は……ただのパンじゃ……ない、気がする……」
店員「おい、この焼きそばパン、誰が持ってきたんだ?」
店主「知らんよ? 朝来たら勝手に棚にいたんだよ。なぁ、まるで──」
???「運命のように、焼きそばパンがそこにあったんですね」
──ガラッ!
戸を開けて入ってきたのは、黒衣の男。
詩的に語るその姿に、空気がピリつく。
カグラ「……お前は……!」
セリスティア「シオンさん!?」
シオン=ヴァレア。
観測外の哲学者。パン次郎に並ぶ、世界観バグ製造装置である。
シオン「……彼は“パン”という形に囚われているだけで……
本当は、“問い”なんです」
アロマ「パンではなく……問い?」
シオン「そう。なぜ、人はパンを食べるのか。
なぜ、焼きそばはパンに挟まれてしまうのか。
なぜこの世界には、主食が多すぎるのか……」
セリスティア「──その答え、私は……知りたい!」
カグラ「ちょっと待って!? 何この展開!? 哲学でパン探す話になってない!?」
シオン「今こそ、“パンに問う”時だ」
──そして彼らは動き出した。
記憶を失った焼きそばパンに、存在の意味を取り戻させるために。
──街はずれの古書店《意味深堂》
セリスティア「パンの記憶を取り戻すには、“魂のレシピ”が必要らしいの」
カグラ「何そのワード!? もうパンってなんだよ!?」
アロマ「“魂のレシピ”:古代ベーカリー文明の遺産。パンに記憶を宿す、唯一の術式……」
シオン「パンは食糧であり、概念でもある。君たちはそれを忘れている」
カグラ「忘れてていいんだよ!!」
──一方その頃。
《パリッとベーカリー》では──
焼きそばパン「……あれ? なんだ……この感覚……」
ふとした瞬間、トングを見たそのとき。
過去の記憶が、フラッシュバックする。
──セリスティアの手のひら。
──アロマの冷静な分析。
──カグラの、雑なツッコミ。
焼きそばパン「……俺は……」
バター「兄さん!!」
突如、隣の棚から飛び出したのは──バター。
(塗られることを夢見る、トースト未満の存在)
焼きそばパン「誰だお前!?」
バター「……兄さん、忘れたのかい!? 俺だよ!毎朝一緒に焼かれてた、あのバターだよ!」
焼きそばパン「バターが、しゃべったあああああ!?」
──このとき、店内のすべてのパンが一斉に目を光らせた。
食パン「今だ!目覚めよ、パンの記憶を!」
クロワッサン「ブレッド・ナレッジ・イニシエーション、開始!」
ベーグル「B・N・I!!」
焼きそばパン「やめろ!? パンの世界観がバグるからやめろおおお!!」
──そのころホワイトガーデン。
アロマ「……異常主食波形、再活性化──」
セリスティア「パン次郎、記憶が戻りかけてる!?」
カグラ「いや、逆に変な方向に目覚めてない!? パン、今なんか宗教っぽいこと叫んでなかった!?」
アロマ「……主食の周波数が完全に狂ってる。これは……“パンノミコン”の干渉波。」
カグラ「パンノミコン!? パン界の禁書みたいなもんかよ!」
シオン「……封印された、パンの真理が記された本。パンの神をも酵母に還すという──」
セリスティア「そんなの、パンに存在していい本じゃない!」
──そして今、焼きそばパンが……空を飛んでいた。
パン次郎「記憶、戻った。俺はパン次郎。かつて焼かれし者……世界に焼きたてを届ける者……」
カグラ「完全に変な方向に覚醒してるーーッ!!」
──そして次の瞬間、パン次郎の背後に、巨大な影が現れた。
???「……“パンだけでいい”なんて……間違ってる!!」
???「主食は! ごはんも! 麺類も! タコライスもあるんだよぉぉぉ!!」
カグラ「誰だお前ぇぇぇぇぇ!!?」
──謎の炊飯器から飛び出してきたのは、ライス派の使者《おにぎらず伯爵》。
三角形でもなく、海苔でもない。もはや新たなる米の形をした、正体不明のヤバいやつだった。
おにぎらず伯爵「パンが記憶を取り戻した? ならばこちらも……」
──炊飯器から、蒸気とともに謎の米粒が空に放たれる。
カグラ「いやバトル展開になってるじゃん!? パンとライスで宇宙戦争とか、朝から胃がもたれるわ!」
アロマ「……蒸気量が……異常。主食界、臨界突破──」
シオン「これは、“主食大戦”の再来か……!」
セリスティア「カグラ、お願い! パン次郎を止めて……! いや、米も止めて!」
──そして、カグラはそっと焼きそばパンを手に取った。
カグラ「パン次郎……朝メシに平和を。今こそ、お前の中にある“ソース”を信じろ!!」
パン次郎「ソース……それが、俺の答え……」
──宇宙に浮かぶ“主食衛星”
パン次郎「……俺は、パンだった。だが、今は違う……!」
おにぎらず伯爵「貴様に、炊きたての熱き魂がわかるかぁああ!!?」
──焼きそばソースとおにぎらずの梅干しが、交差したその瞬間。
シオン「……世界律が……バター化している」
アロマ「ソース濃度が飽和……パン次郎、爆発します」
──ドォォォォン!!!
──翌朝、ホワイトガーデン。
カグラ「……で、結局どうなったんだよ」
セリスティア「なんかね、最後にパン次郎が“うまいは正義”って叫んで爆発したの」
カグラ「それで終わり!? 主食宇宙戦争、めっちゃ雑に終わったな!?」
アロマ「……そのあと、パンと米は“炭水化物協定”を締結。人類の食卓に平和が戻った」
カグラ「すっごい勢いで現実に戻ってきたな」
──そして、棚の上。
パン次郎「……俺は焼きそばパン……。記憶はないが、今はこれでいい気がする……」
──彼の横に並んでいたのは──
バター「兄さん……また一緒に、焼かれような」
──平和とは、案外、炭水化物に宿るのかもしれない。
──朝飯部、会議中
セリスティア「今日のテーマは“パンに合う飲み物”です!」
カグラ「まだ続いてたの!? 主食の宇宙戦争後とは思えないゆるさ!」
アロマ「私は……ストロング・ブラック。苦味が、パンの記憶を刺激する」
シオン「私は……哲学的に“空気”を推す」
カグラ「食えねぇよ!」
──パンと米が戦って、爆発して、なぜか全部うまくいった。
そんな朝も、悪くない。
最後までお読みいただきありがとうございます!
今回の話、パンが空を飛んで記憶を取り戻したあたりから、作者自身も「何をしてるんだ……?」という疑問を覚えました。
が、最後には「うまいは正義」で強引に収束。
パンと米が“炭水化物協定”を結ぶとは、予想できた読者は誰もいないと思います。
しかし、そんな混沌の中にも――
アロマの冷静さ、シオンの詩的ツッコミ、そしてカグラのツッコミ過多が、
一筋の“朝”を感じさせてくれました
ではまた、次の“朝食”でお会いしましょう




